音楽
Newspeak『BULLET/BULLET』ED「Glass Door」インタビュー

信頼から生まれるスペシャルなサウンドとバンドを続ける“意味”とは──Newspeak・Rei×Steven×Yohey『BULLET/BULLET』エンディングテーマ「Glass Door」&EPリリース記念インタビュー

2025年7月16日より「Disney+」にて配信中のアニメ『BULLET/BULLET(バレットバレット)』。配信のみならず劇場展開も控えており、7月25日から前章「弾丸疾走編」、8月15日から後章「弾丸決戦編」が公開予定です。

『呪術廻戦(TVシリーズ第1期)』『劇場版 呪術廻戦 0』を手掛ける朴 性厚監督が、約10年前に見たとあるデモから生まれた本作。朴監督が、時間をかけて“楽しみながら作った”と語る『BULLET/BULLET』のエンディングテーマを担当するのは、監督自身が“どハマり”したという3ピースロックバンド・Newspeak。

本稿では、メンバーのVo. Reiさん、Dr. Stevenさん、Ba. Yoheyさんのインタビューをお届け。信頼とぶつかり合いによって生まれるNewspeakのスペシャルなサウンドと「Glass Door」の制作などについて存分に語っていただきました。

2017年の結成から現在に至るまで変わらない、Newspeakの存在意義と音楽を奏でる意味とは。

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BULLET/BULLET
文明が崩壊し、荒野となった近未来の世界。人々は旧時代の遺物を活用し、貧しいながらも日々を暮らしていた。少年ギアはジャンク屋で働く裏で、4つの人格を持つロボットQu-0213、ギャンブル狂のシロクマとチームを組み、不当に奪われた品を取り返す”盗み屋”を営んでいた。ある日、殺し屋に追われる謎の少女ノアからの依頼をきっかけに、荒野の武装集団や、凶悪な殺し屋たちに追われることに。どうやらギアが盗んだのは、この世界を揺るがす「秘密」のようで—。作品名BULLET/BULLET放送形態配信スケジュール2025年7月16日(水)~Disney+にて【劇場版】前章「弾丸疾走編」:2025年7月25日(金)後章「弾丸決戦編」:2025年8月15日(金)話数全12話キャストギア:井上麻里奈シロクマ:山路和弘ノサ姉:釘宮理恵カウ姉:花澤香菜ナカ兄:関智一エイ婆:折笠愛ノア:瀬戸麻沙美バレル:古川慎ウィール:茂木たかまさリン:若井友希ブレックファースト:川原慶久アフタヌーンティー:加隈亜衣ランチ:田村奈央ブランチ:新谷真弓ディナー:折笠愛天麩羅寿司丸:神尾晋一郎デストロ犬:近藤浩徳バッティングセンター斎藤:中村悠一泣き男:山下大輝食肉センター・エマ:会沢紗弥闇カワアイドル・アイ:岩...

「信頼」×「ぶつかり合い」= “Newspeakサウンド”

──『BULLET/BULLET』のエンディングテーマを担当されるまでの経緯を教えてください。

Yoheyさん(以下、Yohey):朴(性厚)監督が「State of Mind」を聴いていたことがきっかけだったと聞いています。

その他にも色々な曲を聴いていただいたようで、その中でも「特に『Be Nothing』にハマりました」と言っていただき、最初の打ち合わせの段階から、すでに僕たちの曲をたくさん聴いて、Newspeakの音楽を受け入れてくださっていました。


Reiさん(以下、Rei):「Be Nothing」は(朴監督が)飛行機の中でずっと聴いていたくらいハマったとのことで、ものすごい熱量で……最近会ったファンの中でも一番ぐらいの熱量で「好きになりました」と言ってくださいました。

とは言いつつも「Glass Door」に関しては「アニメからインスピレーションを受けたものを自由に作ってください」というオーダーがありましたね。

──自由にというオーダーがあったということですが「Glass Door」は、実際どのように制作されていったのでしょうか。

Rei:物語の全あらすじと1話のVコン、キャラクターのデザインを拝見して、イメージを膨らませました。

その上で、朴監督に「大好き」だとおっしゃっていただいた、「Be Nothing」を頭の片隅に入れつつ、デモを作る。それを二人(Stevenさん、Yoheyさん)に聴いてもらって「いいね」と言ってもらえたので、3人でアレンジをし始めて……という流れです。楽曲制作のプロセス自体はいつもと同じだったと思います。

