
MADKIDが「変革」を掲げた新曲は尚文たちの決意とリンクーー『盾の勇者の成り上がり Season 4』OPテーマ「Resolution」インタビュー
ラスサビ前の一番静かに歌っているところはラフタリアを意識!?
――初めて楽曲を聴いた時の感想をお聞かせください。
YOU-TA:『盾の勇者』の曲はいつもフルアウト(「全力」を意味するダンス用語)で届けているので、聴く前から「覚悟」しています(笑)。今回もダンスも歌もめちゃめちゃ難しいし、そもそもテンポが速いのでダンスを合わせるのも難しくて。だからこそ全力でパフォーマンスすることで皆さんにも曲や僕らのエネルギーを届けられると思っています。
――またSHINさんとKAƵUKIさんのボーカルがハードな曲を一瞬クールダウンさせるアクセントになっていますね。
KAƵUKIさん(以下、KAƵUKI):僕はこの曲ではラスサビ前の一番静かになるところを担当しています。僕の声質的にも自分を活かせるパートだなと思ったので、そこを歌えて嬉しかったです。そして僕のパートを聴いて、ラフタリアの持つ包み込むような優しさを感じてもらえたらいいですね。
SHINさん(以下、SHIN):ラスサビ前の僕のパートは、実はレコーディングの時には確定していなくて、誰が歌うのか決まっていませんでした。でも「このパートは絶対に勝ち取ろう!」という強い気持ちで臨んだので、結果的にそこを歌えたのはすごく嬉しかったです。
またサビではワンフレーズだけですが、「どうYOU-TAの歌になじませようか」と考えながらレコーディングしたことを覚えています。
――この曲は特に5人の個性や声がわかりやすいなと思いました。
YOU-TA:それぞれ歌っている声を聴いたら違う人だとすぐにピンとくるような、まったく似ていない声質や表現なんですよね。
一人ひとりが違うからこそ、歌ってもらうパートはしっかり任せるという意識で作っているし、今回もそうで。だから僕の声との対比で、SHINとKAƵUKIの声も活きてくるし、歌割もうまくハマったと思います。
――レコーディングはいかがでしたか?
YOU-TA:レコーディングはあまり苦戦せずに歌えた気がします。サビも力強いメッセージとフレーズになっていますが、これまでもやってきたことで、むしろそのクオリティをどれだけ上げることができるのかという作業でした。僕が意識したのは『盾の勇者』といえばシャウトっぽい表現なので、全力で真っ直ぐに歌いました。
LIN:いつものように英語版も歌っていますが、意識しなくてはいけないことがたくさんあって、日本語で歌うよりも難しかったです。ある意味、違うアーティストのカバーをするような感覚で。日本語で歌っているバージョンではいつも通りの自分を出すのが大切なので、肩ひじ張らずに歌うことを意識しました。
――パンクやヒップホップは英語のほうが音がハマるから歌いやすいのかなと思っていました。
LIN:英語版はネイティブな方にも伝わるように、歌詞もネイティブの方に英訳していただいていますし、リズムの置き方も自分とはちょっと違うところもあって。だから日本語版とは少し印象が変わっているのかなと。あるフレーズでは日本語版とは違うニュアンスや強弱があったりするので、2つのバージョンを、歌詞を見ながら聴いていただくとおもしろいと思います。
SHIN:ラスサビ前の自分のパートは勝ち取ろうという気持ちで歌ったので、一番気合いも入りました。自分でも全力を出し切れましたし、最高のテイクが録れたかなと思っています。
KAƵUKI:YOU-TAのサビからつながる1フレーズが難しかったです。後半のブロックを歌うのではなく、YOU-TAの歌声の中に僕の歌声も入って、またYOU-TAにつなぐということは、盛り上がってきたサビの感じに対して、僕の声質をどう使えばうまくバトンタッチできるのかを考えながらやっていましたが、とても苦戦しました。例えば2サビの「後悔なんて」のところは強く聴こえるように、言葉に濁点を付ける感じで歌っています。
YUKI:僕のパートは最後のほうが結構激しいので、負けないように声を出さなくちゃと。それと同時に最近の日本の音楽シーンでは音数が少ない曲が増えてきた印象があって。声のニュアンスに重きを置いているアーティストが多くなってきた感じがしていたので、仮歌の段階から聴いて少しでもひっかかる何かを作るような発声をしたいなと思っていました。ただラップで畳み込むのではなく、ブレスを意図的に多めにしたり、意識したつもりです。
2コーラス目のラップはメンバーの腕の見せどころ!
