
姉弟が滲ます「家族間のテンション」と「東雲の血」──『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』Blu-ray発売記念 東雲 彰人役・今井文也さん×東雲 絵名役・鈴木みのりさんインタビュー
2025年1月に全国公開された『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』。バーチャル・シンガー・初音ミクの銀幕デビューとなった本作は「歌えないミク」という鮮烈なテーマを携え、またたく間に話題となりました。
そして2025年10月29日(水)に、本作のBlu-rayが発売! 映画本編とともに収録されるのは、週替わりアフターライブ全20週分の映像特典と全41曲のオリジナルサウンドトラックCD2枚組。『劇場版プロセカ』の髄を楽しむことができる、ファン垂涎の内容となっています。
アニメイトタイムズではBlu-rayの発売を記念し、キャスト&ボカロPによる連載インタビューを実施。第一回となる本稿には「Vivid BAD SQUAD(ビビバス)」東雲 彰人役・今井文也さんと「25時、ナイトコードで。(ニーゴ)」東雲 絵名役・鈴木みのりさんが登場です。
作中において姉弟関係にある彰人と絵名。劇場版の舞台でフィーチャーされた「何気ないけれど、何気なくない日常」は、どのように生み出されているのでしょうか。
今井さん、鈴木さんにとって「東雲姉弟」とは──。想いあふれるお話の数々に、柔らかい夜明けの香りを感じることができました。
「みんなが平和でいられる作品だと思います」
──2025年1月に公開された『劇場版プロセカ』ですが、このたびBlu-rayが発売となりました。
東雲 彰人役・今井文也さん(以下、今井):正直に言うと(劇場版の)お話を聞いたときは、全ユニットのキャラクターが登場する映画ということもあって「本当にお話がまとまるのかな」という不安がありました。
ただ、実際に台本をいただいて読んでみると、完成した映像を観る前から「まとまっているな……!」と。そこからはあまり心配もなく作品に参加することができました。映画を観てくださったみなさまにも、しっかりと作品を受け取っていただくことができたという印象があります。
東雲 絵名役・鈴木みのりさん(以下、鈴木):たくさんの人に受け取ってもらえる作品になるだろうなと思っていたのですが、(反響が)想像以上でした。
『プロセカ』がアニメになることは誰もが望んでいたことですが、それぞれのユニットとキャラクターにファンがいるからこそ、ひとつにまとめるとなればバランスが難しい……。アニメとして『プロセカ』をどのように表現するのか、どこまでゲーム内のストーリーを踏襲できるのか……すべてを上手にまとめるのは本当に簡単なことではなかったと思います。
──アフレコはいかがでしたか?
鈴木:前半と後半に分けられた状態の台本を、それぞれの収録が始まる前にいただいたんです。制作が進んでいく流れの中でのアフレコで、前半の収録が終わって後半が始まるまで、結構な期間が空きました。
今井:前半と後半で、どれくらい空いたっけ?
鈴木:半年……とまではいかずとも3、4ヶ月ぐらいかなと。特に前半部分を演じているときは、全体の流れはわかっていても結末がわからないままだったんですよね。
素敵な物語になるんだろうなとは思いつつ、まだ見えていない部分も多くありました。実際に完成した映像を試写会で観て、綺麗な物語に「初音ミク」という一本の筋がある、と感じて。(畑 博之)監督が「初音ミクと『プロセカ』が大好き」とおっしゃっていた意味がわかりました。
『プロセカ』に関連するすべての界隈へのリスペクトが詰まっている作品になっていて、みんなが平和でいられる作品だと思います。
──完成映像で得た気付きもあったのですね。
鈴木:例えば、映画に登場するみんな(キャラクター名のないキャラクター)から、どれほどマイナスな感情があふれているのかなどは、実際に観て改めて感じたポイントでした。映像を観ると、彼らの想いがより伝わってきて、彼らが意味を成している存在になっていることがわかるんですよね。
今井:基本的に絵がないままアフレコをしているから、極端な話「このシーンは彰人以外に誰がいるんだろう?」と思うシーンもあったんです(笑)。完成した映像を観て「このシーン、ユニットメンバーがいなかったんだ……!」と気付くこともありました。
会話をしていないキャラクター同士については、マイク前で喋っている分にはあまり関係のないことだったりするんですよね。映画を観て、キャラクターが同じ空間にいることを知ることが2、3回あって、気が付かなかったなと。
鈴木:(笑)。制作スタッフのみなさんも、キャストの意見を踏まえて作ってくださったんだなと感じていました。
今井:(頷いて)我々の声を汲み取ってくださいました。
──特に印象に残っている収録中のエピソードはありますか?
今井:のちに「ハローセカイ」となる〈きっと届くはず〉というフレーズをアカペラで歌うシーンがあるのですが、あれが本当に揃わなくて(笑)。
鈴木:えぇ? ニーゴは揃いましたよ(笑)。
今井:他のユニットはスムーズに終わったみたいです(笑)。あのフレーズは、入りがとても変則的なんですよね。
鈴木:たしかに。難しかったなぁ。
今井:(手拍子で拍を取りながら)ちゃんとこんな感じで拍子を取って〈きっと〉と始まってくれれば間違いなく歌えるのですが、アフレコは無音の部屋の中で行われるし、急にそのタイミングが来るんですよね。だから「……〈きっと〉……え?」みたいになっちゃって(笑)。
鈴木:(笑)。もしかしてビビバスが合わなかったから、ニーゴがそのシーンを録るときに音が入ったのかな……?
今井:そうなの!? しかしビビバスは合わなかったんだよな……。その後アフレコが進んで、こはねと杏、冬弥はピッタリ合ったんですよ。
鈴木:……じゃあ今井くんが悪いじゃん。
今井:(笑)。そのシーンをディレクションしてくださったのは明田川仁監督だったのですが、「彰人だけ合わないなぁ……後で録ろう!」とご提案いただいて、別録りした記憶があります。
鈴木:なんだか悲しい記憶じゃない……?(笑)
今井:あとはね、アフレコが終わったあとにキャストで集まってランチをしたのですが、そのときのパスタが美味しかったです。















































