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アニメ『最強の王様』北米で生まれた「異世界転生」モノならではの魅力

アニメ『最強の王様、二度目の人生は何をする?』「最強」だけど成長していく主人公、作りこまれた王道的ファンタジー世界など、北米で生まれた「異世界転生」モノならではの魅力

2025年4月より放送中のTVアニメ『最強の王様、二度目の人生は何をする?』。配信サービス「dアニメストア」デイリーランキング5週連続1位を獲得するなど、各主要配信プラットフォームでも上位にランクインしています。

本作は、近年アニメでも見かける機会の多い、いわゆる「異世界転生」を題材とした作品なのですが、アメリカのWebコミックプラットフォーム「Tapas」で連載されているTurtleMe氏によるオンライン小説(Fuyuki23氏によるコミカライズも行われています)が原作となっており、日本で作られた作品ではありません。

そうした背景もあってか、流行りの「異世界転生」ジャンルの作品でありつつも、日本で作られた作品とは一味違う、独特の魅力を持っている作品となっています。

すでに第5話まで放送されていますが、5月6日には、ABEMAとニコニコ生放送にて1~5話の一挙放送も行われる予定で、まだ放送に追いつけるタイミングでもありますので、筆者が感じた本作の魅力を紹介していければと思います。

 

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孤独だった最強の王が、転生して初めて「愛」を学ぶ

前述した通り、本作は「異世界転生」モノではあるのですが、主人公であるグレイは、我々のような現代人ではありません。グレイが生きていたのは、本作の舞台となる世界とはまた別の異世界で、そこでのグレイは冷酷かつ残虐な「最強の王」として、大国を統治していた人物でした。

 

 
そんなグレイが自身の死をきっかけに転生したのが、魔法が存在する本作の異世界。グレイが生きていたのも異世界ではあるものの、魔法ではなく機械工業が発展した文明となっており、魔法を知らない異世界人が、剣と魔法のファンタジー的な異世界に転生した……という点が特徴になっています。

この世界でのグレイは、辺境に住むレイノルズとアリス夫妻の間に生まれた子供・アーサー・レイウィンとして転生します。

生まれたばかりなので当然身体は赤ん坊なのですが、グレイだった頃の記憶をそのまま引き継いだ状態で転生しているので、クールで威厳に満ち溢れた雰囲気のグレイが、トイレすら自力ではいけない、赤ちゃんの肉体や扱いに困惑するのは非常に面白かったポイント(本人としては相当な恥辱だったでしょう)。

 

 
「異世界転生」モノには、転生した瞬間からスタートし、成長する前の子供の時代からじっくりと描いていく作品がありますが、本作も子供時代のエピソードがかなり丁寧に描かれていきます。

最強の王でもあったグレイは、物事の理解力も高く、努力も怠らない完璧超人タイプなのですが、一方でその生涯は孤独で、愛情というものを知らないまま一生を終えていました。

そんなグレイが、レイノルズとアリスの夫妻から我が子に注がれる「愛」を受けて、自身も「愛」という感情を少しずつ理解するようになっていく……というのが1話で描かれたストーリーで、これは本当に良い話でちょっと泣けました。

当初は二人を赤の他人として見ていたグレイも、一緒に暮らしていく内に、二人のことを大切な家族として認識していくようになっていくのがまた良いんですね。この二人の子供じゃなければ、グレイはこの世界でもまた孤独な一生を過ごしていたんじゃないかと思います。

 

 
また、アーサー(グレイ)は、精神的に成熟しており頭も良い、比較的非の打ち所がないと言えるタイプの主人公ではあるのですが、「愛」を知らなかったように、超人的な存在だったからこそ経験しえなかったことを知って成長していくという、ただ主人公がすごいだけの話に収まらない、成長のドラマが描かれているのも好きなポイントでした。

 

一周回って新鮮さを感じられる、王道的なファンタジー世界観

当初はレイノルズとアリスの家からスタートしていますが、2話からは早速家を出ての冒険がスタートし、世界へと旅立っていくことになります。

 

 
その上で感じたのが、世界観がしっかりと作り込まれていること。

近年は、中世ファンタジーというよりは中世ファンタジーのRPGをモチーフにしている作品も増えてきた印象ですが、本作はそういうゲーム的な要素を感じる部分は少なく、プレーンで王道的なハイ・ファンタジーとしての世界観が構築されており、一周回って新鮮に感じられました。

主人公のアーサーは、レイノルズとアリスの二人とも優秀な冒険者と血筋に恵まれていて、その上中身が最強の王であるグレイなので、神童中の神童みたいな存在ではあるのですが、いわゆるチート能力のようなものはなく、身体能力も年齢相応。まだ大人と互角に戦うのは難しく、しっかりと地に足がついた描写がされています。

ただ、アーサーが活躍しないかというとそんなことはなく、肉体面で不利だからこそ、それを覆すために知略を駆使したり、世界観のリアリティと主人公が活躍する気持ちよさをうまく両立していると感じられました。

物語のテンポもなかなか良く、2話以降はアーサーを取り巻く状況がどんどん変化していきます。

 

 
レイノルズ夫妻の同僚である冒険者たちや、はぐれたアーサーを保護した謎多き存在・シルビア、奴隷商人に捕まって売られそうになっていたところをアーサーに助けられたエルフのお姫様・テシアなど、新キャラクターが次々登場します。

人間とエルフの種族間対立という、ファンタジー作品において一種のお約束になりすぎたためか、近年ではあまり描かれなくなってきたテーマにも踏み込んだりしていて、ちょっと懐かしいファンタジーが好きな人間にとってはたまらないものがあります。

魔法や国の設定が細かく作り込まれている事もわかりますし、王道かつ壮大なファンタジー的世界観を堪能できる作品になっているという印象です。

 

(C)「最強の王様」製作委員会
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