
『前橋ウィッチーズ』という魔法にかけられた5人が明かす成長譚。前橋から世界にミラクルを起こすため思い描く、理想の自分は? 「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」「それぞれのドア」リリース記念 春日さくらさん、咲川ひなのさん、本村玲奈さん、三波春香さん、百瀬帆南さんロングインタビュー
OP&EDテーマそれぞれが彩る『前橋ウィッチーズ』の世界
――5月28日にリリースするオープニングテーマの『スゴすぎ前橋ウィッチーズ!』ですが、つんく♂さんが作詞を手掛けられていたり、クセになるキャッチーなメロディだったりとインパクトのある楽曲になっています。みなさんが思うポイントをそれぞれお聞かせいただけますか?
咲川:まず「前橋」っていうワードが本当にたくさん散りばめられているところが素敵なポイントです! 他の歌詞もすごいキャッチーで、お花の名前が隠れていたり韻を踏んでいたりと、遊び心がある歌詞が本当に面白くて。そこにハイテンポで乗りやすい、聴いている人も歌っている側も一緒に盛り上がれるようなメロディになっていて、類を見ない楽しい楽曲になっているなって思っています。
百瀬:「前橋からミラクル起こす」のフリが、前橋市を指で指してて、披露する場所によってどこを指そうかって、話になって盛り上がったり、振り付けにも遊び心があって楽しいよね。
三波:良い意味で癖が強い曲。キャッチーだからこそ、一度聴いたら忘れられない、すごい中毒性のある曲だと思いますし。みんなも言っていましたけど、言葉遊びが本当につんく♂さんは素晴らしいなって思います。歌詞中の「のっぴきならない」ってフレーズは思いつかないし、だからこそ耳に残って楽しく聴けて、私たちも歌っていて楽しいです。
本村:あとアニメのオープニング映像には、1秒に満たないカットの中に様々な要素がたくさん詰まっていて、スタッフのみなさんの力の入れ具合に驚きました。極端な話、オープニング映像にそこまでの物量はなくてもいいのに、細部まで作り込まれていて楽しめる、多くの方の愛によって生まれた作品というのが伝わってきます。
三波:コマ送りにしても楽しめるよね。
百瀬:山元(隼一)監督が私たちに映像を見せてくださった時にも、カット毎にこういうこだわりがあるんだよと解説してくださって。前橋130年の歴史みたいな図録も持ってきて、「観覧車があったんだよ」って説明していただきました。
本村:ワンカットが短すぎて、見せたいのにすぐ流れていったりしながらね(笑)。
三波:今の前橋と昔の前橋が交互に描かれている映像だから、どの年代の人が見ても楽しめて懐かしい気持ちになれるし、最終的に未来の前橋みたいなカットもあって、めっちゃユニークだよね。
本村:以前、監督が「作品でその場所を舞台にするということは、その場所の歴史も描くことだから」とおっしゃっていて、素敵な言葉だなと思いました。まさにこのオープニング映像がそうだし、未来まで描かれているからね。すごいなって思います。
――また、エンディングテーマの『それぞれのドア』についてもお聞かせください。
三波:(キャラクターデザイン原案の)ユウ イナミさんのイラストが本当に美しい……。オープニング映像は全体的に細かいけど、エンディング映像は一つの絵として細かい。カット数は少ないけれども、その一枚の絵に命を懸けているのが伝わるね。
春日:ドアとキャラクターのイラストとかかなり細かく描き込まれていて、一人一人で描写もまた違うんですよね。楽曲はちょっとノスタルジックな感じ、懐かしくなる感じの切ない楽曲だよね。
本村:アニメ本編が終わってエンディングテーマを見て、考えることだったり受け取るものって、そのときのエピソードや受け取り手によって毎回違っていて。第1話の時に見ていたみんなの表情と、物語が進んでいった先のみんなの表情ってやっぱり全然違って見えてくるものだし、逆に12話を通して変わらないものもあるような。
お客さんが『それぞれのドア』っていう曲を聞いて、自分も『前橋ウィッチーズ』の主人公になったように感じてもらえる。自分にとってのドアを見つけてくれるような、お客さんと私達を繋げてくれる曲なのかなって思いました。
春日:レコーディングも1,2年くらい前の結構初期の方だったよね?