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──3人でアレンジを行うのですね。

Rei:そうですね。Stevenのスタジオに集まって、3人で一緒にアレンジしていきます。その流れで2番ができて、ブリッジをして……という順番です。

──「Glass Door」の制作過程で印象深かったことや「良い音が出た瞬間」について教えてください。

Stevenさん(以下、Steven):最初にReiの持ってきたデモがとても良くて、恐らくBメロは出来上がった曲と変わっていないんです。Bメロの、ビートが始まっていく……「ここから来た!」というニュアンスは変えたくなくて。

逆に迷っていたのはAメロ。スタートが一番大事じゃないですか、その印象でみんなのイメージが完成してしまうから。サビとBメロは、早い段階で「最高」ってなったんだけど、Aメロはいっぱい迷い続けて……結局、Reiが良いAメロを持ってきてくれたね。

Rei:僕とYoheyはデモのAメロが好きだったんですけど、Stevenが気に入らないって(笑)。

でも「最高」と言い切れない時点で、“もっと良いもの”があるんだろうなと思っていました。誰か一人でも首をかしげていると、前に進みたくないから。「それなら、まだ頑張ろう」「もうひと頑張りしよう」と。

今回はStevenがAメロについて首をかしげていたので考え直し始めたのですが、全然できなくて(笑)。何週間もかかって……難しかったですね。

Steven:ごめんね、最初のデモも良かったのに。

Rei:作ってる時は、結構Stevenのこと恨んでるよ(笑)。でも結局、曲が完成したらいつも感謝するんです。あのとき首をかしげてくれてありがとうって。

──やはり、3人であるからこそ“Newspeakサウンド”が生まれるのですね。

Rei:そうですね。3人が納得していないと進めない。バンドはそれでいいと思っています。

──ある種、ぶつかり合いのようなやり取りの中で、楽曲制作が進んでいくことが多いのでしょうか?

Yohey:あれはぶつかり合いなのかな。そうかもしれないです。

自分が自分のパートに責任を持つのは、みんながやっていることだと思うのですが、自分たちが作っている音楽だからこそ、遠慮なく話が飛んでいくような作り方をしていると思います。

──Newspeakの信頼関係があってこそなのかな、と思いました。

Rei:「イー!」ってなってますけどね。

一同:(笑)。

Steven:(笑)。二人のことは強く信頼してるから、その分「何か違うよ!」と思うところは戦うんだよ。

Rei:根はいいヤツですからね。毎回イライラを堪えながら作って、(完成に)たどり着いたら感謝しています。

──(笑)。最初の素案からReiさんがデモを作り上げた時にはすでに、「こういう楽曲にしよう」というイメージがあったのでしょうか?

Rei:いや、楽曲を作りながらでした。『BULLET/BULLET』はとても深いテーマに切り込みつつ、ポップに仕上げているものだったのですが、朴監督に刺さった「Be Nothing」の要素も取り入れたくて。

「Be Nothing」は、ポップというよりもダークというか、感情は爆発しているけれど沈み込んだまま終わるんです。今回は「Be Nothing」とは違う方向、もっとホープフルな方向に爆発していくエンディングが見えていました。

鬱屈とした環境の中で過ごしていた主人公が、仲間を見つけて希望に向かって走っていく……この絵を想像しながら作っていくと、やはりBメロの走り出すニュアンスや、サビで開けた世界が見えてくるイメージがほしい。そうしたら、自然と「Glass Door」の展開がついてきた、という流れでした。

Steven:Reiの言った通り「Be Nothing」が監督のお気に入りだったから、もちろん作りながら色々と「こうしよう、こうしてみよう」とアイディアが生まれたんだけど、「これだと『Be Nothing』から離れすぎちゃうよね」という瞬間もあって。

私にとって「Glass Door」のキーワードは「解放感」だったんです。きっとこれはReiも一緒だと思うけれど、自由な空気……「バーン!」と弾けるフィーリングがないとダメ。「Freedom!」という気持ちがないと。それが目指すべきゴールだったね。でもReiが持ってきてくれた最初のデモから、その雰囲気は最高だった!

──ドライブ感があって、サビでは2ビート的なリズムもあったりと、こちらの解釈の幅が広がるような楽曲だと感じました。気分が上がる一方で、優しさやエモーショナルな瞬間もある「Glass Door」ですが、どのような楽しみ方をしてほしいですか?

Rei:自分の生活を考えながら聴いてほしいかな。アニメの曲ではあるものの『BULLET/BULLET』だけに寄って書いても響かないだろうと思っていて。自分のバンドや属しているコミュニティのことを考えながら作りました。

現状に満足していてハッピーな人って、あまりいないと思うんですよね。自分の生活から自分と向き合って、向き合った先に見えるものを想像しながら聴いてもらえたらいいかなと。

ドアを開けて「明日、ちょっと頑張ろう」という気持ちになってくれたらいいなと思います。

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