
世界の強豪ウマ娘を演じるキャストは現場でなにを思ったのかーー『ウマ娘 シンデレラグレイ』海外勢ウマ娘キャストインタビュー|甲斐田裕子さん×石上静香さん×関根明良さん×高垣彩陽さん×富田美憂さん座談会
好評放送中のアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』(以下、『シンデレラグレイ』)。10月より第2クールがスタートし、オグリキャップとライバルたちとの熱い物語が毎週描かれています。最新回である第18話では、世界の強豪ウマ娘たちと競い合ったジャパンカップがついに決着を迎えました。
アニメイトタイムズでは、素晴らしい演技で第2クールを彩っているキャストへのインタビューを実施。前回に続きジャパンカップで熱いレースを繰り広げた、甲斐田裕子さん(トニビアンカ役)、石上静香さん(オベイユアマスター役)、関根明良さん(ムーンライトルナシー役)、高垣彩陽さん(ミシェルマイベイビー役)、富田美憂さん(エラズリープライド役)にお話をうかがいました。
※本文中に第18話までのネタバレが含まれます。
私がウマ娘に!?と驚きました
――前回、オグリキャップ役の高柳知葉さん、ゴールドシチー役の香坂さきさん、今回もご参加いただいているオベイユアマスター役の石上静香さんの3人にインタビューしていまして。そこで共演者についてお聞きしたところ、高柳さんが甲斐田さんの名前を挙げて「強者のオーラが半端なくて。一言一言に重みを感じました」と話していました。それを聞いていかがですか?
甲斐田:そう言っていただけてホッとしました。欧州王者をどう表現しよう……と思っていましたから。
――高柳さんの言葉に、横の4人がものすごい勢いで頷いていましたよ。
富田:甲斐田さんのセリフを一言聞いて、みんな背筋がビッとなったと思います。
――高垣彩陽さんの名前も挙げていて、ミシェルマイベイビーについて「お芝居がアメリカン! パワフル! ダイナミック! エキサイティング!って感じで」「陽キャの圧がすごかった」と、こちらもかなりインパクトを受けたみたいでした。
高垣:嬉しいです。オグリキャップとレース中にやり取りをするシーンで、ミシェルの英語のセリフに対してオグリが「英語、分からない!!」と返すのも楽しかったですね。
甲斐田:確か、セリフが変わったんですよね?
高垣:そうなんです。もともとの台本では別の台詞だったのですが、原作と一緒の「英語、分からない!!」になりました。
――高柳さんも「やってみたら、みんながすごく笑ってくれて嬉しかったです」と話していました。
高垣:私も原作の感じが面白いなと思っていて。
石上:これによってレースの重い空気が一瞬軽減されましたよね。
高垣:そうですね。それに、オグリやタマモたちの一直線で一生懸命なところと、まだちょっと余裕のあるミシェルマイベイビーという対比もあると思い、あえてめちゃくちゃ陽キャで演じたので、それが伝わっていたのも嬉しいです。片思いじゃなくて良かった! 高柳さんのことが気になってプロフィールやWikipediaまで調べてましたから(笑)。そうか、英検と漢検を持っている才女なのかとか(英語検定準2級、漢字検定準2級)。
――そこまで調べているとは(笑)。では、皆さんが『シンデレラグレイ』に出演が決まったときの気持ちをお聞かせください。
甲斐田:『ウマ娘』は私とは別次元の世界だと思っていたので、トニビアンカ役としてご提案をいただいて驚きました。私でいいのかな?とも思いましたね。トニビアンカは、ベルサイユっぽい雰囲気のウマ娘。どこまで「若くして(演じてください)」と言われるかと思っていましたが、そのままで大丈夫でした。
