
“どこまでもどこまでも一緒に”──TVアニメ『ばっどがーる』の魅力は「最後までたっぷり、ぎっしりです!」優谷 優役・橘 杏咲さん×水鳥亜鳥役・花宮初奈さん最終話放送直前インタビュー
アフレコ中に“キング オブ イビル”が決定!?
──アフレコ現場で印象に残っているやり取りやエピソードについて教えてください。
橘:アフレコ現場自体も毎週癖が強すぎて、印象に残っていることがたくさんあるのですが、初奈さんの鼻歌事件が一番面白いです。
花宮:皆に言われる……どうしよう(笑)。
橘:一番面白い!
──鼻歌事件?
橘:亜鳥先輩は一人で歩いている時に、台本にたびたび「(鼻歌)」と書いてあるんです。そういう場合って、既存曲のメロディーと被らないような自作の鼻歌をするのですが、ある時のテストで初奈さんが超絶有名な某海外映画のテーマ曲をアップテンポにアレンジして歌っていて(笑)。
──えぇっ!?
橘:アレンジされていたので「何か聞いたことある気がするけど……」程度で、最初は皆気が付かなかったんです。その回のテストが終わった後に「ちなみにさっき歌っていた鼻歌は世の中にない曲ですよね?」と確認したら「あー、これ『■■■■■■■■』です」って(笑)。
花宮:怒られましたね(笑)。
橘:「放送できなくなっちゃう!」って言われていましたね(笑)。これに勝るエピソードはないかもしれません。その回から鼻歌に敏感になりました。
花宮:(笑)。4話だったと思うのですが、何でそれを歌ったのかな……あっ「秘密の教室」だからだ。もしかしたらそういう意図があるのかと思って歌ったのですが、そういう意図がなかったみたいです(笑)。
橘:(鼻歌を再現して)。
──そのままじゃないですか!(笑)
花宮:(笑)。
橘:“キング オブ イビル”です。これに勝るエピソードは多分出てこないですよ。
花宮:本当に反省しました。自分の辞書を書き換えました。
橘:(笑)。
──無事放送されたアニメでしたが、1話では原作の肉丸先生も男子高校生役でご出演されていましたね。
花宮:私たちから上手だったね、というのも恐縮なのですが、初めてとは思えないクオリティでした。私は、人生初めてのアフレコのときにとっても緊張したのですが、先生は全然緊張されていなくて。ナチュラルに会話をしていました。
橘:すごかったですよね。
花宮:アドリブにも関わらずどんどん言葉が出るのは、お話を書いている方だからなのかなと。結構長めの尺だったので、普通は引き出しが無くなってくると思うのですが、ずっとお話しされていました。
橘:ゴルフの話をされていた記憶があります。「最近のゴルフクラブはなんちゃらかんちゃら……」って。
──男子高校生にしては渋い話題ですね。
橘:男子高校生じゃなさすぎる話を、低いトーンで(笑)。
花宮:作品名は出せないと思いますが、そのとき流行っていたドラマの話もされていました。面白かったですね。聞いていて楽しかったです。
橘:笑いをこらえるのが大変でした。
──そんな肉丸先生が描く『ばっどがーる』の面白さを、どのように演技に落とし込んだのでしょうか?
橘:これはディレクションでも言われていたことなのですが、優はいたって真面目なんです。自分がやっていることが正解だと自信を持っているんです。
自信を持って本気でやっているからこそ生まれる“ズレてる感”が面白い。なので、私も本気で真面目に優が持っている気持ちを思っていました。
例えば……「時代は暴力なんだよ」と、彼女は本気で思っているんです。だから私も時代は暴力だと思おうと思って(笑)。
花宮:(笑)。
橘:役作りとして、いかに優の思考に寄り添えるかを大切にしていました。そして実際に演技をする際は、計算をしない方が優の自由さやゆるい可愛さが出るなと思っていたので何も考えない。現場でも特にメモなどは書かず自由に演技をしました。多分優ちゃんって、技術だけのアプローチだと魅力が出ないタイプなんだと思っています。
──感覚や感性を大事にしながらのお芝居だったのですね。花宮さんはいかがでしょうか。
花宮:肉丸先生がインタビューで「亜鳥は『僕のイメージにない声』を持っている方に演じてほしい」とおっしゃっていたのですが、私も実は同じようなことをオーディションのころから考えていました。
原作を読んだ感想として、一番突拍子もないキャラだと思ったんです。だから“よくある感じ”はやめよう、と。亜鳥ちゃんの本質として、変人であればあるほど評価いただけるかなと考えていて。
なので「変にセリフを喋ろう」を第一目標に定めて、オーディションに挑んでいました。少し変な節回しをしているシーンについては意図的に演じています。……楽しくなっちゃって、ついそう演じている部分もあるんですけど(笑)。オーディションの時は、意図的に「変」を出せるように頑張って練習して準備しましたね。
──原作の亜鳥になぞらえて「察してください」Tシャツ(原作では「察しろ」)を着てオーディションに臨まれたとか。
花宮:まずは形から入ろうということで、某通販サイトで購入しました(笑)。
オーディションの日、会場で松岡さんとすれ違って「涼風さん役なんだろうな」と思いながらご挨拶をした記憶があります。お芝居を聞かずともわかるほど、涼風さんにぴったりな声質だなって。
橘:同様に、初奈さんも絶対に「亜鳥先輩だろうな」って思われていたと思いますよ(笑)。
花宮:服からしてだったからね(笑)。あのまま帰るのがちょっと大変でした。
──会場で着替えたのではなかったのですね!
花宮:そうです、そうです。
橘:えー! 面白い!
──先生は「亜鳥のカリスマ性を伝えることが難しい」ともおっしゃっていましたが、花宮さんの声で「亜鳥のカリスマ性」が出来上がったのかなと思いました。
花宮:肉丸先生が「亜鳥のカリスマ性」を表現してくださっているからこそ、私が「こうやらなきゃ」と思えて。「この子、独特だな」とずっと感じていたので、どうにかして表現できないかなと考えられたのだと思います。
橘:見たことのないキャラクターですもんね。ただの先輩じゃないといいますか。
花宮:だよね。なんか言葉にできない……何系と言っていいのかわからない、なんて説明したら的確なのかが難しくて。
橘:変なカリスマ……?
花宮:変。変なんだよね。変というのはわかる。でも、どういう方向性の変なのかも難しくて。でも、なんか可愛いし美しいし……。
橘:亜鳥先輩みたいな雰囲気のキャラクターで、ウインクが似合うのも独特じゃないですか? それを表現されているのは、本当に初奈さんだからこそですよね。





















