百瀬:最初に録ったのは『夢よ、咲け!』と『スゴすぎ前橋ウィッチーズ!』だったのでテンポが速めのノリのいい曲だったんですけど、『それぞれのドア』は初めてのバラードだったので大丈夫かなって気持ちはありました。
春日:これが一番解釈について話し合った曲だよね? ボイトレの先生にも意味について考えてくださいって言われて、グループLINEで話し合ったりして、思い入れがすごく強い曲です。
三波:もしかしたら練習も一番したかもしれないよね。レコーディング前もそうだし、ライブの練習も結構していて。ユニゾンが大事な曲だから。
本村:気持ちが合わないと崩れていっちゃう曲で音も繊細だから、みんなでお互いの音を確認し合いながら気持ちを一つにして歌わないと、ライブでも本当にぐちゃぐちゃになっちゃって、そこが一番難しい曲だったと思います。
それぞれの葛藤と向き合って──声優陣が感じた“キャラクターと自分”の交差点
――放送中のTVアニメも第9話まで放送済みです。ここまでのエピソードで印象的な話数や場面を教えてください。
春日:チョコが「ふざけんなババア」って言うシーンは、アフレコ現場で聞いている時に「ひぃん!」ってなって。これまでずっとハピハピチョコちゃんだったのに、急に別人のようになるシーンが衝撃的でした……!
あとVTuberのモグタンがキョウカちゃんにSNSのDM(ダイレクトメッセージ)で連絡をし始めたシーンも阿鼻叫喚だったよね? (モグタン役の)柳晃平さんのお芝居にみんなで悲鳴を上げながら。先輩の演技を聞いて気持ち悪いって言うことなんて普通はないんですけど、まさに怪演でしたね。すごかった……!
咲川:第3話ではアズの過去が描かれましたが、回想シーンのアズ以外のキャラクターは色が付いているのに、アズだけモノクロで色がついてなくて。スマホの中の加工されたアズはすごくキラキラしていて色が付いている一方で、加工しているアズ本人は色が付いていなくて。そういった部分でアズの心象が表現されていて、とてもいいなと思っていました。
あとゲストキャラクターの凜子さんを演じている東山奈央さんが寄り添うような、思わず心を開いちゃうようなお芝居をされていて! 作中でもお芝居でも凜子さんに引っ張ってもらった感覚がありますし、第3話の挿入歌「シャボン・テンション!」ではアズが凜子さんの心に寄り添うみたいな、そういう関係性も素敵だなって思いました。
アフレコの際には、東山さんから台本の書き方を教えていただいたんですよ。まさにアズが凜子さんへ向けている憧れのような関係性とリンクしてる部分があって、アズとしても、個人的にも第3話のアフレコを通して成長できた回だなって思いました。
百瀬:私はやっぱり第4話と第5話のマイのお話ですね。収録時期は私、すごくナイーブになっていて、アフレコすること自体にも慣れてなかったのもあるし、マイとしてマイクの前に立って3話分しかやってなくて、色々と不安でした。スタッフさんが考え抜いて制作されたものに、最後に私がキャラクターとして声を吹き込むので、ちゃんと期待された想いを乗せられたのか、ちゃんと伝わるように演技できたのか不安過ぎて……!
収録の2週間、日常生活でもずっとそればっかり考えちゃいましたね。ゲストキャラクターの保坂優愛も鬼頭明里さんが演じられていましたが、鬼頭さんがどういう演技をされるのかなとか、現場に行かないと分からないので。でも、鬼頭さんのお芝居から「これが優愛か」と感じ取って、向き合いながら掛け合いをした記憶があります。
――終えた直後の手応えはいかがでしたか?
百瀬:不安でいっぱいで、正直なところ手応えは分からなかったですね……。でも、後ろにいたスタッフさんたちが「泣いちゃったよ」といったことを言ってくださって、ありがたかったです。私は器用じゃないので、演じながら評価してもらうことまでは考えられなくて、当時は頭が真っ白で鮮明には覚えてないんですけど、周りの方がそう言ってくださったならまずは良かったのかなと……!
また、マイのシナリオがスタッフさんの間でも話し合いがたくさん行われていて最後に決まったとも聞いていて、実はそこもプレッシャーの一つではありました(苦笑)。でも顔合わせの際にシリーズ構成の吉田恵里香さんから、先んじてマイの過去について伺えていたので、そこがお芝居のヒントになりました。事前に吉田さんとお話できて本当に良かったです……!
――第8話まででキョウカとチョコの話は一段落しましたね。
三波:そうですね。まさに私が印象に残っているのが、その第6話~第8話のキョウカとチョコがフォーカスされている回ですね。私も第6話までチョコちゃんは、ムードメーカーで裏表のないような元気の塊というイメージでしたが、「ふざけんなババア」の一言から始まって……! 実はチョコちゃんは大変な家庭で、年の離れた弟と妹の面倒を見たり、おばあちゃんの介護をしていたりと、心労が絶えない子だったことが明らかになりました。
第7話でユイナと土手で話しながら、抱えていた弱さを初めて吐露するシーンは胸を打つものがありました。何度見ても泣けるシーンだし、映像が出来上がって見ると、より刺さります。
誰かに弱みを打ち明けられない人はたくさんいると思うので、そういう人に届いてほしいし、自分の弱さを人と比べないで、自分が苦しいって思っていること、誰か信頼できる人に打ち明けられる世の中になってほしいなって思います。自分自身もそういう環境を築き上げていきたいと思うからこそ、いろんな人にこのエピソードを見ていただきたいです。ね、キョウカ?
