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忍たま乱太郎ドラマCD再販記念|松山竜一郎プロデューサーに聞く

『忍たま乱太郎』ドラマCDシリーズ再販記念! アニメーションプロデューサー・松山竜一郎さんインタビュー|「ドラマCDではキャラクターを深堀りし、意外な一面をみせるなど遊び心も入れて制作しました」

1993年の放送開始から、長く愛され続けるアニメ『忍たま乱太郎』(以下『忍たま』)。そのドラマCDシリーズ計26枚の再販が決定!

10月29日(水)からの3カ月連続リリースを記念して、TVアニメ第9シリーズから第29シリーズのアニメーションプロデューサー・松山竜一郎さんにインタビュー。ドラマCD制作当時のエピソードなどをお聞きしました。

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忍たま乱太郎
ときは戦国時代。先祖だいだい、ヒラ忍者の家に生まれた乱太郎は、一流の忍者になってほしいという両親のきたいをむねに、忍術学園に入学。そこには堺の豪商のむすこ・しんべヱや、いくさで親をなくしながらもたくましく生きるきり丸がいた。忍術学園のせいとは忍者のたまご、「忍たま」とよばれる。忍術学園には、ナゾの天才忍者だった学園長をはじめ、ユニークな先生や上級生、ちょっと手ごわい「くの一教室」の女の子たちや忍犬ヘムヘムなどがいて、とってもにぎやか!乱太郎たち三人組は、授業も試験も失敗ばかり、いつもなぜかロクでもないことになってしまう。りっぱな忍者になるには、まだまだとおいみちのりだけど、忍たまの毎日は、あかるく・たのしく・ゆかい、なのだ!作品名忍たま乱太郎放送形態TVアニメスケジュール1993年4月10日~第31シリーズ放送中キャスト乱太郎:高山みなみきり丸:田中真弓しんべヱ:一龍斎貞友大川平次渦正:浦山迅山田伝蔵:大塚明夫土井半助:関俊彦食堂のおばちゃん:巴菁子ヘムヘム:島田敏ユキ:國府田マリ子トモミ:江森浩子シゲ:むたあきこ稗田八方斎:飯塚昭三スタッフ原作:尼子騒兵衛「落第忍者乱太郎」より監督:河内日出夫シリーズ構成:浦沢義雄...

原作を大切にしながら『忍たま』を盛り上げるアプローチ

――まずは、これまで『忍たま乱太郎』という作品にどのように関わってこられたのか、教えてください。

松山竜一郎(以下、松山):実は、アニメがスタートした時点ではまったく別の作品を担当していたんです。なので、最初は「会社(亜細亜堂)で新しい忍者のアニメを作っているな」という感じでした(笑)。実際に僕が『忍たま』に直接関わるようになったのは、劇場版の1作目(『映画 忍たま乱太郎』1996年公開)。その後、TVアニメシリーズに移り、第9シリーズから第29シリーズまで関わっています。

TVアニメの立ち上げ時は、総合ビジョン(現・NHKエンタープライズ)の久保田弘さんがプロデューサーとして陣頭指揮を執っていました。私が加わったころは、久保田さんが引退されて作品としては安定期に入っていた時期。このまま長く続いていくんだったら、飽きられないようにいろいろ要素を足して盛り上げていかないと、という気持ちが大きかったです。例えば、乱太郎・きり丸・しんべヱの3人以外のキャラクターをクローズアップさせるなど、そういったアプローチで作品に関わっていきました。

▲松山竜一郎さん(イラスト)

▲松山竜一郎さん(イラスト)

――数多く登場するキャラクターの個性をより強く出していこうと?

