
『アクアリウムは踊らない』制作者・橙々さん×スーズ役・黒沢ともよさんインタビュー|スーズがいなければ『アクおど』は生まれなかった。開発中、大きく変わったシナリオのポイントとは?
お二人が子どもの頃に怖かったものは、まさかの……?
──スーズは幼少期の経験から、水に対して恐怖心を抱いているキャラクターでもありますが、黒沢さんご自身は、子どもの頃に怖かったものはありましたか?
黒沢:子どもの頃怖かったもの……なんだろう、同級生……でしょうか。
橙々:ちょっと深く聞くのが怖いんですけど、どういうことですか(笑)。
黒沢:いえ、私って小さい頃から子役をやらせてもらっていたので、大人たちと一緒にいる時間の方が多かったんです。当たり前ですけど、大人って子供より言語化がうまくて。
そういう方々に囲まれて育ったので、学校などで同い年の子たちといると、何を考えているのか全然分からなかったんですよ。
──なるほど。確かに、子供の頃から社会に出られているわけですからね。
黒沢:そうなんです。遊びに誘われたりしても「何のために遊ぶの?」とか「私に何を求めているの?」とか、いろいろ考えすぎちゃって。今思うとヤバい考え方をしているし、つまらない子供だったなと自分でも思うのですが、当時は同級生とどのように会話していいのか分からなかったんです。それが中学生くらいまで続いていましたね。
──橙々さんは、怖かったものはありましたか?
橙々:水族館が舞台のゲームを作っていながら、実はその水族館が怖いんです。水の生き物とか深いプールみたいなを見ていると怖くなるというか。最近になって知ったのですが、海洋恐怖症というものがあるらしくて。指摘されて「それかもしれない」と気づきました。
──差し支えなければ、恐怖を感じるポイントについてお聞かせいただけますでしょうか。
橙々:水族館って、深くて大きい水槽もあるじゃないですか。あれをずっと見ていると吸い込まれそうになる怖さを感じていて。「水族館とホラーの相性がいいのではないか」と思いついたのも、そのあたりの感覚から来てるんです。
黒沢:それはもう克服されたんですか?
橙々:いや、してないんです。今でも怖くて(笑)。
ただ、不思議なことに「怖いけど好き」なんですよ、水族館。行ったら楽しいし癒やされるんですけど、ふとした瞬間に恐怖みたいなのを感じることがあって、それがなんかたまらないみたいな(笑)。単に私がドMなのかもしれないですけど、それがクセになってるのか、定期的に通っています。
──私もダムなどを眺めていると、吸い込まれそうで恐怖を覚えるのですが、それでもなぜか何度も見てしまったりして……橙々さんのお気持ちが分かる気がします。
橙々:そうなんです! まさにそんな感じで、怖いのにちょっと覗いちゃうみたいな……変な感覚があるんですよね。
──意外な背景も明かされた『アクおど』ですが、本作といえば、橙々さんがお一人で作られたというエピソードも有名です。黒沢さんはお一人で何かを成し遂げられた経験や思い出はありますか?
黒沢:うーん……たぶん私、一人で何かをやり遂げたことって、ほぼないんですよね。
やはりお芝居は皆と一緒に作るものがほとんどですし、誰かとの共同作業以外で何かを作るという経験が、まったくといっていいほどないんです。
あとお芝居に限らず、基本的に一人じゃ何もできないタイプの人間なので(笑)。さっき橙々さんが「次も一人でやりたい」とおっしゃっていましたが、正直信じられなくて。私からすると本当にすごいなと思います。
橙々:私からすると、逆にずっと誰かと一緒に作品を作っている人たちの方がすごいなと思っています。
黒沢:でも、何かあった時って、全部自分の責任になっちゃいませんか?
橙々:そうですね。私はむしろそれが良いというか、自分の責任だからこそ頑張れる部分があるんですよね。ちゃんと自分が責任をもってやりたいなと。
黒沢:ええっ! カッコよすぎるんですけど……!
