
「今回うまくいったのは、いろんな偶然と情熱が重なったから。だからこそキセキなんです」『アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-』木村大プロデューサー/清水良太アニメーションプロデューサー/依田健プロデューサーインタビュー 今だからこそ明かせる舞台裏
「真中らぁら、小学6年生、6年生、6年生……!」へのこだわり
──大庭晋一郎プロデューサー(タカラトミーアーツ)は、シナリオチームに入られていたんですよね。
依田:そうです。プロデューサーとしてシナリオにも携わっていました。
──スーパーバイザーとして参加されている木村隆一さん、森脇真琴さんとは、どのような話し合いがあったのでしょうか? 基本的には見守ってくださったと大川監督からうかがいました。
清水:シナリオが上がった段階で内容をご確認していただき、それぞれからのオーダーをコンテに反映していきました。で、そのコンテを見ていただき……という流れではありましたが、基本的にはお任せします、という感じでした。
依田:シナリオやコンテといったプリプロ段階でのチェックが中心ですね。シナリオに関しては『プリパラ』のシリーズ構成を務められていた土屋理敬さんが書かれていたこともあり、森脇さんも「さすが土屋さん」とおっしゃっていました(笑)。
清水:音響にも入っていただき、ディレクションを受けながら収録を進めました。大川監督にとっては『プリパラ』側のアフレコは今回が初めてではあったので、チェックしていただいて良かったという話をされていましたね。
依田:森脇さんからは「小学6年生」のエコーなど、らぁらの細かい演出の部分はこだわりで「もう少しこうしてほしい」というご意見はありました。「あそこは3回必ずエコーをかけるんだよ」と。あの部分は「“6年生”という言葉をダブらせず、3回きっちり綺麗に置いてください!」と言っていたことを覚えています(笑)。
──さすがです。制作の分担としては、やはりバンダイナムコピクチャーズとタツノコプロでおよそ半々という感じだったんでしょうか?
清水:そうですね。バンダイナムコピクチャーズが作画を担当、タツノコプロさんがCG側を担当するという形で、最初からその座組みで進めていました。ただ、両作品を“対等”なバランスで描くために、かなり細かい調整を現場レベルでしていただきました。もちろんバンダイさんやタカラトミーアーツさんからも意見をいただく場面があり、全員で擦り合わせながら進めた感じです。
今だからこそ明かせるメイキングドラマの数々
──さて、公開を迎えてしばらく経った今だからこそ明かせるエピソードなどはありますか? “制作の中で起きたキセキ”のようなものがあればぜひ。
依田:うーん、「今だから言えること」……なんだろう(笑)。
清水:(笑)。なんだろうな……大川監督も舞台挨拶のときにいくつか話していましたが、監督は両作品が好きだからこそ、「あれもこれも盛り込みたい」という想いがすごく強かったんですね。予算やスケジュールの中で、僕らがどこまでOKを出せるか、というバランスの取り方は本当に大変でした。でも「ここは監督に寄り添うか」という場面が結構ありました。
特に印象的だったのはエンディング(「プリティー×アクティビティ」)です。エンディングは大川さんが原画を描いているんですよ。本来なら監督には原画を描いてほしくない工程なんですけど、「自分で描く」という強い意志を持たれていたので、黙認して進めた結果、おかげさまで本当に素晴らしい仕上がりになりました。お客さんの反応もすごく良くて、あれはやってよかったなと思います。ただ(時間的な問題もあって)当時はヒヤヒヤしていましたけども。
依田:タツノコプロでCGが佳境に入っていたころに、まだエンデイングのコンテをいただけてなかったんですよ。だから「エンディング、まだやっているんですね」と気にはなっていました(笑)。(コンテが)届いたら「まわりでマスコットが踊っているように見えるんだけど……」と乙部たちと話していて。「でもこのマスコットは多分動かないんじゃないか」と。でも蓋を開けたら、マスコットがものすごく踊っていた(笑)。
──エンディングのマスコットのコラボレーションはすごかったですよね。背景も。
依田:驚きました。で、大川さんに聞いたら「自分で原画を書きました」と。「それは時間も掛かりますよね」と。無事に間に合ったからこそ言える話かもしれません。
──乙部さんが中心となって作られたステージングも素晴らしかったですね。
依田:大川監督も話していたと思いますが、既存曲のライブシーンは、元となる映像をベースにしています。今回の映画用に舞台のステージ自体は新しく起こしていますが、それ以外のカメラワークやエフェクトなど、使えるものはできる限り再現するという形でやっていました。だからそこは(タツノコプロ側のCG班に)形になるまでおまかせという感じでやらせていただきました。新曲については何度かチェックVを出して、大川監督から「ここはもっとこうしたい」「この分割を変えたい」「オーラをもっと広げたい」といった具体的なリクエストを受けて修正を重ねていきました。
──オーラといえば、プリパラ勢のアイドルたちによるオーラもすごく印象的でしたが、あれは最初から構想にあったんですか?
依田:実はかなり初期からの懸念材料ではありました(笑)。『アイカツ!』側の楽曲では『プリパラ』キャラもオーラをまとい、『プリパラ』側の楽曲では『アイカツ!』キャラにサイリウムチェンジを取り入れよう、という方向で決まっていたんですが……でもサイリウムチェンジはコーデさえ作れば対応できるんですが、オーラはキャラごとに全然違うということもあって探り探りだったんです。最終的にはキャラごとに合う形をタツノコプロ側から提案して、監督チェックを経て落とし込みました。
それに加えて、ステージの背景。背景といいますか、モニターという扱いで、曲によって流れる映像が違うので、こちらも一旦お任せで作らせていただいたものを大川監督に見ていただき、オッケーいただいて……という流れでした。
清水:『プリパラ』キャラの中に、新しくモチーフなどを作ってもらった子もいて、まさかここまでやっていただけるとは、という驚きがありましたね。逆にウチの『アイカツ!』側のキャラがサイリウムチェンジするところも、「ああ、こんなに綺麗に再現されるんだ」と感動しました。サイリウムチェンジした姿を見られてよかったなと。
ーー木村さんはステージシーンを改めてご覧になって、どんなお気持ちになりましたか?
木村:「さすがだな」と。乙部さん率いるタツノコプロさんのCGチームは評判が高いですから、最初から全く心配していませんでした。セルアニメのパートは弊社の制作なのでそっちはヒヤヒヤしていましたけど(笑)、CGに関してはおまかせしていたこともあって、上がってくるのを楽しみにまっている状態でしたね。まあ、「(タツノコプロから)上がってくるものは間違いない」というところで。監督からは「ああしてほしい」といったディレクションがありましたけども、我々はもう見るだけというか。
依田:とはいえ、CGにも時間がかかっていたのでわりとギリギリまで上がってこなかったんですよ(笑)。こちらは進捗を見ていたので「今ステージ入ったな」とか「まだだな」と分かるんですけど、待っている側は不安だったと思います。
清水:そうですね、そのあたりはヒヤヒヤしているところはありました。こちらも間に合っていない状態だったので冷や冷やしつつも、一緒に走ってくれているのを感じながら(笑)。
依田:メールがどんどん飛び交うんですよね。「あ、今も作業してるんだな」って(笑)。












































