音楽
『週刊ラノベアニメ』OPアーティスト 吉武千颯インタビュー

笑顔も、弱さも、全部ひっくるめて私。爽やかな風と共に踏み出した“アーティスト・吉武千颯”としての第一歩『週刊ラノベアニメ』OP「Hajimariの合図」インタビュー

 

これからも笑顔は届けていきたい「でも」

──曲を色で捉えることの多い吉武さん。今回の「Hajimariの合図」はどんな色に見えますか?

吉武:私のなかでは空色です! 水色でも青でもなく、“空の色”そのもの。快晴というよりかは……晴れではあるんですけど、少し雲がかかった空をイメージしました。この曲には揺れる気持ちも含んでいて、でもサビでは雲が晴れていくような感覚です。

──まさに空のように揺れ動いている気持ちが映されていると言いますか。〈もうすぐ幕があく 泣いて笑って生まれていくストーリー〉という歌詞もありますね。

吉武:この曲をもらったことで“ずっと笑顔じゃなくて良いよね”って思えました。私自身、普段はあまり弱い部分を見せたくないタイプなんです。ファンの皆さんもだけど、まわりのスタッフさんにも見られたくないくらいで。がんばることは決してマイナスなことではないけれど、落ち込んでしまったり、不安になったりと、これまであまり周りに見せてこなかった部分も「全部自分なんだな」と思える。全部ひっくるめて自分なんだって思わせてくれる曲です。

 

 

──そういった吉武さんの等身大の変化や音楽をファンの皆さんも嬉しく受け止めているのではないでしょうか。

吉武:そうだったら嬉しいなあ……。リリースイベントで初めて歌わせてもらったときに、泣きながら聴いてくれている方もいらっしゃって、私自身も思わず胸が熱くなりました。MVが公開されたときも、コメント欄やSNS、インスタのDMなどに「朝に聴くと頑張れる」とか「試験の前に聴いて大丈夫だって思えました!」といった言葉をいただいて。

お渡し会で直接お話をうかがった時にも思ったのですが、みんな日々いろんなことがあるなかで自分の歌が「これからもがんばろう!」っていうエールになっているんだと思うと本当に嬉しかったです。……って話していると、なんだか泣けてきてしまうのですが。これからも聴いてくださる方の背中を押せるような楽曲を、たくさん届けていきたいと思っています。

──これまで“笑顔を届ける”イメージが強かった吉武さんですが、今回のデビュー曲を経て、素顔だったり、新しい表情だったりが見えるのかなと思うとワクワクします。

吉武:もちろんこれからも笑顔はたくさん届けていきたいと思っています! でも、そうではない一面を楽曲を通してだからこそ見せられるのかなって。今回の作品は、そういう側面を少しでも届けられたら嬉しいです。

──空と言えば、海での場面もあるMVも印象的でした。プリキュアソングを集めた『“えがおのおくりもの”〜Chihaya Yoshitake Precure Song Best〜』の表題曲のMVが初めてのMV撮影でしたが、当時、MVを作るのがひとつの夢だったというお話をされていて。今回も新たな夢が叶いましたね。

吉武:そうですね、本当にたくさん夢を叶えていただいています!

──撮影当日はお天気にも恵まれたそうですね。

吉武:そうなんです! 海のキラキラと空とのコントラストが印象的でした。「えがおく」のときもそうだったのですが、実は当日は雨予報だったんですよ(苦笑)。それで雨バージョンの撮影プランも考えていたんです。「傘を差して撮ろうか」「濡れてしまってもいいのでは?」なんて話もしていたんですけど、当日は真夏のように快晴で、むしろ暑すぎて(笑)。逆に「こんなに晴れなくてもよかったのにね」とスタッフさんと笑い合うくらい。空も海も、この曲にぴったりの映像になったと思います。

 

 

──それだけでなく、吉武さんの素顔を感じられるような場面も印象的でした。

吉武:寝起きのシーンや落ち込んでいる表情など、これまで動く映像では見せたことのなかった一面も撮っていただきました。そこから走り出して、大好きなステージに向かっていく。素敵なストーリーを楽曲のなかで作っていただきました。落ち込んでしまっていたり、ぼーっとしていたりする表情は、写真集では少し見せたことがあっても、映像でお見せするのは初めてだったので、自分でもとても新鮮でしたし、ファンの方からも「めっちゃ好き!」と言っていただけて、本当に嬉しかったです。

 

私の音楽やライブが“ただいま”と感じられる場所になれたら

──そしてカップリング曲「love me Do」は、吉武さんと仲のいい馬瀬みさきさんが作詞から編曲まですべて手がけられています。

吉武:みーちゃんに書いてもらいました! これまで作ってくれた楽曲とは違う雰囲気になっていて。レコーディング後、そのまま一緒に焼肉に行ったのですが(笑)、その時に「こういう曲を書きたかった」と言われて、とても嬉しかったです。今回は歌詞もみーちゃんが書いてくれています。ファンの方との握手会の様子を思い浮かべて書いてくれたようです。だからこそ、温かな雰囲気を感じました。ソロ活動をしていく上で「どういう活動にしていきたいかな?」って自分でいろいろと考えていたときにこの曲をいただき、これからの活動の方向性を示してくれたように感じたんです。

──というのは?

吉武:ライブで集まったときに、ファンの人たち同士がすごく仲が良いのが伝わってくるんですよね。そういう姿がステージから見えるとすごく嬉しくて。私の音楽やライブが“ただいま”って言えるような、みんなが帰ってこられる場所になったら嬉しいなと。そういう活動ができればいいなって思いました。

 

 

──歌詞の〈いつものあの場所で待ち合わせにしよう〉という部分も、まさに今のお話に通じますよね。そのあたりは馬瀬さんに相談していたんでしょうか?

