
それぞれの感情が溢れた有マ記念。一瞬のきらめきを美しく、儚く、危うく、魅力的に――アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』高柳知葉さん(オグリキャップ役)、大空直美さん(タマモクロス役)、優木かなさん(スーパークリーク役)、花守ゆみりさん(ディクタストライカ役)インタビュー
一緒に収録したからこそ、お互いに引き出し合えた現場
――そういえば、第22話はAパートがすごく長かったですよね。CMに入ったタイミングで時間をみたら、もうかなり経っていて驚きました。
高柳:そうなんです。ずっと山場の連続で夢中になって見ていたら、「え? この話数あとちょっとしかないの?」って。
大空:レースの勢いを(CMで)切りたくないもんね。
花守:アフレコでも、Bパートのテストをやったら「短っ!」って(笑)。
大空:でも、Aパートの収録も長いとは感じなかったですね。
優木:全然感じなかったです。
――アフレコはかなり大人数でできたそうですね。
大空:ギュウギュウでした。
高柳:「Aパートで終わった人はブースから出てください」っていうレベルで(笑)。そうしないと入らないぐらいギュウギュウな中で録っていました。
優木:1人で走る(録る)のは嫌ですよね。そういう点では、みんなで一緒に録ることができたのは、ありがたかったです。
大空:「負けない!」って競り合うところとか、やっぱり人と一緒にやらないと出せない部分がたくさんあるよね。
高柳:本当にみんなが自分の持てる力を現場で出し合うから、「負けていられない!」「私も!」と持っている以上の力をお互いに引き出し合えた環境でした。私も引き出してもらってばかりで。
というのも家で練習して「なんか足りないんだよな」と思ったものが、現場で皆さんとお芝居したらフワッと自然に出てきて。「家であんな悩んでいたのはなんだったんだろう?」と思うような体験ばかりだったんです。皆さんのおかげで作り上げられた『シンデレラグレイ』のオグリ像だなと思いながら、2クール走り続けてきたので、みんな同じ思いだったとわかってすごく嬉しいです。
――トレーナーのキャスト陣も一緒に収録されたのですか?
優木:ほとんど一緒でした。
大空:引き出されたといえば、私はコミちゃん(小宮山勝美トレーナー)とのシーンでも本当に引き出されました。有マ記念出走前に、コミちゃんが感情を抑えきれなくてポロポロ子供みたいに泣きじゃくるシーンは、(白石)涼子さんの泣き声が本当に胸に刺さって……。
涼子さんの涙のお芝居は、タマのことを小さい頃からずっと見てきてくれた関係値まで見える涙だから、いま思い出しても鼻がツンってしちゃいます。それを聞いて、自分の中で用意していたものよりもずっとずっと優しい声で「ありがとうな」って自然に出たんです。
「こうやろう」「こういう風に演じるぞ」ってプランじゃなく、台本を見ないでスッと言葉が出たというか。涼子さんは事務所の先輩であり、養成所の先輩でもあるんですけど、一緒にお芝居ができて本当に良かったです。すごく素敵な気持ちになれましたし、いっぱい引き出していただきました。
――タマモが小宮山トレーナーを抱きしめる姿も素敵でした。
高柳:ちびたちがお家にいっぱいいるから、“お姉ちゃん”としてのタマが根っこにあるとすごく感じたよね。
大空:そうなんです。弟と妹がいて、めちゃくちゃお姉ちゃんだなって。コミちゃんに引退を伝えにいくシーンでは、コミちゃんの方がお姉ちゃんな感じだったけど、泣きじゃくったときはタマがコミちゃんを抱きしめていて。お互いにお姉ちゃんみたいでした。
花守:本当に家族みたい。
大空:タマが子供の頃に出会って、そこからずっと一緒にトレーニングを重ねてきたから、長〜い年月をかけた心の開き方というか、溶け合っているのは本当の家族みたいな感覚なんだろうなって思います。
ひとつの時代が終わり「新しい時代」へ
――トレーナー陣はみんな魅力的ですよね。ディクタストライカの小内トレーナーもまた違った魅力があります。
花守:大きくて(身長2m)無口ですけど、ちゃんとディクタのことを理解してくれていて。軽口も叩けるし、お互いに信頼しているのを感じます。
高柳:信頼関係がめちゃくちゃ見えるよね。
優木:でも、客席で目立ちすぎでしょ(笑)。後ろの人が絶対見えない。
花守:すみません、うちのトレーナーが(笑)。
大空:トレーナーさんがいるのいいな〜って言っていた人いたよね?
