
夏アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』放送直前声優インタビュー|石川界人さん、瀬戸麻沙美さん、雨宮天さん、上田麗奈さんが語る《大学生編》の注目キャラクターは?
「大好きです」と伝える咲太の嬉しいのやり取り
――ネタバレにならない範囲でみなさんが《大学生編》で気に入っていたり、注目していたりするキャラクターとその理由をお話いただけますか?
石川:僕は福山です。現実にいそうなキャラクターでありつつ、咲太とは方向性の違う優しい人を表現していると思っています。というのも、大学に入るにあたって咲太は有名人と付き合っている男の子なので、普通なら気を遣われる存在じゃないですか。だけど福山は気にせず話しかけてきてくれるんです。
彼を咲太の友人だと言い切って構わないのか迷いはあるものの、咲太と福山はよく一緒の空間にいて一緒に行動することが多い関係になっていきます。それは彼の優しさからくる気遣いみたいなところがあると思いますし、優しい人になりたいという咲太の志を考えると、福山のような人に触れられるのはとても素敵なことだなって思います。
――咲太が国見以外の男子と関係性を構築しているのはまた新鮮な描写になりそうです。
石川:国見は就職してモラトリアムを飛び越え大人への一歩を踏みだしています。それもこの先の見どころのひとつですね!
――ありがとうございます。瀬戸さん、雨宮さん、上田さんはいかがでしょうか?
瀬戸:各キャラクター気になるのですが、私は赤城郁実の抱えているものに共感しました。彼女を見ているともどかしさを感じて、今の自分がというよりも、過去に自分も彼女のような思考に陥ったことがあるなと思い至りました。自分にもある何かをどのキャラクターからも感じるのですが、赤城は特にその部分をくすぐられた気がしています。
山根綺ちゃんの繊細なお芝居が彼女の痛みを丁寧に表現してくれているので、赤城の痛みやもどかしさを見ていてとても感じられると思います。台本や原作をチェックした時よりも、アフレコ現場でややちゃん(※山根さん)がお芝居した赤城の方が、声色に経験がのっている感覚があって印象に残ったくらいです。
雨宮:私は双葉理央がいいなって思いました。大学生になってもなんだかんだで咲太と近いところにいますし、環境が変わっても頼れる友達みたいな咲太と理央の距離感が好きなんです。《高校生編》の頃から良かったけれど、《大学生編》になってより一層気に入りました。
基本は咲太が新しく登場した女の子を支えてあげる構図ですが、理央に関しては咲太も頼っていて、相談すると良いことを言ってくれるんですよね。凝り固まっていた考えを覆してくれる新たな視点からの意見とか、視聴者的にもドキッとする核心を突いた意見も言ってくれますし。私はそんな理央のポジションや言葉が気持ちが良くて好きです!
上田:私は今回のエピソードでづっきー(※広川卯月)に共感できるところがあって、グッと好きになりました。づっきーの悩みにも共感できたし、づっきーを見ている人たち側にもわかるところがあったんです。だから総じてづっきーみたいになりたいって思ったんです。
そんなづっきーは今回の大学生編で悩んだ結果、ちょっと様子が変わります。同じキャラクターだけどちょっと違うその匙加減が本当に気持ちよくて、その部分の雨宮さんのお芝居の匙加減もドンピシャでした。そういうところに感動したことも含めて、より好きになったキャラクターがづっきーでしたね。
雨宮:(※とても嬉しそうにしつつ)もうっ……ありがとう! 今日寝る前に思い出すね!!
一同:(笑)。
――《大学生編》では少し年齢があがって変化が見られたキャラクターもいるのではないかと思います。みなさんから見て変化が印象に残ったキャラクターは誰になりますか?
石川:花楓は変化が著しいなと思います。かえでから花楓に戻ってからは咲太との距離感が現実にいるような兄弟の形になっていったのですが、よりブラッシュアップされて年相応の反抗心や生意気さが生まれてきています。それが彼女の精神的な成長や咲太への依存からの脱却に繋がって、今はひとりで地に足をつけて歩いているんだっていう表現になっているんです。
咲太に対しては当たりが強いなとも思うことがあるんだけれど、それが心地いい……みたいな。そういう変化が一番あったキャラクターだなと。『おでかけシスター』の頃はまだ自分の足で歩けなかったけれども、もう自分の足で歩いている。彼女は彼女の人生を花楓として歩んでいるんだっていう自信みたいなものが見えると思います。
瀬戸:私も花楓を見ているとその変化に心が温まるなって思います。それこそお兄ちゃんの咲太に対して自分の意見が言えるのって、きっと自分をしっかり手に入れられたからなんだろうなって思うんです。そこはもう微笑ましかったです。
後は変化でいうと、《大学生編》の各キャラクターのビジュアルが公開された時にみんなが私服になっていたのは興奮しましたね。麻衣さんはどんな私服なんだろうとか、咲太はどんな服を着るんだろうとか、そういうワクワクがあったんです。考え方や内面の変化もあると思うけれど、見た目の変化の部分もアニメでは楽しんでもらえるのかなって思いました。
雨宮:私は麻衣さんの余裕のある年上お姉さん感がマシマシになっているのがいいなって思います。例えば咲太が合コンに行ってもいいかみたいなお伺いを立ててきても、何でもないことみたいに「いいわよ」ってOKを出してくれたり、車で迎えにきてくれたりする。まだ同じ大学生なのに、かなり年上の仕上がったお姉さん感があるなって。
――上田さんは本作からの出演ですが、共感したり気に入ったキャラクターはいますか?
