
「自分にとって『何回も聴きたい曲』になりました」キーワード「1/2」は“半分こずつ”の感覚に寄り添って──TVアニメ『らんま1/2』第2期エンディングテーマ にしな「パンダガール」インタビュー
「実際に映像を見るまでは信じられないかもしれません(笑)」
──普段から思いついた歌詞やフレーズをストックされているのですか?
にしな:そうですね。日常的に「この言葉の組み合わせ可愛いな」と思うことがあったら、携帯のメモなどになるべく書き留めるようにはしています。
──どのようなタイミングで見つけることが多いのですか?
にしな:曲を書いていないときに「いいな」と思う瞬間は本当に様々ですね。友達と話している時もそうですし、生活で目にする言葉や文字もそう。映画を観ているとき、本を……本はあまり読まないんですけど(笑)。
実際に歌詞を書いている時、特に悩んでいるときは移動中や違うことをしているときが多いですね。違うことをしているけれど、何となく曲のことを考えている時の方が、新しいアイデアが生まれやすい気がしています。
──リラックスしている時といいますか。
にしな:そうですね。ちょっと人が多い場所だけど、誰も私に注目していない時、みたいな(笑)。みんなが携帯を見ている空間、その時間が良いですね。
──メロディーのアイデアについてはいかがですか?
にしな:メロディーは実際に音を鳴らして作ることが多いです。最初からギターを弾きながら「こういう楽曲にしたい」というリファレンスを元に、自分の中のイメージでギターを弾いてメロをハメていく。歌いながら、弾きながら、母音や歌詞の基盤となるニュアンスも、その時に作っていくことが多いですね。
──感覚も大事にされているのですね。
にしな:私自身、あまり器用ではない気がしているので、ある程度テキトーにやっていかないとできないんですよね(笑)。
──「パンダガール」は全体的にキュートで、明るく楽しい印象もある楽曲ですが、以前にしなさんが「明るい曲を書くのは苦手かも」とおっしゃっていた記憶もあって。
にしな:今も明るい曲を書くのは苦手です(笑)。どちらかというと「歌詞に対しての明るさ」なのかもしれないのですが……。
──「歌詞に対しての明るさ」?
にしな:「パンダガール」は、サウンドやメロディーラインはすごく楽しい曲なのですが、歌詞はひねくれているというか。それこそツンデレで、真っすぐではないんですよね。だからあまり悩むことはなく、言葉遊び的に書くことができました。
でも、例えば「世界中幸せ!」のようなコンセプトや目標に向かって走るのは、いまだに苦手です。
──「パンダガール」は“にしな流・明るい曲”なのですね。
にしな:そうですね。なので明るいかと言われると……(笑)。でもこの曲を聴いて、明るい印象を抱いてもらえたら個人的に嬉しいです。やはり『らんま』という世界観があって、それに呼ばれる部分があったのかもしれませんね。
──アレンジャーの100回嘔吐さんとの制作はいかがでしたか?
にしな:この曲は、楽曲の基盤をある程度作ってからアレンジャーさんを誰にしようかなと考え始めたのですが、そのときに「嘔吐さんが絶対に合うな」と。あの独特な崩壊しかけるハチャメチャ感、だけどちゃんと形を保っている雰囲気といいますか(笑)。ピッタリだなと思ってお願いさせていただきました。
2番以降の構成など、やり取りを交えながら完成させていって、中華感や音のニュアンスのゴール地点を合わせて、完成に至ったという流れです。
今回、嘔吐さんとは曲が完成して最終確認の瞬間にしかお会いできなかったのですが、一度楽曲を一緒に作らせていただいていたこともあり信頼感があって、スムーズに楽曲制作が進んだ印象です。
──完成した「パンダガール」を改めて聴いた時、どのような楽曲になったと思いましたか?
にしな:制作している最中は、自分では冷静に見れなくなっていくんです。「良い曲になっていたらいいなぁ」という気持ちはあるものの、確信は持てずに作っていて(笑)。
そうして時間が経ってから改めて聴いた時に、自分にとって「何回も聴きたい曲」になりました。自分自身も楽しい気持ちになれたし、落ち込んだ時などに聴きたいと思える曲が作れたことは、自信につながるなと思いました。
──歌唱面におけるこだわりを教えてください。
にしな:サビやサビ前の〈ハッピーandサッド〉は、ノリ感よく。気持ちを乗せるより、楽しく、聴いていて気持ち良い感覚に重きをおいています。Bメロの〈おあいこじゃ嫌〉などはストレスをぶつけにいく気持ちで歌いましたね。
あと、〈ストレスで過食とまんない〉は一番心を込めて歌っています(笑)。
──(笑)。にしなさんの芯から生まれる歌、と。
にしな:(笑)。
──実際にライブで披露されたときは、どのように楽しんでほしいですか?
にしな:ハチャメチャソングなので、人の目を気にせず自分が楽しみやすい立ち姿で楽しんでほしいです。立っているだけが一番楽しいという人もいると思いますし、体を動かすことが楽しい人もいると思います。居やすい姿で楽しんでもらえたら嬉しいなと。
……そう思いつつ、先ほど「楽しそう」と言ったパートでは、「おあいこじゃ/嫌」「とんだ気分/家」「まるでパン/ダ」のように、いつかファンのみなさんとかけ合いができたらいいなと思いながら作っていました。一緒に曲を作れたら、この曲はもちろんライブ全体を通してもより良い時間にしてくれそうだなと思うので、ぜひ声を聞かせてもらえたら嬉しいなと思います。
──『らんま』のエンディングとして放送・配信される期待感などは感じていますか?
にしな:曲も完成して、「エンディングを担当するのは、にしなです」と発表までされているのですが「本当に私の曲がアニメの最後に流れるのか……?」みたいな気持ちがまだあって(笑)。
──(笑)。
にしな:実際に映像を見るまでは信じられないかもしれません(笑)。でも、とても楽しみにしていますし、『らんま』ファンの方々が、次回も楽しみだなと思ってもらえるような締めくくりになっていたら嬉しいなと思います。































