
「BanG Dream! アニメイトドリームフェア2025」開催記念! RAISE A SUILEN / Ba.&Vo. レイヤ役・Raychellさんにインタビュー|「『バンドリ!』ならでは”の奇跡的なスケール感で歩んできた7年」
『バンドリ!』とRASの軌跡を振り返る
──多彩なバンドが生まれてきた『バンドリ!』。この10年、いろいろな歴史がありましたが、Raychellさんの中で強く印象に残っている出来事はありますか?
Raychell:私は大塚紗英ちゃんと当時は同じ事務所だったご縁もあって、まだRASの活動前、大塚紗英ちゃんがポピパに加わるタイミングのライブを観に行ったことがあったんです。それが確か、ポピパの3回目くらいのライブだったかな。渋谷で開催されていて、お客さんたちの熱気がすごかったんです。それまでいわゆるコンテンツ系のライブってあまり観たことがなかったので、ペンライトを振って応援している姿を見て「すごいな、素敵だな」って思ったのを覚えています。
そのあと東京ドームシティ(「BanG Dream! 3rd☆LIVE Sparklin’ PARTY 2017!」)でRoseliaさんがシークレット出演したときもすごかったです。サプライズなのに「なにこの盛り上がり!」ってすごく印象に残っています。でも、それってやっぱり、愛美さんが「バンドを始めます」と言ったところから始まった、さまざまな積み重ねがあるからなんですよね。
──そこからの信頼感というか、歴史の重みがあるからこその熱量ですよね。
Raychell:そうです。ポピパさんがいて、Roseliaさんがいて、その後に私たちRASが“第3のリアルバンド”として生まれた。Afterglowさん、Pastel*Palettesさん、ハロー、ハッピーワールド!さん……といろんなバンドが増えていった今、あらためて先陣を切ってくれた方々のすごさを感じますし、本当に尊敬しています。
──RASとしてのライブで特に記憶に残っているものというとどうでしょう?
Raychell:もう本当に、すべてのライブが思い出深いのですが……私とレイヤの誕生日でもある1月13日、さらに14日に、「ガルパライブ&ガルパーティ!in東京」(2018年開催)のバックバンドとして初めて参加させていただいたんです。Glitter*Greenさんやハロハピ、Afterglow、パスパレのステージを、私と夏芽ちゃん、倉知玲鳳ちゃんの3人、そしてサポートで入ってくれた紗英ちゃんに支えてもらいました。あれが、のちの「THE THIRD(仮)」につながっていく最初の流れで。あのときに「「THE THIRD(仮)」として私たちもやっていきます!」と言ったときの、脚の震えは未だに忘れられないですね。
そのあとの「THE THIRD(仮) 1st ライブ」に初めて小原莉子ちゃんが「ギターとして加わります」と来てくれて。あの瞬間は今でもすごく印象に残っています。
さらに2018年7月17日、赤坂のライブ会場で行った「THE THIRD(仮) 2nd ライブ」では、本格的に「RAISE A SUILEN」として始動するという発表をしました。あのとき紡木吏佐ちゃんがサングラス姿でDJとして登場してくれて、会場を一気に沸かせてくれたのも思い出深いです(笑)。
それから、(同年)12月7日には両国国技館でのライブ(BanG Dream! 6th☆LIVE DAY1 : RAISE A SUILEN「Brave New World」)も開催して……。
──話を遮ってしまって申し訳ないのですが、さっきからRaychellさん、すべての日にちを覚えてらっしゃるのがすごいですね。
Raychell:ライブの日はキャラクターたちの誕生日でもあるんです。それもあって、すごく印象に残っていて。12月7日はチュチュの誕生日でした。RASのキャラクターたちの誕生日がライブ日になっているのも、なんだかエモいというか……。私たちがRASとして、メンバーが一人ずつ加わっていくまでの道のりは、どの瞬間も忘れられない思い出です。
例えば、初めてのオリジナル曲をもらったときのこと。「BanG Dream! 5th☆LIVE」では4人で2DAYSのオープニングアクトとして出演して「R・I・O・T」と、Glitter*Greenさんの楽曲を披露させていただきました。その後、両国国技館でのライブを経てキャラクターが正式に発表されて、そこからなんと日本武道館(TOKYO MX presents「BanG Dream! 7th☆LIVE」 DAY2 : RAISE A SUILEN「Genesis」)でのライブ。あの流れは、本当に“『バンドリ!』ならでは”の奇跡的なスケール感でした。
“ガールズバンドとして日本最速での武道館ライブ”と言っていただいてはいるのですが……当時はオリジナル曲がまだ5曲しかなくて。そのうち世に出ていたのは「R・I・O・T」と「UNSTOPPABLE」のみで、「A DECLARATION OF ×××」「EXPOSE 'Burn out!!!'」は発売前。「Takin' my Heart」はここで初披露でした。
しかも「EXPOSE 'Burn out!!!'」は動画撮影OKで、『バンドリ!』でのお客さんの撮影を初めて導入したのが私たちだったんですよね。さらに、Pastel*Palettes丸山彩役の前島亜美さん、ハロー、ハッピーワールド!弦巻こころ役の伊藤美来さん、Afterglow青葉モカ役の三澤紗千香さん、Glitter*Green牛込ゆり役の三森すずこさんがゲストに来てくれて、私たちはバックバンドもやりつつも、Afterglowさんの曲は蘭ちゃん役のあやねる(佐倉綾音)の代わりに歌わせてもらって。本当にいろいろなことが凝縮されたステージでした。
今でも「あの時はああだったね」「こうだったね」って当時のことをよく話します。『バンドリ!』だからこそできる、武道館3DAYSだったと思います。
──すごいことですよね。
Raychell:そう思います。私、アーティストとして15年やってきましたけど、自分の名義で武道館をやるなんて夢にも思ってなかったです。あのタイミングでRASの一員としてステージに立てたこと、いま思い返しても本当にすごいことだったなって……正直、当時の自分が一人だったら、挫折してたと思います。
──そうしたキャリアを振り返っていった中で“RASらしさ”、というのはどのように確立されていったんだと思いますか?
