
前世の記憶が生えても、5歳の子どもの魂は残っている──アニメ『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』久野美咲さん×伊瀬茉莉也さん×土岐隼一さん×豊崎愛生さんによるキャスト座談会【連載 第2回】
7月から放送・配信中の『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます』。まだたったの5歳なのに、大きなお屋敷で使用人に囲まれ両親の顔を見ることもなく、ひとりぼっちで暮らしている鳳蝶。第2話では、その衝撃的な理由が明らかになったのですが……。誰も幸せにならない展開に、演じているキャストのみなさんもかなりつらい気持ちになったようで……。
今回は『しろひよ』随一のしんどいエピソード、第2話・第3話に焦点を当ててお話を伺っていきます。全4回シリーズの2回目です。
演じる側の心も痛むぐらいギスギスしたシーン
──怒濤の展開となった第2話・第3話ですが、振り返ってどのように感じられましたか?
豊崎愛生さん(以下、豊崎):ものすごい夫婦げんかでしたね。
土岐隼一さん(以下、土岐):この作品で一番苦しいのは、ここです。なので、この先は安心して観ていただけます!(笑)
──今後は心穏やかに……。
土岐:鳳蝶くんにとっては、つらい出来事となってしまいましたが、この経験がなければ彼がここまで覚悟を持って菊乃井領を変えようとはしなかったと思います。なので、物語上、必要な話ですので、しんどいシーンではあるんですけれど、これから視聴される方は、2話・3話を観ることによって、より鳳蝶くんを応援したくなると思いますので、頑張って観ていただければ……。
視聴された方は、このあとはずっと穏やかな空気が続きますので、安心して観ていただけたらと思います(笑)。それと、先ほど豊崎さんもおっしゃっていましたが、鳳蝶くんの両親の壮絶な夫婦げんかも、ある意味、見ものだと思います。なかなか普段聞かないワードが飛び交ってて……。「醜女」と書いて、しこめと読むとか……。
豊崎:あったねー。
土岐:これを平川(大輔)さんがおっしゃるという、なかなかレアなシーンを観ることもできます。
豊崎:平川さんご自身も、「ひどいよね」って……。演じる側の心も痛むぐらいギスギスしたシーン。でも、鳳蝶くんがクレバーに切り返すことで、彼の聡明さが引き立つシーンでもあるので、爽快さも感じられると思います。
久野美咲さん(以下、久野):鳳蝶くんも普通の5歳の子どもだったんだなってハッとさせられたシーンでもありました。鳳蝶くんは普段から自分の気持ちより周りの人たちの気持ちを優先する子で、自分のことで取り乱したりしないんですよね。でも、このときは泣くつもりはなかったのに自然と涙が溢れてくる描写があって……。彼だって本当は両親から愛されたかった。そういう気持ちは前世の記憶が生えたとしても、残っていて。元々の鳳蝶くん自身の魂や気持ちもちゃんと残っているんだなって改めて認識することができて、胸が締め付けられました。
──まだたったの5歳ですからね。
久野:でも、鳳蝶くんの良いところは、そのことで誰かにきつく当たったり、怒りをぶつけたりするんじゃなくて、悲しみやつらさを自分の中で消化して、レグルスくんのために自分にできることを前向きに考えられる。本当に素敵な人だなと強く思いました。
土岐:夫婦げんかのシーンでは、実際のアフレコでも久野さんがお父様とお母様の間に挟まれてお芝居をしていて、すごくしんどそうな顔をされていました。
久野:自分の両耳から、両親の言い争う声が入ってきて、本編のように子どもの頭上で夫婦げんかの言葉が飛び交っているようで……。
伊瀬茉莉也さん(以下、伊瀬):悲しい。
久野:だけど、一緒に掛け合い収録ができたからこその臨場感も出て、そういう意味ではありがたかったですし、アフレコはとても楽しかったです!
豊崎:私、セバスチャンが一番ひどいと思うわ。
伊瀬:ねー。あんなに小さな子を……。
土岐:第2話といえば、鳳蝶くんのお母様が冷たい態度を取ったあと、ロマノフが鳳蝶くんに「お勉強しましょうか」って言うシーンがあるんです。本当に些細なセリフなんですが、ロマノフとしては色々考えた末に掛けた言葉だったと思うし、この場の鳳蝶くんにももっともふさわしい言葉だった。言われた鳳蝶くんも一瞬考えてから、ロマノフの意図を察して「はい」と返事をする。このシーンが僕はとても好きで、だからこそ、このセリフは大事に紡がせていただきました。
──ロマノフも難しい立場に立たされているのに、鳳蝶くんのことを第一に考えて行動して……。
土岐:彼が好き勝手に振る舞えば、この件は落ち着くんです。でも、それは鳳蝶くんにとってのベストじゃない。彼は鳳蝶くん以外の人には冷たく当たることもあるけれど、やり過ぎてしまうと鳳蝶くんに跳ね返ってきてしまう。だから、ちょうどいいラインを見極めて、色々なワードを紡いでいる。
エルフとしては、内心、面倒くさいなと思いながらもそういう調整をしているんだと考えると、すごくいい人だなと思います。とはいえ、自分が楽しくなければ意味がないとも思っている節があるので、エルフって不思議だなぁとも思いますね。
──そこは人間とは違うんですね。
土岐:根本的に違う。演じ甲斐のある人物です。


