――この曲のお気に入りポイントや聴きどころなどご紹介お願いします。
YOU-TA:落ちサビ前のSHINとKAƵUKIのパートがお気に入りです。嵐の前の静けさみたいですし、歌詞がエモーショナルなところも良くて。あとSHINのパートに僕がハモを入れているんですけど、ハモがおもしろいラインになっているので、そこにも注目して聴いてみてください。
LIN:ラスサビ前のKAƵUKIのパートがすごく良くて。雰囲気を変えるきっかけとしてKAƵUKIの声がすごく引き立っています。その前のYUKIのラップもチャグ(短い短音で細かく刻むリフ)というかパームミュート(ギターを弾く時に手のひらで弦を抑えて余韻をなくし、音の響きをコントロールする技法)しているところがめちゃめちゃメタルっぽくて好きです。だからお気に入りは後半のYUKIのラップとKAƵUKIのパートです。
SHIN:僕は歌詞に注目して聴いてほしいです。「乗り越えてきたWave 足掻いていこう もっとGo」や「We'll never lose and cry Now nobody can stop us, No way!!」など、僕らをずっと応援してくださった方には特に刺さるような歌詞も多いと思うので、僕らの軌跡と重ね合わせながら聴いてほしいです。
KAƵUKI:LINが作る歌詞が『盾の勇者』にすごく寄り添っているなと毎回感じていますが、今回もとてもマッチしていると思います。またサビの落ちているところの僕のパートからSHINちゃんにつながって、ラスサビのYOU-TAにつながる、ボーカル陣のバトンリレーみたいところがきれいにハマっていると思うので、そこもチェックしてみてください。
――楽曲やパフォーマンスがワイルドなので一見見落としがちになりますが、パートの受け渡しやつなぎはすごく緻密で繊細なので、ちょっとのミスですべてが瓦解する怖さもあります。
YOU-TA:個々の声質が違うし、バランスが悪そうに思えるかもしれないけど、5人が集まると自然とまとまって。そんな不作為のバランスの良さが僕らの強みであり、魅力だと思っています。
YUKI:サビのメロディがこれまでよりもゆったりしているイメージがあって。メロディーとメロディーの間にすき間がありますが、そのすき間にすっと入るような歌い方じゃないとただ歌っているだけで、つながりがないように聴こえてしまいます。でも一人ひとりの声がちゃんとつながって聴こえるのはボーカル陣のスキルなのかなと。僕らは普通に聴いていますけど、いざ歌ってみると意外と難しいと思います。
あとこの曲の2コーラス目にBメロがないのも珍しいのかなと。Bメロでラップするのは個人的にはとても難しいと思っていて、サビの前はメロディーが一番引き立ちますが、そこをラップで加速しながら最後に行き切るのもスキルフルでした。そのために、前の「Don't be afraid」はメロディーありのラップで構成しています。一見普通に過ぎ去っている部分もちゃんとスキルで魅せているんだよというのがMADKIDの魅力かなと思います。
――サウンドはアグレッシブなのにキャッチーだからライブでも体がリズムに反応するけど、どう踊ったり、ノッたりすればいいのかがいつもわからなくて。
LIN:逆に言えば、皆さんそれぞれがリズムを刻んでみたり、縦横好きに揺れてみるのもいいし、コブシを挙げるのもいいし、好きな聴き方やノリ方で楽しんでもらえたらいいなと思っています。それがMADKIDの曲の楽しみ方ですし、そもそも音楽は自由に楽しんでもらうのが一番ですから。だからMADKIDのライブに来て、みんなが激しく揺れたり、ペンライトを振っているリズムと自分が感じるリズムが違ってもいいんです。どんな形でも僕らの音楽やパフォーマンスが届いているのなら嬉しいことです。
この曲は今まで以上にストーリーにバシっとハメられた手応えがあるので、そこも楽しみにしてもらいつつ、Season 4を毎週見ながら歌詞の意味を考察して楽しんでもらえたら嬉しいです。

















































