音楽
石原夏織、1st E.P『As I Am』で初作詞に挑戦!“自分らしさ”を歌に込めて語った想いとは?

「As I Am」は私そのもの――石原夏織が綴る“自分らしさ”とファンへの想い

声優、アーティストとして一段と表現の幅や奥行きをみせている石原夏織さんが、1st E.P「As I Am」を2025年7月2日にリリース!

4曲収録した今回の1st E.P、最大の注目はなんといっても表題曲「As I Am」の作詞を石原さん自らが手掛けたことでしょう。これまでも「やってみたい」と口にしていた彼女ですが、作詞に挑戦するのは初。“自分らしさ”をテーマに、どのような想いをこめたのか。カップリングの「ムーンランナー」「RefLight」、デビューシングルの表題曲を新たにピアノアレンジした「Blooming Flower with Piano」と合わせて、彼女の魅力が詰まった1st E.Pについてたっぷりお話をうかがいました。

 

 

みんなの優しさに触れ、言葉をいただいたことで気づいた“自分らしさ”

──今回、表題曲「As I Am」で初の作詞に挑戦しています。以前からインタビューなどで「作詞をやってみたい」と話していましたよね。

石原夏織さん(以下、石原):そうなんです。提案は何度かいただいたのですが、実際にやるとなるとやっぱりできないかも……と思ってお断りし続けていて、今回ついにやることになりました。

 

 

──テーマは“自分らしさ”。作詞をするなら「自分の実体験をもとにした思いを」とも話していましたし、歌詞を読むと気になる言葉や表現も多々ありますが、まずは全体としてどのような想いを込めたのか教えてください。

石原:私は自分の内面について話すことが得意じゃなかったんです。「楽しい」とか「嬉しい」は素直に表現するんですけど、「苦しい」「辛い」「悲しい」といった気持ち基本的に出すものではないと思い、出してこなかったんですね。でも、それを書かないと本当のところに辿り着かなかったので、いい機会かなと思って向き合ってみました。歌詞には自分が経験したことや、そこから考えた答えが込められています。

──〈着飾って 纏ってく〉との歌詞があるように、意識していたか無意識だったかはともかく、やはり“表に見せる自分”があったと。

石原:“こういう自分にしよう”というよりも、“周りから見た自分”に振り回されているな、と感じることがあって。ポジティブな意味で「こうしたらいいんじゃないの?」と言ってくれていたのかもしれないけど、それって人から言われたものであって自分の中から出てきたものではないから、私の本当の姿ではないじゃないですか。纏ってみたものの、そこには本当の自分はいないんだと気づき、戸惑っている自分がいたんです。いつか内面から湧き出てきた本当の自分に出会えたらいいな、一生通しても見つからないかもしれないけど出会えたらいいなと思う自分が、こういった表現に隠れています。

──自分自身を見つめ直す大きなきっかけになったのは、やはり2018年のアーティストデビューでしょうか?

石原:そうですね。私、ポジティブではあっても“根アカ”ではないから、例えば「いいね」とほかの人が言ってくれるまでわからないこともあるんです。そういう言葉を直接いただけて、よりファンの人との距離の縮まったタイミングがアーティストデビューだったと思います。「自分らしさはこういうものなんじゃないか」と気づきはじめたタイミングでもあります。

お手紙やメールをたくさん送ってくれて、その話をリリースイベントなどでしてくれると「この人があの(お手紙をくれる)人だったんだ」と顔を覚えていく自分がいて。そういった人たちの言葉に救われることも多く、振り回される言葉だけじゃなく救われる言葉もいっぱいあるんだなと感じました。そういった経験を経て、いま皆さんに対する思いや自分に対する気持ちを表現しています。

 

 

──歌詞にある〈キミから〉〈キミと一緒〉といった〈キミ〉はファンのことを意識しているのかなと思いますし、それだけでなく“これまでの自分”と一緒に歩いていく、といった捉え方もできそうだなと感じます。

石原:基本的にはファンの皆さんのことを思って、“自分らしさ”というテーマで書きましたが、聴いた人が「いまの自分と合致する」と思える隙間も入れたつもりです。聴く人によってどのような捉え方もできる歌詞になればいいなと思っています。

いろんな人からの優しさとかに触れたことで、自分が明らかに変わっていく瞬間が多かったんです。年を取ったからもあると思いますが、「自分のことに一生懸命だった自分」から、自分ではない「ファンの皆さんが幸せになったらいいな」と視点が変わっていって。前回の「Gift」も自分のことを代弁しているのかな?と感じるものでしたが、自分で書くことによってファンの皆さんにきちんと伝わって欲しいと思いました。

──ほかにも、使っている言葉からいろいろ想像できますよね。例えば〈手紙〉ではなく〈花手紙〉なのは、あれを示唆しているのかなとか。

石原:歌詞を読んだ人が「このタイミングのことなのかな?」と想像してくれたら面白いなと思っています。私、インスタなどで結構次のリリースのことや、MVを撮影している匂わせをするんです。あとで伏線回収をして「あのときだったのかな?」と思ってもらうのが好きで、割とやっているんですよ(笑)。それと同じように、この歌詞でも「みんなにこう見えていたタイミングが、私からはこう見えていたんだよ」と伝わったらいいなって。

──〈春の雪〉も、当時の天気を調べてみましたから。

石原:そうなんです。みんなどこまで覚えているのか気になります(笑)。

 

 

──本当に歌詞を読めば読むほど、これはこういうことかな?と考えちゃいますね。

石原:フルが公開されたら、みんなどのぐらい気づいてくれるのかとっても楽しみです。

──ぜひSNSでエゴサしてみてください(笑)。

石原:そうですね。それを見て「当たり、当たり!」と楽しもうと思います(笑)。作った側の特権ですから。

──実際に作詞するのは大変でしたか?