石上:私は前回お話したように、『シンデレラグレイ』がアニメ化する際に別キャラのオーディションを受けていまして。そちらは残念な結果だったのですが、その後「オベイユアマスター役はいかがですか?」とお声がけをいただきました。ゲームの『ウマ娘』はもちろん知っていましたし、TVアニメや劇場版も見てはいたので、『ウマ娘』に参加が決まったときは嬉しかったです。同時に、原作で「ジャパンカップ」は特に人気のストーリーでしたから、気合を入れて演じなければいけないと気が引き締まりました。
関根:『シンデレラグレイ』のオーディションは私も受けていました。原作を読んで「なんて泥臭く、そして熱い物語なんだ!」と精一杯頑張ったのですが、そのときはご縁がなくて。その後、ムーンライトルナシー役でお声がけいただき、「私もこの作品に携われるんだ! しかもこんな素敵なウマ娘とともに走れるんだ!」とあまりの嬉しさでマネージャーさんと2人でぴょんぴょん飛び跳ねながら喜んだことを覚えています。
高垣:「ミシェルマイベイビー役で」とオファーをいただいたときは、私も甲斐田さんと同じで「ええっ! あの! ウマ娘に!?」と驚きました。身近な人が『ウマ娘』のゲームを楽しんでいたので、「うまぴょい(伝説)か!」と思っていたら、「うまぴょい」はなさそうで(笑)。しかも、原作を見たらミシェルマイベイビーは身長195cmなんですよ。ウマ娘たちの中でもかなりの巨体で、私とは40cm以上違うので(高垣さんは151㎝)かなりギャップはありますが、楽しんで思いっきり向かわせていただこうと思いました。
富田:私は第2クールの収録が始まる前に「エラズリープライド役で」とオファーをいただきました。皆さんと同じく私も「ウマ娘か!」というのが率直な感想でしたが、海外のライバルウマ娘たちのキャスト表を初めていただいたときは「この先輩方の中に私が入ってもいいのかな……?」って気持ちが強かったです。
それぞれのウマ娘の個性を表現するように意識した演じ方
――ご自身が演じるウマ娘の印象や魅力については、どのように感じていますか?
甲斐田:トニビアンカは見た目から欧州王者の風格を感じますし、目線もほかのウマ娘とは違いますよね。でも、第18話の怪我をして病院にいるシーンでは、割と素の彼女を見ることができて、そのギャップも面白いなと思いました。
石上:オベイユアマスターは2面性のあるキャラクターといいますか。素の彼女はクールで努力家で、どちらかと言うと寡黙寄りですけど、ジャパンカップに出走するにあたり、素の自分を隠し、日本のウマ娘たちのことをすごく研究して。最後の最後に本領を発揮するところが、やっぱり一番の魅力ですね。
関根:ルナシーさんは、“ツンツンツンデレ”という印象です。普段の振る舞いはとても麗しいウマ娘ですが、走っている姿はとても熱くて。また、藤井記者の名前をしっかり覚えていた所やレースの際にトニビアンカの異変に一早く気付き、幼馴染を心配し思いやる所など、優しい一面がとても可愛いく魅力だなと思います。
高垣:ミシェルマイベイビーは、とにかく大きい!という印象でした。オベイユアマスターと同じアメリカ代表ですが、あの体でダイナミックな走りをするのは彼女の個性だなと思います。
富田:エラズリープライドの印象は、“美しくてクール”でした。でも、原作や台本を読んでみると、クールですけど寡黙な訳ではなく、ちゃんとほかのウマ娘たちとコミュニケーションを取るんです。個人的には第18話のゴールドシチーとのシーンがすごく印象的で。ちょっと照れる可愛らしい面もあったので、彼女も彼女ですごくギャップを持った魅力的な子だなと感じました。
――そんな海外ウマ娘たちですが、英語やイタリア語のセリフも含めて、演じる際に意識したことや難しかったことなどを教えてくだい。
甲斐田:私は基本、日本語しか喋れません(笑)。英語も苦手ですし、(トニビアンカが話すのは)イタリア語か……と思って。練習はしていきましたが、自分が練習するのに用意した音源と、現場で聴かせていただいた音源はまた違っていましたし、発音だけでなく感情を乗せるのが難しかったです。感情を乗せるのは何度いろんな言語でやっても難しくて、今回もそこが一番苦労しました。
