
ヒーローを助けるヒーローがいてくれてよかった──『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』麗日お茶子役・佐倉綾音さんインタビュー
“なにもわからないまま”演じた第169話
──『FINAL SEASON』にあたってどんな心境でしたか?
佐倉:『FINAL SEASON』前半のお茶子は意識がなくて出番が少なかったのですが、ほかの現場で『ヒロアカ』のキャストに会った時は情報共有をしていました。ずっとしんどい展開が続いているけれど、丁寧に、作品を取り壊さないようにアフレコをしていたそうで。私もいざ合流して、「頑張れ」と一言だけ収録し、意識を失っている間に決着がついたんだなとヒシヒシ感じました。
コロナの影響もあって、結構な人数が揃うのは第1期、第2期ぶりなんですよね。戦うシーンが多く、私自身、学生時代を思い返しつつも、明らかに今までとは違う雰囲気を感じました。みんな、戦いに勝ち抜いてきた目をしていて、懐かしさがありつつ、とても心強い戦友になったなと思いました。
──現在、決戦を終え、エピローグを迎えています。
佐倉:やはり堀越(耕平)先生の話作りが巧妙だなと。小さいコマの登場人物の行動や言動が繋がっていたりとか、様々な伏線が紐解かれていくので、原作をご存じない方はぜひ楽しみにしていてほしいです。原作をご覧になっている方は、改めてアニメの『ヒロアカ』が出した答えを堪能してもらえればなと思います。
──改めて、デクの活躍や成長をご覧になっていかがですか?
佐倉:第1期の頃はひとりの“無個性”の男の子でしたが、今は見違えるほどの強大な力を得て、見事に救けられる側から救ける側に成長を遂げていて。だけど、彼が大事にしていることは最初からなにも変わっていないんですよね。
根底に「救う」気持ちがあるから、死柄木たちにも倒すというよりも「救う」気持ちでいて。そこが変わっていないのは私としても嬉しかったです。
──決戦を終え、やはりお茶子とデクは特別な関係のように見えました。
佐倉:私自身、まだ気持ちの整理がついていないところではありますが、たくさんの命と向き合うヒーローという強大な存在であっても、やっぱりひとりの人間なんですよね。普段からひとつの心でたくさんのことを考え、行動していますが、それでもひとつの心では足りない時もあります。
そんな時、もうひとつ心が寄り添ってきて、この先も一緒に歩いていけるという展開は、改めてヒーローの人間味を感じることができました。最後の最後に、ヒーローを助けるヒーローがいてくれてよかったです。
──「未成年の主張」を含め、最後までお茶子はヒーローの心に寄り添う活躍が描かれました。
佐倉:そうですね。攻撃よりもサポートや救ける方に特化した“個性”というのもありますよね。そんなお茶子の人生をさらに救い上げ、相互作用のある関係でいられる人がいるというのはとても素敵なことだなと思います。
──第169話は辛い気持ちを発露しましたが、演じてみていかがでしたか?
佐倉:収録本番まで、このシーンの整理があまりついていなかったんです。だけど本番が始まり、演じてみてわかりました。「お茶子が整理できていないんだから私もそうだよな」と。(爆豪勝己役)岡本信彦さんはこのシーンをどうやって演じるのかすごく気になられたそうで、自分の番が終わっても残って見学してくださったんです。だけど、どう演じるのか全然説明できないんですよ。
結局、なにもわからないまま収録は終わりました。だから、この回が放送され、受け取った方々がなにを感じるのか気になりますし、ボンズさんの絵に私の声が乗ってどうなるのか、そこは恐くもあり、楽しみでもあります。
──整理がつかない経験はこれまでにも?
佐倉:今までで一番整理できませんでした。整理されたお芝居なんて『ヒロアカ』には一個もないですが、その中でも特に答えが出なかったです。
『ヒロアカ』はたくさんの人生を変えた作品
──改めて、佐倉さんにとって『ヒロアカ』はどんな存在ですか?
佐倉:私のもうひとつの人生と言ってしまうとおこがましいかもしれませんが、それくらい一緒に戦い抜いた気持ちがあります。声優として『ヒロアカ』から学んだことや取り入れた技術、動かした気持ち、どれも私にとってあまりに大きいものばかりです。私を含め、たくさんの人の人生を変えた作品なんじゃないかなと思います。
──役者としても、ファンとしても影響が大きいと。
佐倉:そうですね。いち元子どもとしても、いち現大人としても、刺激や勇気、時には絶望を与えられました。
──技術的な部分でどんな影響が?
佐倉:声優というものは日々、テクニカルな技術を求められているのですが、まずは尺に収めることが求められます。それ以外にも声という楽器の良さや、キャラクターを保つことが大事とされる現場が多いのですが、『ヒロアカ』はそこを超越して、心の赴くままに演じてくださいと言われるんです。
私としては生きとし生けるものを演じるにあたって、やはりそこが一番大事だと毎回思わされました。
──それだけ特殊なことなんですね。
佐倉:ほかの現場は尺に収めるための作業を綿密に行って、そこに感情を合わせることが求められることが多いのですが、『ヒロアカ』の場合は感情が最優先になっています。尺に入らなくても、尺が余ってもいい。感情のみの一点突破で演じさせてもらえるのはとても貴重な経験で、そういったところでも影響が大きい作品だと思っています。
──そこはある種、スタッフ陣のこだわりでもあるのでしょうか?
佐倉:そうですね。音響さんをはじめとしたスタッフのみなさんがキャラクターの気持ちを第一にしてくださっているからだと思います。
──最後に、最終話に向けたメッセージをお願いします。
佐倉:ここまで走り続けて、『ヒロアカ』は人によって思い入れのあるキャラクターがそれぞれ違うんじゃないかなと感じています。各々ちゃんと掘り下げがあり、バックボーンや抱えている想いが伝わってくるからです。
自分と重なるところがあったり、憧れるところがあったり、単純に見た目が好きだったり、理由はなんでもいいので、好きなキャラクターたちが迎える結論、ひとつの区切りをぜひ見届けてください。
【取材・写真 MoA】
TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』作品情報
僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON
2025年10月4日より毎週土曜夕方5:30放送開始!
読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネット
※一部地域を除く

配信情報
TVアニメ1期~7期 各動画配信サービスで好評配信中!!
http://heroaca.com/onair/#ondemand
イントロダクション
コミックスシリーズの世界累計発行部数1億部を突破!10年に渡り「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載、堀越耕平による大人気コミックを原作としたTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』。
舞台は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性” を持つ世界。事故や災害、そして“個性”を悪用する犯罪者・敵<ヴィラン>から人々と社会を守る職業・ヒーローになることを目指し、雄英校に通う高校生・緑谷出久“デク”とそのクラスメイトたちの成長、戦い、友情のストーリーが繰り広げられていく!
そして通算8期目を数えるシリーズは、ついに【FINAL SEASON】として2025年10月より放送決定!!
ストーリー
超常能力“個性”を人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オール(OFA)を受け継いだ。
デクはヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、“個性”で社会や人々を救ける“ヒーロー”になることを目指し、ヒーロー科1年A組のクラスメイトたちと共に成長していく。
デクたちの雄英2年目の春。デクをはじめとするヒーローたちと、死柄木弔とオール・フォー・ワンの率いる敵<ヴィラン>はいよいよ最終決戦に突入し、日本各地で激しい戦いが繰り広げられる。
轟焦凍とエンデヴァー、そして荼毘=轟燈矢たち轟家の因縁、お茶子とトガの対峙は決着を見た。そしてついに、“個性”ワン・フォー・オールを全開にしたデクと、自身を乗っ取ろうとしたオール・フォー・ワンの意識を逆に取り込み完全に覚醒した死柄木。若返りで全盛期の力を取り戻したオール・フォー・ワン本体と、“無個性”ながらパワードスーツを纏った“アーマードオールマイト”。彼らの戦いが決着へ――!
果たして、デクの「僕たちが最高のヒーローになるまでの物語」はフィナーレで成し得るのか、それとも全てが崩壊するのか……!?
スタッフ
原作:堀越耕平(集英社 ジャンプコミックス刊)
総監督:長崎健司
監督:中山奈緒美
シリーズ構成:黒田洋介(スタジオオルフェ)
キャラクターデザイン:馬越嘉彦・小田嶋瞳
美術監督:池田繁美・丸山由紀子(アトリエムサ)
色彩設計:菊地和子(Wish)
撮影監督:澤 貴史
3DCG監督:安東容太
編集:坂本久美子
音響監督:三間雅文
音楽:林ゆうき
オープニングテーマ:「THE REVO」ポルノグラフィティ
エンディングテーマ:「I」BUMP OF CHICKEN
プロダクション・スーパーバイズ:ボンズ
アニメーション制作:ボンズフィルム
声の出演
緑谷出久:山下大輝
死柄木弔:内山昂輝
オールマイト:三宅健太
オール・フォー・ワン:大塚明夫/神谷浩史
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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

















