吉武:全然していなかったんです! この曲の歌詞を見たときに「ああ、私の音楽もそういう場所にできたらな」って思って。「また会える日までがんばろうね」って思いが込められている歌だと思うのですが、聴いてくれる方たちがすごく幸せそうな顔でこっちを見てくれていて。発売前で、店頭ライブが唯一「love me Do」を聴いてもらえる場所だったのですが、初めて聴いてくれたときから、「すごく好き!」って言ってもらっていて。

私自身、可愛くて明るい曲を褒めていただくことが多かったのですが、「love me Do」のように少し落ち着いた、大人っぽい曲をこんなに好きと言っていただけるのは、とても嬉しかったです。

──これまでとは違ったテイストで、すごく素敵です。

吉武:本当に素敵な曲をいただきました。いつかワンマンライブを開けるようになったら、この曲をラストに歌って「お互い頑張ったね、またね」とライブを締められたら素敵だなって夢見ています。まだ2曲目ですけども(笑)。

──(笑)。たくさん楽曲が増えるのを楽しみにしています。井上さんからは馬瀬さんにどのようなオーダーをされていたのでしょうか?

井上プロデューサー:ジャンルを細かく指定したわけではなく、「プリキュアの枠を出た吉武千颯を表現したい」「みんなのよりどころになるような曲にしたい」というイメージを伝えました。「みんなで輪になって踊れるような、“ここがみんなの中心だよ”と伝えられる曲にしたい」とは伝えたような気がします。だから吉武さんの解釈は合っています。本来なら本人が作詞をしてもよかったのですが、結果的に馬瀬さんが作詞をしてくださって。実は馬瀬さんとお話していくなかで、いろいろな案があったんです。馬瀬さんからは「井上さんが作詞をしたら良いじゃないですか?」なんて言われたのですが……。

吉武:えっ見てみたい!

井上プロデューサー:でも鋭い言葉が入ってきてしまいそうなので(笑)。僕の言葉は曲調的にあまり合わないんじゃないかなと。本来アーティスト本人に作詞をさせるのも良いかなと思ったのですが、ふたり(吉武さんと馬瀬さん)がすごく仲良しなので、今回は馬瀬さんにお願いしました。

 

 

──馬瀬さんが吉武さんの楽曲で作詞まで手掛けるのは昨今だと珍しいですよね?

井上プロデューサー:そうですね。馬瀬さんは他コンテンツでも活躍されていて、そこで作詞・作曲もされていますが、『プリキュア』で吉武さんにご提供いただいた曲の中では「星座のチカラ」以来になります。

──きっと馬瀬さんからのエールも込められているんだろうなと。

吉武:きっとそうだろうなって。普段からみーちゃんにはいろいろなお話をしているんです。それこそちょっとネガティブなことだったり、お仕事ではないお話だったり。いろいろな一面を知っている方が書いてくださり、そしてみんなに届けられるってことが嬉しいなって思っています。

──「Hajimariの合図」と「love me Do」、それぞれまったく違う色合いを持っている印象です。吉武さんの中では「love me Do」はどのような色のイメージですか?

吉武:「love me Do」はショッキングピンクのイメージがすごく強くて! そういう意味ではおっしゃっていただいた通り、2曲とも全然違うカラーになっていて。これからどんどんいろいろな色を足していけるように、2nd、3rd と頑張っていきたいです。

──今回の経験で、歌や音楽への向き合い方に変化はありましたか。

吉武:さきほどの話と少し重なってしまうんですが、これまでは“マイナスな感情をできるだけプラスに変える”ことを心がけて歌っていたんです。でも今回のソロでは、自分の心にある揺れや弱さも、そのまま歌に込めて届けたいと思うようになりました。ありのままの感情を解き放ってもっともっと届けていきたいなと。それと、まだまだ知らない音楽もたくさんあるので、もっと勉強して吸収して、自分のお歌やライブに反映していきたいです。

 

 

──最後に、今後の展望を教えてください。

吉武:いつかはワンマンライブも開催したいなって。このファーストシングルをきっかけに、もっとたくさんの方に歌を届けていきたいです。そしていつかはワンマンライブを開催したい!

──いつか来るであろうワンマンも楽しみにしています! 井上プロデューサーからも今後のレーベルの展開についてうかがえますか。

井上プロデューサー:会社全体で音楽事業を盛り上げていこうと動き出しています。とは言え、本当にまだ“生まれたて”のレーベルなのでお話できることは少ないのですが、まずは吉武さん、七瀬さんのおふたりの活動を盛り上げていけたらなと。『プリキュア』シリーズでは僕やプリキュアシンガーの石井あみさんの母校でもある洗足学園で『プリキュアクラシックコンサート』も行います(井上さんは指揮を担当/9月に大盛況のうちに開催されました)。新たな試みにも積極的に取り組んでいきたいと考えているところです。

吉武:期待に応えられるようにがんばります! これからも一歩一歩、進んでいきたいと思います。

 
[インタビュー/逆井マリ]

 

楽曲情報

 
【発売日】2025年9月24日
【価格】2,486円(税込)

≪収録内容≫
【CD】
M01:Hajimariの合図
作詞:北川悠仁
作曲:北川悠仁・佐々木“コジロー”貴之 編曲:佐々木“コジロー”貴之

M02:love me Do
作詞・作曲・編曲:馬瀬みさき

M03:Hajimariの合図(TVSize)
M04:Hajimariの合図(Instrument)
M05:love me Do(Instrument)

【Mカード】
・「Hajimariの合図」ミュージックビデオ 他

 
■アニメイト特典
複製サイン&コメント入り ミニフォト ランダム1種(全3種)

※特典は無くなり次第終了します。ご了承ください。

 

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