石上:そうなんですよ。事前に音源をいただいていても、実際にそのシーンでの感情や表情に合わせようとすると、音源のままの発音では合わなくて。前回のインタビューでもお話しましたが、藤井泉助役の高橋(大輔)さんが英語のすごく達者な方ですので、「激昂した喋り方だと、どういうイントネーションになるんですか?」などと聞いて、現場で逐一耳コピしてやっていました。ただ、原作に比べると英語のセリフの多くが日本語になっていて、決めのところだけが英語のままだったりしたので、難しくも楽しく収録させていただきました。本場の方にどう聴こえているかは不安ですが(笑)。
英語以外に関しては、2面性のギャップを作るにあたり、素のオベイちゃんは「低めの声」とオーダーをいただていて。それをベースに仮面を被っている彼女がどのぐらいの声の高さがいいのかを、監督さんや音響監督さんの意見を聞きつつ作っていきました。2面性が綺麗に描かれていたら、演じた私も嬉しいです。
関根:ムーンライトルナシーは、英語のセリフがありません(笑)。気をつけた点は、ルナシーさんは貴婦人ですし、登場シーンでも姿勢はとてもキレイだったので、収録中は必ず背筋をピンと伸ばし貴婦人の優雅さを出せるように気をつけました。
高垣:ミシェルマイベイビーは、明るさや自由さ、マイペースさ、といったことを大事にしていました。相手と距離を詰めるのも早いと思ったので、私自身もフレンドリーな気持ちで、なにをやるにも思いっきり大きくやろうとマイクに向かっていましたね。
ただ、原作でほぼ英語で喋っていたので戦々恐々としていたのですが、原作で英語だったセリフが日本語になっているところもあって少しホッとしました。でも、ここは英語のままなんだ……といったシーンも割とあって、高橋さんに確認しながらやりました。もう高橋さんには足を向けて寝られないです(笑)。それに、音響監督の郷(文裕貴)さんも、発音に対してシビアにディレクションしてくださいました。「『ウマ娘』は世界でも楽しんでいただいているので、ネイティブの方にも違和感なく受け入れてもらえるように、ここがもうちょっとこう聴こえるといいかな」とか「ちょっと飲み込んじゃったね」などと丁寧に指摘してくださって。英語は緊張しましたが、とても楽しかったです。
富田:エラズリーは綺麗で美しく、クールに見えるけどレースや走りに対してはすごく熱い信念を持っているウマ娘なので、上品な雰囲気がありつつ芯の強さも見せられたらいいなと思って演じました。
英語のセリフは、「Are you OK, Lady?」だけだったと思いますが、普段のオーディションより緊張して現場に行きました(笑)。そもそも、オファーをいただいたときにマネージャーさんから「おそらく英語を喋ると思いますが、いけますか?」と確認があったんです。そのときは「頑張ります」と答えたものの、現場では高垣さんの耳が良すぎて英語が完璧で。その直後に自分の英語のセリフがあったのでドキドキしましたね。でも、高橋さんだけでなく、ミキサーブースにも英語ニキ(英語に堪能な人)がいて、教えてもらいながら収録することができました。
――高橋さんは外国語監修としてクレジットに載っていますね。
高垣:高橋さんは、ご自身の出番が終わられているのに、私たちの英語のセリフがあるからと残ってくださって。ガイドでいただいていた音声は女性が丁寧に細かな発音も聴こえるように読み上げてくださっていたのですが、お芝居も加味してのニュアンスは、高橋さんがよくわかっていらっしゃるので。そういう意味でも高橋さんに聞くことができて良かったです。
本番で英語のセリフのあとに高橋さんの方を見たら、指でオッケーとやってくださっていて、心強かったです。


























