石原:もっと時間がかかると思っていたのですが、1週間ぐらいで書けたんですよ。私自身ビックリしましたし、プロデューサーもみんなもビックリしていました(笑)。初めてだったのに、やりたかったことができたので満足です。
 
 

レコーディングは“学びに行く遊び場”

──作曲はフワリさん。ラジオで「どういう曲にするかもご自身で提案した」と話していましたが、そのあたりについて詳しく教えていただけますか?

石原:私が作詞をするとなったタイミングでは、テーマはまだ決まっていませんでした。ただ、いつも思っていたのですが、元気な曲はかなりギアを入れないと歌えないんです。歌おうと思えば歌えますけど、すっごく頑張らないとダメで……。もともとが根アカではないからだろうなと気づいていたから、フワリさんに「超元気な曲にはしないで欲しい」「切なくて、でもただ暗いのではなく、ポジティブでキラキラしているところも感じさせる曲をお願いしたいです」とご提案しました。

フワリさんに書いていただくのは3曲目になりますが、ライブにも来てくださいますし、レコーディングも結構ご一緒しましたから、私の人となりをわかってくださっていて。すぐ掴めたようで、最初からこのテイストで持ってきてくださいました。このテンションの曲なら自分の内面を上手く書けそうだなと思いましたね。

 

 

──それだけご自身の想いが詰まった歌詞ですから、レコーディングも感覚が違ったのでは?

石原:そうですね。これまでも歌詞から情景や心情を読み解いて歌っていましたが、それはやっぱり“演技”といいますか。本心ではあるけど実体験ではないので、想像しながらやっていたんです。でも、この曲に関しては、“何年のこの時”といった明確なものがあります。といっても、歌詞に具体的なことまでは書いていないので、隠しながらも伝わって欲しいなと思いながら歌いました。そこがこれまでと違うところです。

──昔から知っている人は、あの時のことかなと思うでしょうし、最近ファンになった人は自分のことと重ねて捉えてもいいわけですよね。

石原:はい。最近ファンになってくださってよくわからないと思ったら、周りのファンの人に聞いていただいて、そういうことだったんだと知るきっかけになったら嬉しいなと思います。私とは切り離して、ご自身の体験と重ねて聴いていただいてもいいので、いかようにでも聴いていただきたいです。

──石原さんはレコーディングに苦戦するタイプではないと、これまでも話していましたが、今回もそれほど苦戦せずに済みましたか?

石原:いけました。それって歌が好きで、自宅でも頻繁に歌っているからだと思いますし、私は学ぶことが好きなんです。毎回、アプローチを考えてレコーディングに臨むのですが、「そうじゃなくて、こう歌って欲しい」といった提案も「なるほど。そういう面白い角度があるんだ」「静かなメロディに合わせて声を小さくしたけど、ここはスパッと切り離して歌ったほうがいいんだ」と素直に受け取るので、あまり苦労だと感じないのかもしれません。レコーディングはお仕事ですけど、“学びに行く遊び場”のような感覚があって、音楽のプロに新しい知識をもらうつもりで挑んでいます。

──歌い方でいえば、今回の楽曲はまさにそうですが、ここ数年は切ない曲や聴かせる曲にさらに磨きがかかったように感じます。

石原:そういってもらえて嬉しいです。確かに、本当の自分に近いと感情が自然に動くので、こう表現して、この感じが伝わって欲しい、と思えるものがわかりやすいといいますか。「As I Am」もそうですし、「Gift」や「Starcast」とかは歌っていてすごく楽しいです。

 

 

──そして、「As I Am」はMVも公開されています。とても自然体で普段の様子そのままな感じですね。

石原:“皆さんの日常に私がいる”のを表現したかったので、今回のMVはナチュラルで勝負しています。撮影のときも「気取らず、あまり撮影だと考えずに自然に思うままに動いていいから」と言われました。自然すぎて全然動かないこともありましたけど(笑)。

──映像的に「昔、石原さんと一緒にこんな日を過ごしたよな」と回想しているような雰囲気もあって。

石原:確かに。撮影場所は初めて行ったのですが、昔から知っている場所のように感じました。

──ちなみに、撮影はどこで?

石原:多摩川の河川敷です。意外と都心で撮影したんですよ(笑)。

──商店街とかに迷惑がかからないように気をつけて、ぜひ行ってもらいたいですね。

石原:ぜひぜひ。今回は行きやすいと思います。

 

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