
映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』板垣李光⼈さん、武田一義さん登壇! 大学生らと戦争について語りあうティーチイン試写会の公式レポートが到着
原作は⽩泉社ヤングアニマル誌で連載され、かわいらしいタッチでありながら戦争が⽇常であるという狂気を圧倒的なリアリティで描き、第46回⽇本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武⽥⼀義による漫画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(全11巻/外伝全4巻)。
各界クリエーターから絶賛コメントが寄せられた戦争漫画の新たなる⾦字塔が、劇場アニメーションとしてついに映画化! 映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』は2025年12月5日(金)より公開となります。
公開日に先駆けて、11月16日(日)に茨城大学水戸キャンパスにて、「⼤学⽣と戦争について語りあうティーチイン試写会」が開催されました。主演を務める板垣李光⼈さん、原作・共同脚本の武田一義氏が登壇し、茨城大学の学生らと語りあった本イベントのレポートが到着しています。
<以下、公式発表の内容を引用して掲載しています>
イベント概要
■⽇程:11⽉16⽇(⽇)
■場所:茨城⼤学⽔⼾キャンパス
■イベント名:⼤学⽣と戦争について語りあうティーチイン試写会
■登壇者:板垣李光⼈(主演)、武⽥⼀義(原作・共同脚本)
映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』、「⼤学⽣と戦争について語りあうティーチイン試写会」公式レポート
第46回⽇本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武⽥⼀義による漫画をアニメーション映画化した、戦後80年記念作品『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』(12⽉5⽇公開)。11⽉16⽇には⽔⼾⼆連隊の跡地である茨城⼤学⽔⼾キャンパスにて特別ティーチイン試写会が実施され、声優を務めた板垣李光⼈と原作&共同脚本の武⽥⼀義が参加した。
本イベントには、茨城⼤学の学⽣のほか、近隣の中学校や⾼校の学⽣などを含めて約400⼈が来場し、上映の前には茨城⼤学で⽔⼾歩兵第⼆連隊や、⼤学周辺の戦跡について研究している、茨城歴史探求チームの学⽣3グループ6⼈が登壇し、研究発表を⾏った。
発表はそれぞれ①⽔⼾歩兵に⼆連隊ができるまでとその後の市⺠⽣活への影響、②満州事変が勃発してから⽇中戦争を経て、なぜペリリュー島に向かうに⾄ったのかの経緯、③茨城⼤学周辺に現在も残る⽔⼾歩兵第⼆連隊の戦跡、とテーマごとに⾏われた。
本作品の舞台であるパラオ・ペリリュー島の戦いには、守備の要を担う⽔⼾歩兵⼆連隊として、茨城から多くの若者が戦地へ赴いた。茨城⼤学のすぐそばにペリリュー島守備隊の鎮魂碑が作られていたり、茨城⼤学内に⽔⼾歩兵第⼆連隊の記念碑が残っていたりなど、茨城⼤学とぺペリリュー島の戦いを密接に感じることができた。
『ペリリュー –楽園のゲルニカ-』の主⼈公の⽥丸と相棒の吉敷は21歳。当時の彼らに近い年齢である学⽣たちがこの発表を⾏ったことで、この後に上映される映画に親近感を感じるような、とても有意義な発表となった。学⻑からは「本イベントへのたくさんのご協⼒に感謝します。ここで戦争が起きたということはどうしようもない事実ですが、その事実に対して今後どう⽴ち向かっていくかが⼤切だと思います。⼤学とは知を耕す場であると同時に未来を創る場でもあります。本⽇、中学⾼校⼤学⽣が集まって未来を創る場にできて本当によかった。このキャンパス以外にも、かつて戦跡だった場所が⼤学などといった学びの場所になっていることが多々あります。これからあなたたちは未来を創る⽴場として、今⽇感じたことを⼤切にしてほしいです。」と学⽣とこのイベントへの想いを述べた。
