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『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』クリエイターズトークイベント公式レポ

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』クリエイターズトークイベントの公式レポートが到着! 久慈悟郎氏(監督)、川井憲次氏(音楽)、横田知加子氏(音響監督)が登壇

2025年12月5日(金)より上映中の映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』。

このたび、12月16日(火)にT・ジョイ PRINCE 品川にて開催されたクリエイターズトークイベントの公式レポートが到着しました!

本イベントには、久慈悟郎氏(監督)、川井憲次氏(音楽)、横田知加子氏(音響監督)が登壇。戦争アニメーションにおける、音楽・音としての制作秘話や、戦闘や潜伏などの各シーンでのこだわりなどを語りました。

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ペリリュー -楽園のゲルニカ-
仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記す功績係――彼が本当に見たものとは?太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸はいた。漫画家志望の田丸は、その才を買われ、特別な任務を命じられる。それは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という仕事だった。9月15日、米軍におけるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は1万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状況の中で耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。日本軍は次第に追い詰められ、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま持久戦を強いられてゆく――。田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何か分からないまま...。そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵・吉敷だった。2人は共に励ましあい、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。一人一人それぞれに生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する...

<以下、公式発表の内容を引用して掲載しています>

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』クリエイターズトークイベント公式レポート

12月5日(金)よりついに劇場公開されると、史実に基づき描かれる凄惨で生々しい戦場描写や、そこで紡ぎ出される戦火の友情物語に絶賛の声が相次ぎ、大きな反響に包まれている本作。

なかでも、戦争アニメとしてリアルを追求した<音楽、音響>への絶賛の声も数多く、「戦闘機や銃器、鳥の鳴き声や虫の音等の効果音がとてもリアル」、「銃声や蝿の音が映画を見終わったあとも耳から離れなかった」など、改めて本作の<音>へ注目が集まっている。そしてこの度、12月16日(火)に、本作を“音”の側面から語り尽くすクリエターズトークイベントが開催され、監督の久慈悟郎、音楽を担当した川井憲次、そして音響監督を務めた横田知加子(音響監督)といった制作陣が登壇。それぞれが一言挨拶した後、イベントがスタートした。

まず初めに、制作スタッフとして本作への参加が決まったことについて聞かれると、久慈は「戦争の経験がない世代としての葛藤はありつつ、やるからには徹底的に調べて、その当時の情景を映し出したくて。音響監督さんたちにもそのあたりは伝えてましたね」と、責任感と緊張感に包まれた当時の心境を振り返る。これまで数々の名作を手掛けてきた人気作曲家の川井も、「戦争映画ということで感動的な物語をイメージしていたのですが、感動を無理に誘わず、音楽は敢えてグッと抑えつつの方向性だと言われまして。お客さんが観て感じていただくことを意識して、いい意味で地味に作ってましたね」と語ると、横田も「私も戦争を経験はしていないので、どこから手をつければいいのか迷いもあったのですが、長く観られる作品だと思うので、気合を入れて作りました」と明かしていた。

業界屈指の音楽家、川井に対して、シンプルな音楽を依頼した意図を聞かれると、「脚本上、2年間という期間がすぐに過ぎてしまう部分があったり、武田先生の原作が元よりドラマチックでもあるので、音楽でドラマ性を含めて物語を盛り上げるというよりは、時間の経過を感じさせてもらえるような音楽を流したかったんです。加えて、制作の僕ら目線で田丸や吉敷を評価するような作品にはしたくなかったのもあります。そこに何があって、何を感じるのか。観ている人に委ねたかったですし、画と音楽で情景をお客さんに思い浮かべてもらいたかったのも理由の1つです」、と久慈が力強く解説すると、横田も「より具体を挙げると、戦闘シーンがかっこよく見えるのは良くないと思って。勇ましさや恐ろしさの音楽を入れると盛り上がりは生まれるのですが、今回はお客さんにそのシーンを感じ、考えて欲しかったんです。曲が入ると制作側の意図が見えかねないので、最初に西浜の戦闘シーンは敢えて音楽を無くしています」と明かした。

