2.5次元
舞台『ブルーロック -Episode凪-』レビュー|初めて2.5次元舞台を観劇してみた!

『ブルーロック』大好きライターが、初めて2.5次元舞台を観劇してみた!|舞台『ブルーロック -Episode凪-』レビュー

『ブルーロック -Episode凪-』は原作の金城宗幸先生自らが綴る公式スピンオフ作品。天才・凪誠士郎を主人公にした、もう一つの“青い監獄”物語です。
 
本編を描いている舞台『ブルーロック』は4th STAGEまで公演が行われており、満を持しての『Episode凪』の舞台化。2025年11月20日~11月30日まで、東京ドームシティ シアターGロッソにて上演されました。凪と玲王推しのファンが観に行くであろうことは言うまでもなく、私も『ブルステ』に初参戦! ついに2.5次元デビューを果たしました。
 
初めて触れた2.5次元の世界、控えめに言って最高でした! 『ブルーロック』のキャラクターがそこにいる! 凪が、玲王が、実在する!! そんな気持ちにさせてくれた舞台でした。
 
見終わったあとは「凄かった!」「本当に2次元と3次元の間だった!」という、なんとも語彙力のない感想しか出てこないほどに大興奮。2次元で描かれていたキャラクターへのリスペクトを感じる再現性は2.5次元ならではだなと思いました。
 
初めての『ブルステ』記念に、本記事で観劇後の感想を綴らせていただくことに。みなさんにも「ここはエゴかった!」と共感してもらえたら嬉しいです!
 


 

気づけば夢中になって観ていた90分

正直原作やアニメが大好きな自分としては、生身の人間が演じることへの違和感があり、ずっと2.5次元に踏み込めずにいました。実のところ、公演が始まって最初の頃はソワソワ、ムズムズ……。けれど気づけば惹き込まれ、90分間の公演があっという間に終わっていました。

今まで抵抗があった自分はどこへ……違和感があると思っていた自分を殴ってやりたい! 自分の中の新たな扉を開いてくれたのが、舞台『ブルーロック -Episode凪-』でした。
 

『ブルステ エピ凪』ここがエゴかった!

キャラクターの再現性

『ブルステ』を観劇したことはなくても、キャストがどんなビジュアルをしているのかはもちろん知っていました。それでも実際に自分の目で見ると、その再現性が素晴らしい! ウィッグやカラコン、メイクのこだわりはもちろんですが、それ以上に役者の方がキャラクターを自身の中に落とし込んでいる、その役作りにファンとして嬉しくなりました。
 
凪がちゃんと凪だった……! 原作の無気力人間をどんな風に演じられるのかと思いましたが、アニメほどスローな話し方ではなくとも凪のマイペースさは存分に表現され、玲王に対してのちょっと甘えを含んだ接し方は、役者の佐藤たかみちさんの愛らしさも相まって可愛かったです。玲王でなくても甘やかしたくなるほど、再現度高し。けれど後半、サッカーの面白さを知り玲王と離れて成長していく姿は一変してカッコよく、そのギャップに心を射抜かれました。
 
原作『Episode凪』の見どころは本編で描かれていないキャラクターが深堀されているところ。凪が大人の関係でいいなと思った烏旅人と乙夜影汰の関係性もしっかり描かれていました。サッカーの“パートナー”ってこういうものだよね、じゃあ凪と玲王は……? と改めて思わせてくれるその対比が、凪と玲王の物語に深みを増してくれていました。
 


 
印象的だったのは、本編での潔世一との絡みがなくアニメでもほとんど描かれていない、柊零次、日不見愛基、清羅刃のキャラクターの作り込み。柊の理詰めで話すイラっとさせる感じや、日不見の人を見下し煽るようなしぐさ、清羅の冷めた話し方やブレイクダンスを取り入れたプレーなどなど……まさにイメージ通り。むしろキャラクターの解像度が上がりました。
 
 

視覚と聴覚で揺すぶるサッカーシーン

会場に入ってまず目に入ったのはステージ上のスロープ。今までのシリーズも八百屋(傾斜のある舞台床)を生かしたステージングになっていましたが、それをはるかに越える傾斜に。この傾斜によってサッカーシーンは躍動感がパワーアップ。さらにパルクールのようなポールのセットを使って『ブルーロック』ならではの超人プレーを表現していました。
 