松山:そうですね。当時は、乱太郎・きり丸・しんべヱの3人以外の「は組」の忍たまは“は組の一員”としてひとくくりにされていた感じがあったので、それぞれのキャラクターに個性を出していきたいなと感じたんです。

あとは、作品の魅力である忍者・忍術というテーマを大切にすること。それに、忍術学園には「いじめがない」など、尼子騒兵衛先生の「自由や平等」といったベースの考え方は、何よりも大事にしたいと考えていました。それは、歴代の監督もすごく意識されていましたね。

忍術の描き方も子ども向けのアニメなので誇張の部分はありますけど、なるべく史実に基づいて描きたいというのは、スタート当初からスタッフが意識していた部分です。リサーチを重ねて、知識をアップデートしながら作っていったような感じがありました。

そして、メインライターの浦沢義雄さんの個性を活かしつつ、原作から逸脱しないよう調整していた記憶があります。とはいえ、こんなにも長く愛される作品になるとは、関わった当初は思ってもいませんでした。

失敗も前向きに! キャラクターと現場が生む長寿の魅力

――『忍たま』がこんなにも長く愛されている理由をどう考えていらっしゃいますか。

松山:欠点はあるけれど、ひねくれずに物事に向かっていくキャラクターたちの姿が魅力的なことではないでしょうか。例えば、乱太郎は先祖代々ヒラ忍者の家系だし、きり丸はああいう過去を背負っている。しんべヱは、実家が太いのに本人がのんびりしていますよね。

でも、彼らはそれを意識しつつも、素直に物事を捉えていく、その根本の部分がきちんとしているんです。ギャグアニメなので、彼らはたくさん失敗もしますが、めげずに前を向く。そういったキャラクターの魅力が、人気のポイントなのではないかと感じます。私たちも制作にあたって、その部分を外さないように心がけていました。

――長く続ける中で、変わっていくものもありましたか。

松山:長期シリーズは繰り返しの良さがあるので、キャラクターをあまり成長させてはいけないんです。映画の実写版の1作目のシナリオ会議に出席していたのですが、三池崇史監督が「こいつら本当にまったく成長しないよね。でも、それが正しいんだよな」とおっしゃっていましたが、まさにそれだと思います。

とはいえ、作品の中で独自に成長するキャラクターもいます。成長するというより、新たな顔が出てきてキャラクターが立体的になっていく、という感じでしょうか。

例えば、森久保祥太郎さんが演じる雑渡昆奈門。包帯で表情がよく分からないし、掴みどころのないキャラクターなので、最初は森久保さんも難しさを感じておられたようですが、劇場版の2作目でキャラクターが定まってきたところがあったんです。そういったことも長期シリーズならではなのかなと思います。

――視聴者からの反応で思い出深いものはありますか。

松山:番組の最後のお便りコーナーに、小さい女の子がくの一のキャラクターを描いてきてくれることが多いんですけど、それを見て、くの一が出てくる回が少なくならないように気を付けたことがありました。

メインキャラクター以外の多彩なキャラを出すように意識してからは、乱きりしん以外のキャラクターを描いてくださる方が増えましたね。例えば、小学生の子が小松田くんを描いてきたりして。「小松田なんだ!」と驚いたこともありました。

――『忍たま』と言えば、キャスト陣の豪華さもポイントですが、収録時のエピソードで特に印象に残っていることを教えてください。

松山:いろいろありますけど、浪川大輔さん(斉藤タカ丸役)が初めて参加されたときに、「『忍たま』だ! 夢のようですね」と言われたのが印象的でした。こちらからすると人気声優の方ですから。そういう反応をされたのが意外でしたね。

収録は、基本的に皆さん一緒です。ブースに何列も椅子を並べて、本当の教室みたいな雰囲気のときもあります。現場は、いつも和気あいあい。田中真弓さん(きり丸役)と、一龍斎貞友さん(しんべヱ役)が、2人して笑いのツボに入ってしまって収録が止まることもありました。「今度はちゃんとやろう」と言いながらも、何度もNGを出し、高山みなみさん(乱太郎役)が「ちょっと一回休もう」と入っていって。『忍たま』ならではの光景ですね。

(C)尼子騒兵衛/NHK・NEP
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