そんな本作での楽曲制作にあたり、楽器選びや今回ならではのこだわりについて聞かれ、川井は「1つ特徴的な音がほしいなと思って、そこから戦争作品として、鉄や金属の軋む音が想像できたんです。それを上手く表現できるのは何かと考えたら、ハピドラムという楽器でした。」と意外性あふれるこだわりを明かし、実際にレコーディングで使用されたハピドラムを用いて実演しながら詳しく説明。そうして川井が作り上げる楽曲を聞いてみた感想として、「初めは不思議な音だなと思ったのですが、映像につけてもらうと、その感じが上手くはまってました」(久慈)、「元々の音楽の数が少なかった分、本編との関連性をしっかり持たせたかったので、川井さんによる印象的な音楽で、物語に彩りを添えられたかなと思います。」(横田)と、それぞれが語っていた。

また音響として観客に聞かせる構成についてのこだわりとしては、横田は「最初の戦闘シーンに音楽を入れておらず効果音だけなのですが、高校時代に『プライベート・ライアン』(98)を観ていて、冒頭の戦闘シーンにすごく恐怖を感じたことから着想を得ています。」と不朽の名作からのヒントを得ていたことを明らかにし、久慈も「作品のテイストなども踏まえ、音響効果で見せるシーンも大切にしたかったですし、よかったですね」と太鼓判の様子を見せた。

トークはSNSから寄せられた声へ移り、「蝿が飛び交い、集ってくる音が怖かった、エグかった」という感想が多いことに対し、こちらは久慈が「蝿が集っているシーンは原作でもたくさん描写があったので絶対に使いたかったんです。横田さんたちも、そこからたくさんの印象的な音を付け加えてくださいました」と振り返る。

そして、「美しいペリリュー島をアニメーションで描くこと」については、「ロケハンで現地に行った時、どこに行っても海の音がしていたんですね。なので、虫や自然の音がいつも近くに聞こえるようということは音響チームに最初にお願いしたことでもあります。」(久慈)、「効果音担当の方もこだわってくださって。最初は鳥がいるシーンから始まるんですが、のちにその鳥が戻ってくるのを田丸が見かけるまで、しばらくは出て来ないんです。実はその間はずっと虫の音だけだったりするんで、そこも実は結構印象的ですね」(横田)とそれぞれが細部に渡るこだわりを明かしていた。

甚大なる被害を生んだ戦闘描写の恐怖や、常に戦争と隣り合わせの日常が描かれる狂気、そんな中でのデフォルメで描かれたキャラクターたちの描写など、多様な側面が描き出される本作。それらを音・音楽で表現する際の難しさややりがいについては、横田が「史実に沿ったお話なので、銃や戦車などはとにかくリアルに。音は遠慮せずということですね」とコメントすると、川井は「そうしてリアルを意識して作られた音響の中に、僕の音楽をどう劇中に落としていくのかということでした」と語り、改めて完成した作品を観て、「とにかく抑えて、控え気味な音楽を依頼されていたことが、ようやく答え合わせができたと思います。不自然で無理矢理なミスリードをしてしまう音楽でなくて本当に良かったですね」と清々しく振り返っていた。

そして久慈は、「この原作をいただいて映像化するにあたっては、可愛いキャラ以外は赤裸々にやること。これが本作の一番の特徴だと思ったので、よりリアルにお客様にお届けすることが大切だったので、それができてよかったです」と堂々とした眼差しで語っていた。