 
何より驚かされたのは、ステージの上で行われるサッカーをボールを使わずに映像と音で演出していること。役者のプレーにあわせて光の軌道でボールの動きを表し、ボールが選手の足元に来るタイミングで蹴る音を鳴らすことで、本当にボールを蹴り合っているように見せるのです。限られたスペースでサッカーをするのは難しいと思っていたので、ボールを使わない演出に驚きつつ、それもまた2.5次元の世界ならではだなと思わせる瞬間でした。
 
とにもかくにも、実際にずっと走り続けながら台詞を言う役者さんのパワーを肌で感じました。
 

 

『ブルーロック』を知らなくてもわかる台詞回し

見ていて一番感じたのは、台詞の多さと早さ。『ブルーロック』はキャラクターが頭の中でいろんなことを考えながらプレーをしているので、キャラクターが口にする台詞だけでなく、どんなプレーが繰り広げられているかの説明も役者さんの台詞として発せられていました。さらにその思考は数秒で考えていることなので、動作と台詞を合わせるために長台詞を早口で言う役者さんの凄さに感動!
 
キャラクターの思考も今どんな状況なのかも理解できるので、しっかりストーリーを追うことができ、『ブルーロック』を読み込んでいなくても楽しめるなと思いました。
 
 

凪のモノローグの演出

『Episode凪』といえば、本当に伝えたいことを口にしないことによる凪と玲王のすれ違い。アニメではモノローグで描かれていた凪の想いがどう表現されるのか、私の中では一番の楽しみでした。
 
二次選考2ndステージで3人1組のチームを作るシーン。凪が潔と蜂楽のチームに入ると言ったときに凪が玲王に伝えた言葉の裏にある凪の想いがスロープに映し出される演出は、個人的に涙ものでした。口には出さない演出方法が「本当に伝えたいことはこれなんだ!」と思わせ、魅せられました。それ故に玲王に伝わらないことがもどかしく、すれ違っていく二人を見ているのがつらくもありました。
 
 

映画『Episode凪』では見られなかった二次選考のシーンが楽しめる脚本

映画『Episode凪』では白宝高校の頃から青い監獄に来て一次選考を通過するまでがメインに描かれていました。二次選考の奪敵決戦はほぼダイジェスト。でも舞台『Episode凪』では二次選考での凪の成長がストーリーの中枢になっています。それは=(イコール)玲王の悲しい顔を見なければいけないということで……。
 
二次選考は凪にとっては挑戦、玲王にとっては試練。そんな二人が丁寧に描かれていたので、ファンとしてとても嬉しかったです。そしてなんといってもラストシーン! まさか! ここで! 早くもこんな思いにさせてもらえるとは!(本誌を追っている方はきっとわかりますよね。) 映画のラストもめちゃくちゃ良かったのに、それを超えてきたことで私の感情はぐちゃぐちゃでした(笑)。
 
凪と玲王の出逢い——スマホトラップをした階段のシーンから始まり、そしてファンを唸らせる感動のラスト。最高の脚本でした!
 
 

凪と玲王の距離感はやっぱりバグっていた

凪誠士郎を演じる佐藤さんと、御影玲王を演じる菊池修司さん。少し年上の菊池さんが佐藤さんを支えリードする感じが、白宝高校の王子様・御影玲王を思い起こさせましたし、舞台裏やSNSの動画などで見せる佐藤さんの弟キャラっぽい感じは、まるで玲王の前で心を許す凪のようで……。凪と玲王の関係性が二人を見ていても感じることができ、それだけで「ありがとう」という気持ちでした。
 
そんな二人が演じる凪と玲王。彼らの物語に欠かせない“レオリムジン”こと、玲王が凪をおんぶするシーン、もちろんありました! そして生身の人間、高校生の男子がおんぶしている絵面は……いろんな意味でヤバかったです。
 
ほかにも玲王が嬉しさのあまり凪に飛びついたり駆け寄ったりするシーンが随所にあるのですが、改めて見ても二人の距離感はバグっているなと思いました。でもそんな二人がやっぱり最高なんですよね。
 


 

終わりに

『ブルーロック』が、『Episode凪』が大好きな私は、今回も凪と玲王にたくさん泣かされました。そして改めて気づいた、原作、アニメ、舞台……“どんな御影玲王も好きだ”ということ(照)。
 
千秋楽公演で2026年6月から舞台『ブルーロック -Episode凪-』が新たなシーンを追加して再演されることが発表に。同時に秋には舞台『ブルーロック』の世界英雄大戦の上演決定も発表されました。『Episode凪』はキャスト情報も解禁。それを見ると、なんだか玲王のシーンが増えるような予感……‼ 今回一瞬にして『ブルステ』に魅了された私の熱は冷めやまぬまま、2026年に突入することが決定!
 
