
TVアニメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』OPテーマ「ライアー」誕生秘話|Kucciが語る“降りてきた”瞬間と、自分を打ち破る歌
TVアニメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』のOPテーマ「ライアー」を歌うのは、2025年にデビューを果たしたシンガーソングライターのKucciさん。
エモーショナルな歌声と、前向きになれる歌詞、そしてポップネスなメロディが魅力のアーティストで、「ライアー」はノイジーなギターが炸裂しているロックだ。
今回は、アニメイトタイムズに初登場になるので、楽曲を作るようになったきっかけから、「ライアー」が生み出された経緯について、たっぷりと話してもらった。
ひとつの動画をきっかけに、曲作りから始まった活動
――Kucciさんが、シンガーソングライターを目指したきっかけを教えてください。
Kucciさん(以下、Kucci):16歳のときに、母が書いた曲を歌った動画を、母がFacebookにアップして、それが今の事務所のスタッフさんの目に止まり、声を掛けていただいたことがきっかけでした。
それと、その頃ちょうどコロナ禍で、高校に入ってすぐに学校が3ヶ月くらい休校になったんです。その間、中学の卒業祝いで母からもらったアコースティックギターをいじりまくっていたのも理由のひとつです。その後、軽音部に入りエレキギターも始めたんですけど、当時は好きだったあいみょんさんやAimerさんのカヴァーばかりしていました。
――コロナ禍が、ギター上達につながったんですね。
Kucci:毎日あれだけ練習できる期間って、本来はなかなかないと思うので、私にとっては大きな時間でした。
――特に挫折もせずに続けられたというのは、ギターへの適性があったということですね。
Kucci:幼少期にピアノをやっていて、楽譜を読めなくても感覚で弾いて楽しんでいたところがありましたし、それを見た母が、私の手先が器用だからできるのではないかと思ってギターをプレゼントしてくれたんです。
それこそ最初は初心者セットに付いているDVDを見ながらストロークの練習をしていたんですけど、知っている曲を弾けないとつまらないので、当時は、カヴァー曲ランクで常に1位だった「マリーゴールド」を弾いていました。
――難易度は高かったのですか?
Kucci:簡単ではなかったです。初心者がみんなつまずくFのコードを乗り越えなければいけなかったので。なので、最初は3つくらいのコードで弾ける「カントリー・ロード」を弾いたりもしていました。
――それ以外だと、どんなアーティストを聴いていたのですか?
Kucci:16歳の冬くらいまでは名古屋にいたんですけど、軽音部だったこともあり、周りの友達が音楽好きだったので、ライブハウスにはめちゃめちゃ行っていたんです。インディーズ系のライブに行っていて、それこそHump BackさんやTETORAさん、ハンブレッターズさんを観ていました。
――Hump Backは、今ではすごい人気バンドになっていますよね。
Kucci:今もライブには行っていまして、先日、『産休サンキューツアー2025』の横浜公演にも行って、「拝啓、少年よ」を歌う前のMCで号泣していました(笑)。めちゃめちゃエネルギーをもらっています。
――シンガーソングライターになるには、曲作りもしていきますよね?
Kucci:初めて曲を作り始めたのが17歳の頃で、最初は作詞から初めたのですが、ただの日記の延長みたいになってしまって、曲を作れない時期が1年くらいありました。
そこから、一週間でサビだけを3曲作るというのを何ヶ月かやったり、とにかく曲を提出していたんですけど、出すためには入れなければいけないから、当時は事務所の方に借りて、洋楽ロックをたくさん聴いていました。
それこそアヴリル・ラヴィーンやアラニス・モリセットなど、私が知らない上の世代のアーティストの方々のCDを聴いてインプットをしつつ、自分の好きな音楽も忘れないようにしていました。
義務感と楽しさを忘れないという2つの軸を持ちながらやっていたんですけど、当時は「出てこれなの?」みたいな苦しみが大きかったですね。
――事務所に入って、曲作りから始めていくというのも大変ですね。
Kucci:そうですね。今では曲作りが楽しくなりましたけど、17歳からなので、4〜5年は、そんなことをやっていました。
――自分には、こういう音楽が向いているんだなというのも、徐々にわかってくる感じだったのですか?
Kucci:声質は、この5年ですごく変わったと思っています。最初はささやくような、朝に聴くモーニングボイス的な爽やかな声がいいと思っていたんですけど、自分の声質を活かすには、どうすればいいのかはかなり研究したんです。それこそマイクやボイスメモで歌を録りながら。
――プロフィールには、エッジボイスと書かれていますが、エッジの利いた歌声ということでいいのでしょうか。
Kucci:これを言語化するとなるとちょっと難しいのですが、歌いだしに濁点がついているような感じで、感情がより伝わるような歌い方を私なりに追求しました。
――歌い出しの瞬発力や勢い、あと語尾のところもクセがある歌い方なので、とても印象的だと思いました。
Kucci:入りのところと終わりのところは、より印象的になればいいなと思ったので、それが自分の声が武器になればと思っています。

















