本村:そうだね。このふたりは対になる環境で育ってきたからね。
三波:キョウカは裕福な家庭で育った子だけど、彼女の環境だからこそ抱えている悩みもあるからね。
本村:私も第8話はすごく印象的でした。チョコのことを知ると、キョウカはすごく恵まれた環境にいて。ただ、その中でなんとなく自分の中で本気で頑張らなくてもなんとかやっていける。何を頑張ればいいんだろうと、そこまでのキョウカはまだ夢を持っていない子で。ただ自分がすごく高いスペックで生きているからこそ今まで気づけなかったこと、分からなかったことが本当にたくさんあって。
「自分はこんなに知らないんだ、未熟で何もできないんだ」ってチョコと出会ったことで自分の弱さをキョウカは初めて自覚して。それで多分キョウカ自身もものすごくびっくりして、第8話では泣いてしまったと思うんです。
オーディションで役が決まった時からアニメのアフレコで演じるまでで、キョウカのキャラクターは結構変わっていて、私自身も分からなかった部分がありました。
春日:たしかに、もっと強い子として描かれていた気がする!。
本村:そうそう。まだ何がしたいかとかは決まってないけど、みんなのことが推しだから自分も頑張ってみようと思う、みたいな。そういう固まってない状態でチョコのことを知って気づきを得たことが、キョウカの人生にとって大きな成長だったと思いますし、私自身も演じやすかったです。
第8話の前までは演じる上で悩むこともありましたが、キョウカの弱い部分を知ってからはすごく演じやすくなったなって思いました。
三波:そこからキョウカのお芝居も変わった気がするよね。
春日:確かに結構変わったと思うし、実際のキョウカ自身もそれだけ変わってるんだよね。
三波:やっぱチョコとキョウカは尊敬し合う仲であるのが作中でも描かれていますが、特にチョコがその気持ちが大きいと思うんだよね。違う環境だけどキョウカの言うことをチョコはすんなり聞いていたり、キョウカのすべてを尊敬して受け入れているからこそ、第8話が終わった時に、このふたりの友情のストーリーって本当にずっと続いていきそうだなって確信しました。
私は人間関係において相手へのリスペクトってかなり大事にしているから、チョコとふたりの関係値にとても共感ができていて、第8話を演じる上ではありのままの気持ちで臨みました。あえて深いことを考えず、自分から出た感情のまま演じたから、とても思い入れに残っています。
本村:会話せずともお互いのことを思い合える関係性が彼女達に生まれたのかなって思いました。
――ちなみに、ユイナを深堀りするエピソードはこれからですよね。
春日: 深くは言えませんが、彼女のパーソナルについて語られるお話もあるかも……? この先の展開をご期待くださいね!
咲川:個人的にユイナの印象的なシーンで言えば、チョコちゃんが第7話に過労で倒れちゃうシーンがあるんですよね。チョコちゃんの代わりにユイナが家のことをしたり、お世話をする場面があって。その後にチョコちゃんが起きて2人で土手で話すシーンのユイナが、いつもよりグイグイ来ないでずっとチョコちゃんの隣に寄り添ってくれるんです。うんうんって頷く姿がすごく優しくて。多分ユイナ本人はそこまで意識はしてないのにそういう気遣いができるのは本当に心優しい子だなって感動しました。
春日:実はユイナに共感できるようになったのが、ちょうど第7話あたりのキョウカやチョコのエピソードのあたりだったんです。私とユイナって共通点がすごく多くて。性格やちょっとポンコツなところだったり、たまに空気が読めない発言をしちゃったり。
だからこそ、どうしてこの子はこんなにも周りからうざいって言われたりもするのに、何にも気にしないで笑っていられるんだろうって、私は最初全然理解できなくて。「私だったら気にするし、自分の嫌なところだから隠したいのに」と思っていましたし、最初のユイナってちょっと人間味がないように見えると言いますか。中々うまくシンクロできなくて。
でも物語が進むにつれてユイナも人との関わり方が成長している気がしていて。だからチョコちゃんの時も彼女に寄り添うこともできてたのかなって思うんです。
第7話のエピソードでユイナのパーソナリティが納得できたというか、ちゃんと成長してステップアップしているんだなって。そして、ユイナの思慮深さのようなものはきっと最初から彼女の中にあったんだな……と思って納得できたというか、演じやすくなりました。その要素は先々にも出てくるので、ぜひ注目していただきたいと思います。
本村:みんなを変えてくれるきっかけがユイナだったよね。
春日:ユイナも、みんなと関わることですごく変わっていっているから。お互いに良い相乗効果を与えることができる、素敵な友達関係だと思います!






































