
世界の強豪ウマ娘を演じるキャストは現場でなにを思ったのかーー『ウマ娘 シンデレラグレイ』海外勢ウマ娘キャストインタビュー|甲斐田裕子さん×石上静香さん×関根明良さん×高垣彩陽さん×富田美憂さん座談会
アフレコは多くのキャストが一緒に収録して刺激を受けました
――ほかのキャストで印象的だった演技や振る舞いなど、アフレコでのエピソードもお聞かせください。
甲斐田:この作品は結構みんな揃って収録することができました。若い子もいれば私の世代やちょっと上の世代の方もいて、年齢感もばらつきがありますし、懐かしい人も初めてお会いする人もいて。その掛け合いがすごく楽しかったです。若い子のセリフをどう盗もうかと思って聴いていたり、(大塚)芳忠さんなど先輩の抜き収録のとき一緒にブースに入って聴いていたり。コロナ禍を経て、なかなか多くの人と録るチャンスがなかったので、勉強させていただきました。
石上:『ウマ娘』ってレースが始まってからの盛り上げや躍動感をどう出すんだろうと思っていたんです。その意味では、一番の功労賞はやっぱり実況の赤坂美聡役の明坂聡美さんだと思います。走っているウマ娘たちは意外とモノローグが多くて普通に喋っているんですよ。接戦であるとか誰が勢いあるとか、残り何百メートルとか、ラストスパートとか……そういった盛り上げはすべて明坂さんがやられていて。しかも、別録りではなく、一緒のマイクで移動しながらです。私たちの演技を邪魔せず、周りの空気を作ってくださるのは、先輩のすごい技術を垣間見た瞬間でした。
甲斐田:本当にさすがプロと思って見ていました。ちゃんとレースを見ながら実況しているし、ここはちょっとタイミングが違うんじゃないか、といった指摘もしていてすごいと思いましたね。
関根:私は全員での収録に参加できたのは1話だけで、あとは抜きでの収録でした。なので寂しくはありましたが初回に皆さんと一緒に収録できた際に、「ジャパンカップを盛り上げていくぞ!」って熱を感じ、とてもワクワクしました。皆さんの収録した音声を聞いた時に、あまりのレースの熱に鳥肌が立ちました。
高垣:オグリキャップ役の高柳さんとは初めてご一緒させていただいたのですが、本人もお芝居もすごく素敵なんです。ご覧になった方は熱量が伝わったと思いますけど、収録でも倒れちゃうんじゃないか、過呼吸を起こしてしまうんじゃないかってぐらい全力で。こちらまで苦しくなるようなお芝居に、胸を打たれました。
あと、私も明ちゃん(明坂聡美さん)ですね。自分だったらどうやるかな……と考えると、本当に大変そうだなって。現場で聴いていても圧倒されましたし、レースの要ですごい責任感もあると思いますが、それをずっと務め上げているのは改めて尊敬します。
富田:私はタマモクロス役の大空直美さんですね。マイク前に立ったときの“やったるぞ感”を背中からすごく感じて、本当にタマモに見えたんです。その心意気がなんて格好いいんだとシンプルに思いましたね。ほかの皆さんのお芝居も本当に熱くて、この熱さに負けてはいけないなと刺激を受けました。
ブース内で心を射抜かれ、好きになったウマ娘も!
――ご自身が演じるウマ娘以外で気になるキャラクターを、理由と合わせてお聞かせください。
甲斐田:今回、取材を受けるにあたって第1話から見返したら、面白くて結局朝4時ぐらいまで全部見ていました(笑)。ずっとオグリキャップに突き動かされながら見ていたので、気になるのはやっぱりオグリキャップですね。オグリのちょっと不思議な感じが大好きでハマっています。
石上:オベイユアマスターとミシェルマイベイビーは同じアメリカ代表なので、テンションを合わせようと心の中で思っていたんですけど、高垣さんのミシェルマイベイビーがあまりにもアメリカンすぎて(笑)。ちょっと私には真似できないかも、となりました。
高垣:アメリカは広いですからね(笑)。
石上:でも、あの元気さはほかのウマ娘にはない海外のウマ娘だなって感じたので、アフレコを通してミシェルマイベイビーは大好きなキャラクターになりました。
高垣:嬉しい! 最後の記者会見では、漫才みたいになっていましたよね。レースが終わったら2人はこういう絡み方をするんだなって。
石上:そうそう。それまでは絡んでいなかったけど、ちゃんと仲がいいんだと思いました。
関根:個人的な趣味に走ってしまいますが、私は原作を読んでいてディクタストライカとフジマサマーチが2人とも泥臭さがすごく感じられる真っ直ぐなウマ娘ですよね。
でも、収録が始まると推しはどんどん増えていきました。とくにトニビアンカさんに心を奪われまして。ほんっとうに格好良い第16話でのイタリア語がとても印象に残っています。スピーカーからイタリア語のガイド音声が流れて、それをパッと確認して、パッと収録されている甲斐田さんのすごさにも鳥肌が立ちましたし、お声からこれはもう王者だ! 覇者だ!という気迫が伝わってきました。「この作品ではそんなトニビアンカさんの幼馴染であるムーンライトルナシーを演じるんだ。」「レースではライバルとして競い合っているの」「彼女のように気高くあらねば」と自分に言い聞かせながら収録に臨んだことをすごく覚えています。
高垣:私はオグリキャップに胸を打たれました。勝利を手にするため必死に頑張って努力しているはずなのに、何が足りないんだろう? なんで届かないんだろう?って。第18話のオグリのセリフは自分にも突き刺さりましたね。声優も日々オーディションがあって、何が正解なのかわからない中で掴み取りたいもののためにひたすら自分を磨くしかない。努力したはずなのに、それ以上の力で超えていく人たちの背中を見たときのつらさがすごく突き刺さりました。自分の夢を託しちゃうぐらい共感したので、これからも応援したいです。
富田:私はやっぱりタマモクロスと大空さんがすごく好きですね。あのブースにいたらそりゃ好きになっちゃうよ、ってぐらいの迫力がありました。エラズリーとの会話でいうと、先ほど言った「Are you OK, Lady?(大丈夫? お嬢さん)」ってセリフにタマモが熱く返してくるから、私も熱く返したくなっちゃいました。でも、エラズリーはクールで余裕を持っていなきゃ……と思いながら収録したんです。


























