Raychell:今でも、10バンドある中で「RASらしさ、私たちの個性って何だろう」って考えることがあるんですけど……先日ポピパさんのライブ(2025年5月26日(月)『Poppin'Party 10th Anniversary LIVE「ホシノコドウ」』)を見て、改めて思ったんです。ポピパさんって、やっぱり“キラキラドキドキ”なんですよね。観ていてワクワクする、夢の中にいるような時間をくれるバンドだなって。それに対して私たちは“感情の解放”がテーマになっているように感じています。
ツーステップしたり、頭を振ったり、感情を叫んでぶつけ合ったり……。歌詞やメロディ、サウンドの強さで、観に来てくれた人の中の感情を引き出して、その瞬間に全部さらけ出してもらえるような。そんな“体感する”ライブが私たちの強みなのかなって。
昔は「私たちのことなんて誰も知らない」という前提で、とにかく知ってもらわなきゃ! 全力で爪痕残して、楽しんでもらわなきゃ!って、それだけを胸にライブしてました。特にポピパさん、Roseliaさんという二大巨頭の存在が偉大すぎて。過去には「RASって誰?」と言われることがありましたが、それが今の私たちらしいパフォーマンスにもつながっていきました。ヘドバン、ツーステップ、「お前ら声出せ!」って煽るスタイル。アニメやゲームでは見られない部分を、私たちがライブで表現していく。それが“RASらしさ”になっていったんだと思います。
「RASを観に行ったから、明日からちょっと頑張ってみようかな」というマインドになるライブを届けたいなと思いながら今でもライブをさせていただいています。
──ロックがあまり得意じゃなかったRaychellさんが「お前ら声出せ!」って煽ってるって、本当にすごい変化ですよね(笑)。
Raychell:そうなんですよ(笑)。ちょうどこの間、私デビュー15周年を迎えたんです。私がデビュー前からボイトレでお世話になってた方からご連絡をいただいて「15周年おめでとう」というお言葉をいただいたんですね。その方が私の配信も見てくださったらしく、その時に一緒に言われた言葉が印象深くて。
というのも、そのときの配信で話していたのが、先日「ANISAMA WORLD 2025 in TAOYUAN」に出演させてもらったときのことで。その日、fhánaさんの「青空のラプソディ」をカバーしたんです。そしたら齋藤P(アニサマ統括 Producer&総合演出の齋藤光二氏)に「Raychellさんって、こんな可愛い声も出せるんですね」といったことをおっしゃっていて(笑)。それを自分の配信で話していたんです。そうしたらボイトレの先生が「そうだよ、Raychellはもともと可愛い声だったんだからね!」って(笑)。
──今とは歌声も違ったと。
Raychell:そうなんです。インディーズ時代の私は、バラードを中心に歌っていたこともあって、今よりも柔らかくて、どちらかといえば線の細い声だったんですよ。そうだったなぁ……って、ふと振り返って笑っちゃったんですけど(笑)。今や、太い声でロックを歌って、「お前ら、かかってこい!」って煽ってる自分がいる(笑)。あの頃の私からは想像もできなかったですね。
──そもそもどうやって今のロックな歌い方を掴んでいったんでしょう。
Raychell:本当にいろいろな方の歌声を聴いて、学ばせてもらいました。『バンドリ!』でいえば、ポピパさんやRoseliaさんの楽曲、三森さんの歌声、Afterglowの雰囲気……アニソンやロックの歌い方ってこういう感じなんだって、少しずつ盗みながら、学びながら自分の中に取り入れていって「R・I・O・T」のレコーディングに挑みました。
今でも新曲をいただいた時はそうです。「この曲でレイヤはどんな感情を持っているだろう」「チュチュはこう来るだろうな」とか、ストーリーを含めて、楽曲の中での役割や表情を考えながら、毎回変化をつけてみようって工夫しています。それを考えるのも楽しいです。そういう意味では、RASに、そして『バンドリ!』に育ててもらっていると実感しますね。
──レイヤに夢を見させてもらいつつ、レイヤに夢を与えているのもRaychellさん自身、という素敵な循環ですね。
Raychell:そうだったら嬉しいですね。本当に。

















