発表終了後、上映を終えて⾏われたティーチインには、⽥丸均役の声を務めた板垣李光⼈と武⽥⼀義が登壇。板垣・武⽥が登場すると、約400⼈の観客は盛⼤な拍⼿の⾳で迎えた。
12⽉5⽇の劇場公開に先んじて、縁のある茨城⼤学の学⽣ら若い世代に作品が届いたことに板垣は「この⼤学はまさしく本作と縁の深い場所ということで、そんな場所で上映後にお話しさせていただけることを嬉しく思います。」と笑顔を浮かべた。
MCから「若い世代の皆さんにご覧いただき、どんなお気持ちですか。」と聞かれると、本作を通してペリリュー島の戦いについて知ったという板垣は、「我々の世代は戦争経験者からお話を伺う機会も少なくなって、学校によっても戦争教育にばらつきがあると感じます。戦争が教科書の中のもの、物語などのフィクションとして捉えている部分がどうしてもあります。」と率直な感想を述べながら「でも知ることから広がるものは⼤きいと思います。今⽇映画を観て初めてペリリュー島の出来事を知った⽅もいると思いますが、そこからどんどん⾃分の中の考え⽅を深めていただけたら嬉しいです。」と⽬を向ける事の⼤切さを説いていた。
それは武⽥も同じ想い。「戦争を知らない点において、私はここにいる学⽣の皆さんと同じ⽴場です。⽗親ですら、戦後⽣まれ。⾃分も10年前の当時の天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后両陛下)の慰霊訪問で初めてペリリュー島の戦いを知りました。そこから実際に戦地に赴いた兵⼠の話を聞き、「今の⾃分たちと全く変わらない普通の⼈たちだったんだ。」と知り、それを描きたいと思ったのが本作が始まったきっかけです。⾃分で知り、考える。それが⼤事。その⼊り⼝が本作になってもらえたらと思います。」と期待を込めていた。
武⽥による原作を読んだ印象について板垣は、画と内容のギャップを魅⼒に挙げた。「可愛らしい絵柄と内容の凄惨さと⽣々しい戦争の歴史。表情もデフォルメされていて、だからこそこちら側に想像の余地が⽣まれる。⼼情や置かれている状況で⽥丸均が何を考えているのか、想像ができる。読みやすいけれど現実を突きつけられる。そのギャップが魅⼒的だと思いました。」と語った。
また⽔⼾⼆連隊の跡地である茨城⼤学⽔⼾キャンパスを訪れたことに板垣は「実際にこの地に⾜を運んで、本作を届ける事が出来たことが嬉しいです。学⽣の皆さんを前にして、若い世代の⽅々が戦地に送られたという事実を感じて、改めて戦争の怖さと残酷さを感じました。」と思うところもある様⼦だった。
アフレコ収録に⼊る前、板垣は実際にペリリュー島を訪問している。「劇中でも『楽園のような場所』というセリフがありますが、実際に海は⻘くて緑も綺麗です。でも⼀歩⾜を踏み⼊れると兵⼠の⽅がいた洞窟があったり、戦⾞も当時のまま錆びた状態で⼭道に現れたり。」と情景を回想しながら「映像芝居と違ってアフレコ収録ではマイクとモニターに向かってイマジネーションを働かせないといけないけれど、島の⾵⼟、気温、⾵、全てを感じる事でイメージを補う事が出来ました。実際に戦闘があった島に⾏く事で、⽥丸均を演じる事の重さを感じました。」と貴重な経験と述べていた。
武⽥もまた漫画を描き始めてペリリュー島を訪問した。「現地の⾵⼟を知るという意味では私も板垣さんと同じ体験をしました。ペリリュー島の戦いについて⽇本とアメリカ双⽅の⽂献を読んだけれど、そこから抜け落ちているのは”島⺠たちの声”だと思います。現地取材をして良かったと思ったことは、島⺠に話を聞き、考えや当時の体験を知れたことです。もし今後パラオに旅⾏に⾏く⼈がいれば、きっと島⺠のみんなは⽇本⼈を温かく迎え⼊れてくれます。でも、島⺠のみんなが戦争によって⼤きな被害にあったという事実を、頭の端に置いておいて欲しいと思います。」と、ペリリュー島への想いを馳せた。
その後は上映前に発表を⾏った学⽣とのティーチインが⾏われた。原作とともに共同脚本を務めた武⽥は、まず全11巻+外伝4巻という膨⼤な情報量の本作を、映画にまとめる際に⼤切にしたことは、と問われ「どうしても2時間の映画という性質上カットしてしまう場⾯が出てきます。それでも⼤切にしたかったのは、なるべく登場⼈物を削りたくないということです。それぞれ異なる⼈たちがその戦争の場にいたんだということを描きたかった。」と本作へのこだわりを明かした。