そして2.5次元の違和感がなくなった今、実写映画も楽しみでなりません。私の人生はまだまだ『ブルーロック』色に染まっていられそうです!
 


 

関連記事

関連記事
ブルーロック -EPISODE 凪-
作品名ブルーロック-EPISODE凪-著作者三宮宏太(作画)、ノ村優介(キャラクター原案)、金城宗幸(原作)出版社講談社巻数全8巻最新刊情報発売日:2025年08月12日 通販 電子書籍凪の次なる相手は世界選抜。滾る“熱”に身を任せ、異次元選手へ真っ向勝負を挑む!一方、未だ『奪敵決戦』中の玲王。士道に埋もれず自分の“色”を見つけ出せるのか!?そして、再逢の時!知らなかった激情。伝えたい言葉。“ひとり”になったからこそ手にしたモノがある──。再び重なり示される、新しい“ふたり”の未来図とは!?凪誠士郎物語、堂々完結!そして天才はさらなる未来へ!!関連商品を探す既刊情報1巻発売日:2022年10月17日 通販 電子書籍『天才』は見つける者がいて初めてその輪郭を成す──。『ブルーロック』公式スピンオフ! 原作者・金城宗幸が自ら綴る、天才・凪誠士郎が主役のもう一つの“青い監獄”物語!!凪誠士郎、高校2年生。「めんどくさい」が口グセの少年は、日々を無気力に生きていた。日本サッカーのW杯優勝を目指す育成寮“青い監獄”と、相棒・御影玲王がその才能を見つけ出すまでは──。『ブルーロック』原作者・金城宗幸が自ら贈る、天才・凪誠士郎物語堂々開幕!!2巻発売日:2023年0...

 

アニメイトタイムズのお仕事のほか、旅行、グルメ、ウェディング、テーマパーク系のライターをしています。 旅行に行けなくなって、漫画やアニメにハマリ、今はもっといろんなジャンルを知るべく武者修行中! スポコンアニメを見て、一緒に泣いたり熱くなったりするのが最近のストレス発散方法。 ネコとハワイと『バクテン‼︎』が大好き☆