続いては会場に駆けつけた観客からの質問コーナーへ。SNSでも考察が飛び交う「モールス信号が出てきた場面」についてのこだわりを聞かれ、久慈が「今作では2回入れています。1回目は西浜戦の“ウメ ウメ ウメ”という “われ敵を撃退せり”という意味の電信で、日本軍が優勢であることを知らせています。2回目の田丸が米兵との戦い後に気を失った時は“サクラ サクラ サクラ”で、ペリリュー島の本部が玉砕した時に実際に使用された電信です。本当は字幕をつける案もあったのですが、逆にお客様に疑問を持っていただきたいなと思い、説明をなくしてこのようにしました」と実際に戦時中に日本軍で使用された暗号の意味と細部へのこだわりを明かした。

「上白石の歌う主題歌「奇跡のようなこと」が流れるエンディングが、川井の音楽のようにも聞こえて、劇中の最後の音楽ともうまく噛み合っていた」という声についても、久慈が「主題歌が上白石さんに決まってからも、楽曲の方向性などの共有は受けましたが、基本的にはお任せでしたね。でも実際に川井さんの最後の音楽から、板垣さん演じる田丸の最後のセリフ、そして上白石さんの主題歌がついた時には、これは手応えがありましたね」と自信を見せていた。そして改めて「本作で初めに作られた楽曲が何であったか」については、こちらは川井が、「一番最初に流れるペリリュー島の雰囲気を表現した曲です。最初の音楽を監督に受け入れていただかないと始まらないので、大事に作りました」と振り返った。

腕利きのクリエイターたちの熱が収まる気配がないトークイベントもいよいよ終盤となり、最後にそれぞれから挨拶が駆けつけたファンに対して、締めの挨拶がされた。「携わった皆様の気持ちがこもったものですし、ずっと後世に語り継がれていけば嬉しい作品です。そして音響もTVで見ているのと全然違うので、ぜひ劇場での鑑賞を進めていただきたいです」(横田)、「横田さんのおっしゃる通り、この先ずっと語り継がれていく作品だなと思います。決して派手さはないものの、その分、ズシンとのしかかってくるような重たさを感じさせる作品なので、時間をおいてからもまた何度でも見かえしていただくのも良いのかなと思います。」(川井)、「スタッフ一同、本当に真摯に取り組んできました。音や音響は間違いないものができましたし、もっとたくさんの人々にお届けしたいので、皆様引き続きよろしくお願いいたします。」(久慈)と語りかけた。3人の溢れんばかりのコメントに会場からも大きな拍手が送られ、大盛況の中でイベントは終了した。

イベント概要

【日時】12月16日(火)
【会場】T・ジョイ PRINCE 品川
【登壇者】久慈悟郎(監督)川井憲次(音楽)横田知加子(音響監督)

 

ロッテルダム国際映画祭 ライムライト部門への出品も決定!

来年1月より開催される第55回ロッテルダム国際映画祭のライムライト部門への出品が決定!

期間中に500近くの作品が上映される本映画祭、ライムライト部門とはその年の映画界で注目を集める作品で構成された部門。国内だけでなく海を越え、戦火を生きた若者たちの物語が届けられる。

会期:2025年1月29日~2月8日(現地時間)
映画祭公式HP

上映日時などの続報は映画公式HP・SNSにて発表予定。

映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』作品情報

絶賛上映中

配給:東映

ペリリュー -楽園のゲルニカ-

あらすじ

仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記す功績係――彼が本当に見たものとは?

太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸はいた。漫画家志望の田丸は、その才を買われ、特別な任務を命じられる。それは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という仕事だった。

9月15日、米軍におけるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は1万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状況の中で耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。日本軍は次第に追い詰められ、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま持久戦を強いられてゆく――。

田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何か分からないまま...。そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵・吉敷だった。2人は共に励ましあい、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。

一人一人それぞれに生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する者たちの元へ帰りたかった。最後まで生き残った日本兵はわずか34人。過酷で残酷な世界でなんとか懸命に生きようとした田丸と吉敷。若き兵士2人が狂気の戦場で見たものとは――。

キャスト

田丸均:板垣李光人
吉敷佳助:中村倫也

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー −楽園のゲルニカ−」製作委員
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