
個展『黎創』開催を記念して風李たゆ先生×えびも先生の初対談が実現! お互いの作風やキャラデザへの考え方や「絵描きあるある」を語り合う【対談インタビュー前編】
仕事の息抜きに「落書き」をするのはイラストレーターあるある
──お話の中でお二人が「落書き」という表現をされていたのが印象的でした。どのくらいのお時間で描かれているのでしょうか?
風李:どのくらいのイラストを「落書き」と言おうかなと……。結構悩みどころかもしれません。
えびも:迷いますよね……!
私の場合は落書きと言っても、服を着替えて自撮りまでしてポーズを考えてしまいます。だから自然と、数時間かけちゃうようになりました。昔はもっと思いつきでサクサクっと描いていたのですが、仕上がりが簡単なものだったとしても自撮りをした方が断然クオリティが上がることに気がついて。
どうせ描くなら良いものを描いた方がいい、私もクオリティの高いものが見たい、と思うようになってから時間をかけるようになりましたね。
風李:「どうしたら面白くなるか」というポイントを膨らませて描かれている流れといいますか。
えびも:そうですね。「今回の面白ポイント」みたいなものを、落書きの時も作りたくなってしまうようになりました(笑)。
風李:最初にポーズを撮って、“実”を最初に用意しておく。そこから手段として「どれだけ面白くできるか」を考えていかれていらっしゃるのかなと。それがきっと描く早さにも繋がっているんですね。
えびも:準備に時間はかかりますが、資料がある分、描き始めたらちゃちゃっと描いているのかもしれないですね。
──風李先生にとっての「落書き」とは、どのようなイラストでしょうか。
風李:「落書き」は「落書き」でも、私の中で「落書き」として成立するラインがあるんです。ここまで描けば自分が納得して「落書きです」と言えるなという、人に見せても良いラインといいますか。
えびも:わかります……! とてもじゃないけど見せられない落書きもたくさんあって、データがいっぱい眠っていますよ。
風李:私もです!(笑) やはり誰かにお見せするとなると納得できるクオリティにしたくなっちゃうので、普通の落書きでも1枚に2時間くらいかかることもあります。気持ち的には楽な気持ちで描いているんですけどね。
えびも:クオリティの差というよりも、気持ちの違いなのかなと思います。何の用でもないものが落書きみたいな。息抜きですね。
──どんなときに描かれるのでしょうか?
風李:私は仕事の途中ですね。
えびも:私も仕事の合間に描くのが好きです。3時間仕事したから1時間落書きしよう、みたいな(笑)。描くという意味では同じ作業をしているのですが、そこでリセットする感覚です。
仕事でも塗りの作業に疲れたらラフを描く別の仕事をすることもあります。ちょっとずつ切り替えないと続けられないタイプなんです。塗りの仕事をしている時に、合間で線の落書きをするなど、飽きがこないようにしていますね。
風李:集中力にコントラストをつけている感覚でしょうか?
えびも:そうですね。本当に同じ作業を続けるのが苦手なので……。
──逆にいうと、様々なお仕事を同時進行させるのが得意だったり?
えびも:たしかに何個かは同時にやっていることが多いですね。1枚の絵を完成させるまで、普通は「線画が終わってから色塗り」という流れで進めるイメージがあるかもしれませんが、線画の途中で色を塗ったりして、気分によって部分的に進めます。
例えば「下半身の線画は気分じゃない」という日には「上半身の顔周りだけ線画が終わっているから、先に色を塗ろう」と、仕事の絵でもそのような酷い進め方をしています(苦笑)。
風李:いやいや、自分を飽きさせないコツですよね。私は線画を描いている時間が苦しくて……なので、そのやり方はめっちゃ良いですね!
線画をずっと描くのではなく、途中で「色を付ける」という行為を挟むことで、完成に近づいている部分をちょっとずつ見ることができるし……。
えびも:全体の線はサーっと描き終わっていたとしても、アクセサリーのような細かいパーツ金属や機械っぽさのあるパーツだったりすると、めんどくさいんですよ……(笑)。嫌いなわけではないのですが、疲れている気持ちの時は描けないから「別日にしよう!」と。
風李:お話を聞いていて、えびも先生は制作の進め方も面白いなと思いました。
──風李先生はどのように制作を進められているのでしょうか?
風李:疲労や集中を考えて描くというよりは、描いている最中に「あれも描きたい」「これも描きたい」が浮かんできて、頭の中が整理できなくなって、目の前のことに集中できなくなっちゃうんです。
なので、キリのいいところまでお仕事の絵を描いて、その後、頭を整頓するために他の落書きをする、という流れですかね。思いついちゃったものを一旦アウトプットしておいて、気が済むまで落書きしたら仕事に戻ります(笑)。
えびも:めっちゃ時間がない時って、思いついたものを発散できますか?
風李:できないです!(笑) そんな時は思い浮かんだものをメモをしたり、棒人間みたいなラフだけでも描いてそっとしておきます。だけど時間を置きすぎると逆に興味が薄れてしまうこともあるんですよね。
えびも:私もそのタイプです。パッと思いついた時に描きたいものをリストにするんですけど、絵描きあるあるかもしれないですね。
風李:ですね! 時間を置きすぎると興味がなくなってしまう、とわかってきているので、ある程度描きたいと思ったものはなるべく形にすることを心がけるようになりました。







