──黒沢さんといえば、スーズのように心が揺れ動く思春期のキャラクターを演じられることが多い印象がありますが、役者としてキャリアを重ねる中で、ご自身とのギャップを大きく感じるようになったことはありますか?
黒沢:そこがうまく表現できているのかは、正直、自分では分からないのですが……。でも以前、「思春期特有の不安定さは、若い今だからこそ出せるお芝居だよね」って言っていただいたことがあったんです。
ただ、私も今では28歳になりましたが、昔とまったく変わらず不安定です(笑)。最近では、この不安定さは年齢のせいではなくて、自分が元々持っている性格なんじゃないかな、なんて思い始めています(笑)。
──(笑)。そこに年齢は関係なかったのではないか、と。
黒沢:あと、私って基本的にフレキシブルな性格なんです。自分の中で考えてやったことでも、「それは違うよ」と言われたら、「あ、そうなんだ」って素直に受け入れて、180度変えることにもまったく躊躇がないタイプというか。
それが結果的に、少し情緒が不安定だったりするキャラクターにも、寄り添いやすい形になっているのかもしれないなって思います。
そうやって柔軟に対応しながらも、自分の表現をうまく導いてくださる監督さんたちとご一緒できているのは、本当にありがたいことだなと感じています。
──最後に、お二人から『アクおど』ファンに向けてメッセージをお願いします。
黒沢:改めまして、スーズを演じさせていただきました、黒沢ともよです。
インタビューでも語らせていただいた通り、ファンの皆様との熱い繋がり、盛り上がりも『アクおど』の魅力のひとつだと思っています。そんな作品で主人公を演じさせていただくのは非常にプレッシャーがあって、楽しくはありつつも緊張もした収録でした。でも橙々さんのお人柄もあって、『アクおど』の収録現場は明るく楽しく朗らかに進んでいて、いつも助けていただいています。
『アクおど』は、これからもまだまだ盛り上がっていく作品だと思いますので、私も何とかそこに並走できる存在であり続けたいと思います。これからも『アクおど』の応援、よろしくお願いします!
橙々:今回、コンシューマー版の発売にあたり、キャストの皆さんにキャラクターの声をつけていただいたことで、より『アクおど』が、皆さんのイメージに合った、身近なゲームになったのではないかと思っています。
キャラクターに声がつくというのは、『アクおど』を作っていた時にも夢見ていたことで、今回その夢が本当に叶って、今もふわふわした夢の中にいるような感覚です(笑)。おそらく発売までは、ずっとこんな状態が続くのではないかと思っているのですが、今回発売されるコンシューマー版は、その私の夢が形になったものになっています。是非お手にとっていただければと思います。
『アクおど』については、これからも私自身、まだまだやりたいことや考えていることがたくさんあります。引き続き応援よろしくお願いいたします!
【インタビュー・文:米澤崇史】
『アクアリウムは踊らない』作品情報

タイトル名:アクアリウムは踊らない
ジャンル:謎解きアドベンチャーホラーゲーム
プラットフォーム:Nintendo Switch™ / Steam®
Nintendo Switch / Steam ダウンロード版発売日:2025年8月1日(金)
Nintendo Switch パッケージ版発売日:2025年10月30日(木)
価格:
【ダウンロード版】2,200円(税込)
【パッケージ版】4,950円(税込)
販売形態:ダウンロード版、パッケージ版
CERO:「C」(15才以上対象)
プレイ人数:1人用
対応言語:日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)
原作:橙々
開発:Gotcha Gotcha Games、フロンティアワークス
パブリッシャー:フロンティアワークス
『アクアリウムは踊らない』Nintendo Switch / Steam版 PV
Nintendo Switch・Nintendo Switchのロゴは任天堂の商標です
©2025 Valve Corporation. SteamおよびSteamロゴは、米国および/またはその他の国のValve Corporationの商標および/または登録商標です
















