この記事をかいた人

万木サエ
旅行、グルメ、テーマパーク系のライターを経て、アニメのジャンルへ出向。ネコとハワイと『バクテン‼︎』が大好き☆

担当記事

関連記事
世界で一番フットボールの熱い場所“青い監獄”にエゴイストが集結! 仲間を蹴ちらし世界一のストライカーに成り上がるのは!? 『ブルーロック』最新刊までのあらすじやエゴイストたちの魅力を紹介!【ネタバレあり】
『ブルーロック』は、週刊少年マガジン(講談社)で連載中の金城宗幸先生×ノ村優介先生によるサッカー漫画。登場人物すべてがFW(フォワード)という、異色のサッカー漫画としてスタートした連載は、今や累計発行部数3000万部を突破する人気作品となりました。 連載ではまだまだ熱い展開が続いている『ブルーロック』。本稿では、単行本最新刊までの簡単なあらすじと、進化するエゴイストたちの見どころシーンをご紹介します。“エゴい”戦いをもっと体感したい方は、ぜひ漫画&アニメをご覧ください! ※本稿では作品のネタバレを含みますのでご注意ください。  “青い監獄”プロジェクト、始動! 日本をW杯優勝に導く選手を育てるため、日本フットボール連合は絵心甚八をコーチとして雇い、世界一のストライカーを創り上げるための特殊トレーニングを行う「“青い監獄”(ブルーロック)プロジェクト」を立ち上げます。 全国から招集された優秀な高校生FW300人が一堂に会したところで、絵心から“青い監獄”が目指すものについて語られ、絵心の言葉に奮い立ったストライカーたちは“青い監獄”への扉をくぐります。主人公・潔世一もその一人でした。  入寮テスト「オニごっこ」【コミック1巻、アニメ...
関連記事
『Dr.STONE(ドクターストーン)』第3期放送前に、過去シーズンをおさらい! 石の世界を生きる千空が爆誕させた科学アイテムとは? 科学の知識を身につけながらストーリーを振り返ろう
稲垣理一郎さん原作、Boichiさん作画による人気コミック『Dr.STONE(ドクターストーン)』のTVアニメ第3期が、2023年4月6日から放送スタート! 2022年夏にスペシャルアニメ『Dr.STONE龍水』が放送され、続編を待ちわびていたファンも多いのではないでしょうか。 『Dr.STONE』の最大の見どころは、科学少年・千空が、文明が滅んだ石の世界(ストーンワールド)で、仲間たちとゼロから文明を作っていくところ。千空がアイテムを生み出すシーン、まるで科学実験の授業を受けているような気持ちになり、なんだかワクワクしませんか?  そこで本稿では、千空が“爆誕”させる科学アイテムに注目しながら、第1期~スペシャルアニメまでを振り返りたいと思います。  科学少年・千空、目覚める謎の現象によって石化してから数千年――その間ずっと時間を数え続け、3700年の時を経てふいに目覚めた千空。文明が滅んだ石の世界(ストーンワールド)で、千空はイチからひとりで衣・食・住を整えます。 アインシュタインが唱えた科学の基礎「E=mc2(物質が持つ質量とエネルギーは等価である)」、つまりは“無からエネルギーは生まれない”という理論を胸に刻み、ゼロから文明を作り出すことを誓います。 【...
関連記事
いくつになっても楽しみたい!HoneyWorks(ハニーワークス)から生まれた、フルスロットルで駆け上がるダンスボーカルユニット「Full Throttle4」に注目! 知れば知るほど彼らの“SICKS(中毒)”になる!
10代に絶大なる人気のクリエイターユニットHoneyWorks(以下、ハニワ)。関連動画は総再生回数8億回超え! そんな若者に人気のハニワに、青春の思い出が薄れつつある歳の筆者がハマってしまったのです。私の心を掴んだのは、ダンスボーカルユニット「FullThrottle4(フルスロットルフォー)」。某アイドルグループやダンスボーカルグループのファンだった頃の淡い気持ちを思い出させてくれました。彼らを知ってから、ハニワに夢中の日々が始まりました……。 ハニワが主体とする音楽性から生まれたシリーズプロジェクト「告白実行委員会」の、高校生たちの甘酸っぱい恋愛にもキュン。 同シリーズから生まれた人気沸騰中のアイドルユニット「LIP×LIP(リップリップ)」の“王子様”な王道アイドルも最高! ですが、FullThrottle4(以下、FT4)の楽曲を聞いたらファンにならずにいられませんでした! やんちゃな見た目から「ゴリゴリのラップ系」や「激しいダンスミュージック」を想像するかもしれませんが、メロディラインは美しく、ボーカルの歌声は繊細で驚かされます。 本記事では、ビジュアルと楽曲のギャップに魅了された筆者が、“SICKSの1人”(FT4はファンのことをSICKS〔シックス〕と呼びま...
もっと見る
関連記事
BL界にもアイドル旋風! ファンには言えないアイドル同士の秘密の関係にキュンとくる「アイドルBL」漫画おすすめ5選をご紹介
『アイドリッシュセブン』『あんさんぶるスターズ!!』『UniteUp!』など、アニメ界のアイドル人気が勢いづいている中、BL界のアイドルにも追い風が吹いています。 筆者がBLの世界にハマったのもアイドルBLを読み始めてから。キラキラした世界に秘められた、誰も知らない恋物語に心を掴まれました。 自分の推しがステージの裏で他のメンバーと……なんて考えるだけでドキドキしませんか? アイドルなのでドキッとする甘い台詞や仕草も様になりますし、恋人への想いを歌詞やダンスにのせたり、ファンサと見せかけてイチャイチャしたり。ファンにすら嫉妬して自分だけのものにしたいと思う独占欲も萌えポイント。ライブの高揚感を引きずったまま……というラブシーンもアイドルBLの醍醐味です。 本記事では、元ドルオタでもある筆者おすすめの、アイドルBL漫画を5作品紹介します。比較的描写もライトなので、BL初心者の方にもおすすめです!  『幕が下りたら僕らは番』著者:ざらめ鮫先生Ωであることを隠して活躍するトップアイドル・蜂谷密生と、事務所の後輩アイドル・瀬兎真啓とのオメガバース作品。   作品紹介αばかりの芸能界にいながらも努力で上りつめ、国民的アイドルとなった密生。片や...

 
おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2025年秋アニメ一覧 10月放送開始
2025年夏アニメ一覧 7月放送開始
2026年冬アニメ一覧 1月放送開始
2026年春アニメ一覧 4月放送開始
2025秋アニメ何観る
2026冬アニメ最速放送日
2025秋アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング