
アーティスト・声優の山崎エリイさんが趣味の“紅茶”について綴るコラム連載「Erii Salon」【第12回:インスピレーションの源と秋のフレーバーティー】
アーティスト・声優として活躍する山崎エリイさんが、趣味の「紅茶」をテーマに綴るコラム連載「Erii Salon」。
日常的に紅茶を嗜みつつ、紅茶アドバイザーの資格も所持している山崎さんが、各月のテーマに沿って紅茶の魅力をお届けします!
第12回のテーマは、「インスピレーションの源と秋のフレーバーティー」。
今回のコラムでは、前半で山崎さんが「インスピレーションの源」として大切にしているものをご紹介。紅茶を傍らに置きながらページをめくる読書の時間や、音楽や美術作品などから受け取る刺激について、日々の創作や活動にどのようにつながっているのかを語っていただきました。
後半では、秋の訪れを感じさせるフレーバーティーをピックアップ。金木犀を使った茶葉を中心に、この季節ならではの香りと味わいをご紹介いただいています。山崎さんならではのティータイムとともに、秋の紅茶の魅力をぜひお楽しみください。
前回はこちら
「インスピレーションの源と秋のフレーバーティー」
早いもので暦の上ではすでに秋。
この季節は知識を深めたくなり、おのずと読書に対する意欲が増すのですが、やはり質感のある情報と向き合う時間は良いなとしみじみ感じます。
近年では要約した動画やAIなど、短時間で効率よく情報を得られるコンテンツが豊富。もちろんその利便性は大きな魅力です。
けれど、そっとページをめくりながら温かい物語や素敵な響きの言葉を自分のペースで辿るひとときはよりその題材に集中でき、内側に沁み入るような余韻を堪能できる。これは本ならではの良さだと読み終えるたびに思わされるのです。
ちなみに私の本棚はだいぶ偏っていて、ファンタジー系の小説と西洋美術の参考書がほとんどを占めているのですが、最近では著名人の人生を辿るような作品も少しずつ増えてきました。
実話からしか得られない感情の刺激があるのと、憧れの人と自分を重ねて思考を整理するのがとても好きなんです。
例えば『オードリー・ヘップバーンの言葉』という本。
こちらにはオードリー・ヘップバーンさんの考えや生き方がトピック毎に綴られています。
『ローマの休日』のアン王女を観てオードリー・ヘップバーンさんの華々しい美しさに魅了された人間としては、
自分を俯瞰で見て律する冷静さ、
周囲の利己的な心情を見抜く洞察力、
信念を曲げるくらいなら断つという度胸、
真の愛を求めるまっすぐな可愛らしさ、
それら全て順風満帆どころか、切なくなる程の苦悩の末に手に入れたものだったということに衝撃を受けつつも、何事も耐え抜く力強さに憧れが募り、時には励まされるような気分になることもありました。
また個人的に印象に残ったのは、
『すばらしい歌は歌詞だけではなく曲も大切でしょう。だからあなたが何を言ったかだけではなく、どのように言ったかが大切なの。』
という一文。
これは自分の子供たちに"コミュニケーションを取る際、何を大切にすべきか"を教える為に伝えた言葉なんだそうですが、お洒落な言い回しと柔らかなメッセージ性がとても素敵で。
私はこの文を読んだときに『そう!これは本当に大事!』と心の中で深い頷きを何度もしていました。
表現や響きは言葉のニュアンスを大きく変える力を担っているからこそ蔑ろにしてはいけない。
Erii Salonの第6回でも似たようなところに少し触れましたが、人は生涯、人との繋がりを避けては通れないからこそ、自分自身を守る為にも、意図せず周りを傷つけてしまわないためにも、私は尊重する姿勢を忘れず耳心地の良い言葉遣いと優しさの波長を合わせられる人間として歩みたいなと、この本を読んで改めて思わされました。
…なんだか途中から読書感想文のようになってしまいましたね笑
このように物事の捉え方を広げたいときや自分を見つめ直したいときに私がインスピレーションを受けているものとして、今回は本をご紹介させていただきました。
秋の夜長、皆さんもお気に入りの一冊と共に、穏やかなひとときを過ごされてみてはいかがでしょうか。














