高柳:(天海)由梨奈ちゃんじゃなかったかな。ミスターシービーとか、レジェンドの3人が現役のときにどんなトレーナーさんと組んでいたのか、スピンオフなどで見てみたい。マルゼンスキーさんに合うトレーナーさんってどんな人だろう?とか。
優木:妄想するだけで楽しいね。
高柳:そういう意味では、オグリには北原(穣)という変わらぬ心の支えがいて、中央には圧倒的に頼りになる六平さんがいて、さらにベルノもいてくれる。こんなに心強い存在が3人もいて幸せ者だなって思います。
大空:ベルノは中山レース場の坂のために頑張ったよね。
優木:それをオグリは一瞬で習得して(笑)。
高柳:むくれてるベルノが可愛かった(笑)。
花守:ベルノと六平さんの掛け合いは、ほっこりしちゃいます。
優木:おじいちゃんと孫みたいだよね。
高柳:現場での(大塚)芳忠さんと(瀬戸)桃子ちゃんの絡みが、ほんとにそういう感じで。あの距離の縮め方は、この2人だからできるんだろうなって。「かわいい孫がなんか言ってるよ」ってテンション感が、六平さんとベルノの空気感にピッタリなんです。
花守:もうキュンキュンしちゃいます。壁になって聞いていたい(笑)。スイカを切って出したいぐらいいい雰囲気なんですよ。
高柳:六平さんが芳忠さんで本当に良かったですし、ベルノが桃子ちゃんで良かった。『シンデレラグレイ』は全員が「この人しかいない!」ってキャスティングだなってすごく思います。
――本当にそうですね。では最後に、第2クールの最終回となる第23話「新しい時代」の見どころや、今後への期待の言葉をお願いします。
高柳:いよいよ第2クールの最終回、原作でも大きな区切りだった『白い稲妻篇』のラストを迎えます。これだけ丁寧に2クールかけて描いていただけたことが、すごく幸せです。オグリも本当に成長しましたが、この先もまだまだ超えなきゃいけない壁や出会いがあります。その物語もアニメで見たいという気持ちは我々も皆さんも同じだと思います。アニメ化されるかは皆さんの声次第でもありますので、そのためにもぜひ何度でも見返して楽しんでいただき、最終回まで一緒に見届けていただけたら嬉しいです。
大空:たっぷり時間をかけて2クールやってきたはずなのに、すごく早かったです。タマモクロスとしては、トゥインクル・シリーズを引退して新しい門出となりますが、オグリと一緒に走れて本当に幸せでしたし、出会えたことが成長のきっかけになりました。心の中にはずっとオグリがいると思います。私もともちゃんとガッツリ掛け合いのお芝居をするのは『シンデレラグレイ』が初めてでしたけど、役者としていろんなものを引き出してもらえました。ともちゃんと一緒に演じられて本当に幸せです。次回が大きな区切りとなるので寂しい気持ちはありますが、この先も「新しい時代」が続いていく期待を込めて、皆さんと一緒に最終回を見届けたいと思います。
優木:こんなに素敵なアニメを作ってくださったクリエイターの皆さん、スタッフさん、役者一同、すべての方に感謝しかありません。第22話は現場で何回涙を流したかわからないぐらい素晴らしかったですが、第23話もすごくワクワクすると思います。ぜひ『白い稲妻篇』の締めくくりとして、最後までタマちゃんの門出を見届けてください。個人的なことを言えば、クリークは奈瀬トレーナーが「共に強くなろう」と言っていたように、原作ではこれからもっともっと強くなって活躍していくウマ娘ですので、それをいつかアニメで見られたら嬉しいです。
花守:アニメ化するにあたってのいろいろな難しさはきっとあったと思います。でも、原作への愛や、それを凌駕する熱量が込められているのを現場でずっと感じていました。役者さんも演じているウマ娘に対して本当に並々ならない熱と愛を持っていて、私もその熱に立ち向かえるお芝居をしなければ失礼だという気持ちを抱きながら、ここまで走ってきました。有マ記念が終わって、次回は「新しい時代」――ひとつの時代が終わって新しい時代が始まる、「あぁ、いいアニメだったな」と噛みしめてもらえる第2クールの最終回になっています。彼女たちの物語はこれからも続いていきますので、皆さんも一緒に走り続けてください。ディクタストライカという素敵なウマ娘とご縁をいただけて、役者として本当に楽しかったです。幸せでした。
――どんな「新しい時代」が描かれるのか楽しみにしています。ありがとうございました!
[取材・文/千葉研一]
『ウマ娘 シンデレラグレイ』作品情報
あらすじ
週刊ヤングジャンプにて大好評連載中、累計発行部数800万部突破!!
クロスメディアコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー』発のオグリキャップを主人公としたコミカライズがついにアニメ化!!
寂れた地方のカサマツトレセン学園。そこに1人のウマ娘が現れる。
名は、オグリキャップ。
その圧倒的な走りは、あらゆる常識を覆していく。
やがて「怪物」と呼ばれる灰被りの少女が、今、新たな伝説を刻む――。
青春“駆ける”シンデレラストーリー、遂に出走!!
キャスト
オグリキャップ:高柳知葉
ベルノライト:瀬戸桃子
北原穣:小西克幸
六平銀次郎:大塚芳忠
フジマサマーチ:伊瀬茉莉也
ノルンエース:渋谷彩乃
ルディレモーノ:大地葉
ミニーザレディ:井澤詩織
タマモクロス:大空直美
ヤエノムテキ:日原あゆみ
サクラチヨノオー:野口瑠璃子
メジロアルダン:会沢紗弥
スーパークリーク:優木かな
ディクタストライカ:花守ゆみり
ゴールドシチー:香坂さき
シンボリルドルフ:田所あずさ
マルゼンスキー:Lynn
ミスターシービー:天海由梨奈
トニビアンカ:甲斐田裕子
オベイユアマスター:石上静香
ムーンライトルナシー:関根明良
ミシェルマイベイビー:高垣彩陽
エラズリープライド:富田美憂
Ⓒ久住太陽・杉浦理史&Pita・伊藤隼之介/集英社・ウマ娘 シンデレラグレイ製作委員会 Ⓒ Cygames, Inc.
























