上田:私は理央と東山奈央さんが演じられている古賀朋絵が気に入っています。このふたりにまさかこれまで恋の色々があったなんて、《大学生編》から見始めると気付かなかったりするかもしれません。視聴者目線にはなるのですが、少し前に進んだのかな?って感じるようなやりとりを過去に想いを持っていた人としていたりする印象があったので、《高校生編》から触れてみたいなと思う方もいるんじゃないかなって思います!
――《大学生編》ならではの魅力や見どころもお教えください。
石川:思春期症候群は思春期に生じるものだという原理原則は変わらないのですが、《大学生編》ではそこから一歩大人に近づいて、社会性や挫折であったり、自分たちが生きていく中で実現しようと藻掻いている理想のようなものに、どうしても届かないような状況で起こりうるアイデンティティクライシスが描かれるのではないかなと。
思春期特有の承認欲求であったり、狭い社会でのコミュニケーションの悩みだったりが拡大するところもあるのですが、その解決方法も劇的なものばかりではなかったりして、これまで以上に大人な解決方法が描かれるのかなと思っています。白黒つけるばかりが解決ではなくて、グレーなものをグレーなままにしといたっていいんだ、という受け入れ方みたいなもの。それが《大学生編》では強く出ているなという印象ですね。
瀬戸:確かに悩みには気付いていてどうにもできないけれど、なんとかしなきゃと焦ってしまうみたいなところは感じます。そこから意地になる人と諦めてしまう人とで、分岐に差し掛かることも多いような印象がありました。だからより心に響くし、より静かな物語になっていったかなと。それが『青ブタ』の魅力だというのも再認識できたと思います。
雨宮:大学生ともなるとザ・思春期と言える中高生を終えた大人一歩手前というか、もう大人だよねと言えるくらいの絶妙な時期ですよね。ある程度は人生の積み重ねがある状態だからこそ、悩みが今を生きているからこそ出てくる問題になっている。
過去の一点に対して思うところがあっての問題なんて、やっぱり積み重ねがあるからこその悩みじゃないですか。《大学生編》ではそういう積み重ねがあるからこその悩みが増えたのかなっていう気がしています。
上田:中高生の頃はみんな同じ決められた授業を受けて、決められた制服があって。そこから大学生になるとより自分で考えることが増えてくるから、悩んじゃうよねとは思います。
そうやって選んだことが本当に重い決断になることが多くなってくる時期ですけれど、石川さんがおっしゃったように曖昧な部分をOKとしつつ自分の意思で選ばせてくれるのがなんだかいい作品だなって思うところです。
そこで後悔が無いようにというか、自分で決めたっていうのがあるようになっている。難しい時期の子たちだけど、そうなっていくのがいいなと思います。
――みなさんの考える主人公・咲太のかっこいい一面や素敵だなと思う部分も教えてください。
石川:僕が素敵だと思っているのは、ことあるごとに「大好きです!」と言葉にして伝えるところです。高校生の頃から変わらない部分ではあるのですが、麻衣さんとお付き合いを続けて大学生になっていく中でもこの言葉を伝えていて、しかも彼なりにその言葉に大きな意味があると認識した上で伝えるのが素晴らしいなって。
『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』で表現されましたが、「ありがとう」と「がんばったね」と「大好き」という翔子さん(※大人の方の牧之原翔子)からもらった3つの大切な言葉の中にこの「大好きです」もあるというところで、咲太なりに大きな意味があるんですよね。それを僕は言われたら嬉しいし、そのことを相手にも伝える。そうやって嬉しいのやり取りをしているので、僕は咲太を良い男だなと思います。
瀬戸:作中でも咲太のちゃんと言葉にして伝えるっていうカッコよさが描かれていますよね。日常に溶け込んでいる台詞だと、私は花楓/かえでに対しての言葉のかけ方が印象に残っています。考えていないようで考えている言葉選びをすることもあれば、雑に扱うこともある感じ。二人暮らしを続けてきたところがあるので、例えば花楓の受験の日に朝ご飯を作ってくれるような、そういう時に当たり前にサポートしてくれるところが好きです。
雨宮:この先の物語で卯月に焦点が当たった時に、卯月と咲太がちょっとしたやり取りをするシーンがあるのですが、私はこの時の咲太の返しが好きでした。その時に卯月は「浪漫がないね」って返すのですが、この時のふたりの空気感がなんかいいなって。色々な悩みを持った女の子たちがいる中で、咲太は誰とでも近い心の距離で話せるというか、本当にふたりきりの空間を作るのが上手ですよね。そんな咲太の良さが現れていたなと思います。
上田:咲太くんは今一番欲しい言葉をくれるのが本当にありがたいし、凄い人だなって思います。私は麻衣さんが咲太のほっぺをプニプニしてからの、「なんですか?(※咲太)」「なんでもない(※麻衣)」っていうやりとりですね。この後で麻衣さんがニコッて笑うのですが本当に可愛くて、この笑顔を作れるのは咲太だけなんだと思うと微笑ましい気持ちになりました。





















