今回の映画を通して、これまでに抱いていた歴史に対する⾒⽅や認識などに変化などはあったかと問われた板垣は、「変わったというかアップデートされたような感覚です。」と述べた。「この作品にフィクションはあれど、ペリリュー島で悲惨な事実があった事は現実で、どうしたらいろいろな世代に届くんだろうと戦争に対して改めて考えさせられました。だからこの作品に関わること、全てが勉強で
した。」と慎重に⼤切に⾔葉を選びながら語った。
普段の俳優業と全く異なるアフレコには苦戦した、と話す板垣。「普段⾒慣れている台本とは違うものなので『何だこれは︖』と脳が処理できませんでした。普段は台本にマーキングはしないけれど、今回は⾃分のセリフとト書きにマーキングしました。台本という構造から根本から違かったのが⼤変でした。」と振り返った。
更には「戦争をテーマにした本作に携わる上でどのような気持ちで挑んだか︖」と聞かれると、板垣は「現地(ペリリュー島)に⾏って亡くなった兵⼠や戦った兵⼠に対して想いを馳せるところから始めました。アフレコ収録中もその思いみたいなものは絶対に絶やさずに、作品と向き合っていたいと思いました。そして戦争経験者が後世に残そうとしてきたものをいかに正しく伝聞していくか。そこも⼤事にしながら今もプロモーション活動を⾏っています。」と回答。
これに板垣のアフレコ収録を⾒学したという武⽥は「変に作り込まず素の⾃分で、⾃分がその場にいたら?という素直な演技をしてくれた。それが本作の説得⼒になったと思います。」と賞嘆していた。
最後に板垣は「学⽣の発表を拝⾒して、また新たに知ることがありました。世代関係なく⼈としてお互いが⼈として知り合っていくことの⼤切さを改めて感じることができました。そして今から家に帰って“ただいま”と⾔える⽇々を⼤切に思う、この映画が幸せに⽣きていることが出来ている今を⼤切に思う⼀つのきっかけになってくれたら嬉しいです。今⽇は貴重で有意義な時間をありがとうございました。」と全体に呼び掛けながら感謝していた。
最後には会場の全員をバックに写真を撮影し、⼤きな拍⼿に⼆⼈は⾒送られ、⼤盛況のもとにイベントは終了した。
作品概要
あらすじ
太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸はいた。漫画家志望の田丸は、その才を買われ、特別な任務を命じられる。それは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という仕事だった。
9月15日、米軍におけるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は1万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状況の中で耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。日本軍は次第に追い詰められ、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま持久戦を強いられてゆく――。
田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何か分からないまま...。そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵・吉敷だった。2人は共に励ましあい、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。
一人一人それぞれに生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する者たちの元へ帰りたかった。最後まで生き残った日本兵はわずか34人。過酷で残酷な世界でなんとか懸命に生きようとした田丸と吉敷。若き兵士2人が狂気の戦場で見たものとは――。
キャスト
(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー −楽園のゲルニカ−」製作委員



































