音楽
『千歳くんはラムネ瓶のなか』OPテーマ「ライアー」で示した、Kucciという声の強さ【インタビュー】

TVアニメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』OPテーマ「ライアー」誕生秘話|Kucciが語る“降りてきた”瞬間と、自分を打ち破る歌

曲を作っていて初めて味わった降りてくるという感覚

――そこから2025年の3月に「ときめき」(映画「女神降臨』主題歌)でデビューをして、今回、新曲「ライアー」が、TVアニメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』のOPテーマになりました。話が来たときは、どう思いましたか?

Kucci:『ときめきEP』のレコーディング中に話を聞いたんですけど、めっちゃ嬉しくて! しかも決まった理由として、アニメの制作サイドが「Kucciさんでお願いしたい」と満場一致で言ってくださったと聞いて、これは頑張るしかない!と思いました。

 

――プレッシャーはありませんでしたか?

Kucci:もちろんありました。嬉しいのあと、できるかな?と思いましたし、作品ありきのテーマ曲ですから、作品のイメージを下げることは絶対にしたくなかったので。でも、だからといって自分の色がなくなってしまうと、私を選んでいただいた意味がなくなると思ったので、そのバランスは考えました。

ただ、決まったあとすぐにアニメの制作サイドの方々と直接話す機会をいただいたんです。そこで、このアニメはこういうメッセージを持っているんだよという原作の先生や監督の想いと、こういう曲を書いてほしいというキーワードを聞くことができたんです。そのお話を伺ってから、じゃあ私はこういう風に表現したい!というのが出てきたので、あまり迷わずに曲を書くことができたんです。

――行くべき方向性が定まったんですね。

Kucci:しかも打ち合わせをした2〜3時間後、おうちに帰ってすぐにサビが出てきたんですよ! それこそ〈打ち破れ ライアー 傷つくのが怖いか?〉のところなんですけど、私も、初めて降りてくるみたいな感覚を味わって、「来た!」と思いました(笑)。

そこでは具体的に、アニメ第1話の、主人公の千歳朔が、健太くんの部屋の窓ガラスを割るシーンが浮かんでいたんですよね。ここでこの曲が流れてほしいと思いながらギターを掻き鳴らしたら、メロディと歌詞が同時に浮かんできたんです。

そこから1週間は、自分の中でも覚醒していて、5曲くらい一気にできて、全部自信を持って出せるような曲になったんですけど、やっぱり最初に降りてきて「ライアー」を選んでもらったので、良かったなと思いました。

――降りてくる曲って強いんですね。

Kucci:イメージとマッチしているから降りてくるということなんですかね。それもあって私も「ライアー」推しだったので、選んでくれて良かったです。本当にあの感覚の曲は、これまでもなかったので。

――サビから作っていったのですね。

Kucci:サビの歌詞とメロディが先にあったので、AメロとBメロの歌詞はすごく考えました。サビがストレートだからこそ、前向きで明るいイメージではない部分を、ここで表現したかったので、こだわりました。特に2番のAメロ〈ところで、僕はどうしたい?〉からの歌詞は考えましたね。まだ踏み出せない葛藤とジレンマがあるからこそ、リアルだと思うので。

――アニメでは最初に健太の問題が出てきますけど、健太として歌詞を見ても、当てはまるのかなと思いました。

Kucci:サビは、朔のシーンをイメージして出てきましたけど、誰にというより、登場人物の誰にでも当てはまるような歌詞になっていると思います。

――それは、Kucciさん自身にも当てはまりますか?

Kucci:もちろんです! 1番のAメロの〈時折、僕は空っぽで 放つ言葉とはいい距離感 君との⽇々には嘘は無いけど〉のところはまさに自分自身でもあるんです。時々、本当に無意識に言った言葉に対して、あのときは流れでああ言っちゃったけど、考えてみると本心じゃなかったな、みたいなことがあるんです。でも、そのときは相手に嘘をつきたいとも思っていないんですよね。だから、二人の距離には嘘がないんです。

――“ライアー”は嘘つきという意味ですけど、別に人を騙すということではなくて、仕方なく付く嘘とか、周りに合わせて付いちゃう嘘とか、見せたくなくて仮面を被ってしまうみたいなことですよね。そして、それを打ち破っていけというメッセージがあるという。

Kucci:打ち破るというのもいろいろな意味があると思っていて、言えなかったことを相手に言うということでもあるし、自分の好きなことをするということでもいいんです。それぞれが勝手に引いてしまっている一線ってあると思うので、その破る原動力は自分にあるんだよというメッセージがあります。

――たとえば、周りに合わせて「俺、アニメ嫌いなんだよね」と言っちゃっても、本当は好きなんだ!と、あとで叫んでいい、みたいな感じですかね?

Kucci:そうですそうです。たとえそれで友達が離れていってしまっても、胸を張っていこうぜ!という感じです。

――アレンジに関しては、いかがですか? 

Kucci:アレンジャーの川口圭太さんが上げてくださったアレンジが、すごく素敵で、私の伝えたいことを理解してくださってるなと思いました。あと、楽器のレコーディングのときに、ミュージシャンの方が「楽譜にしたとき、どこがサビだかわからない、めっちゃ変で、めっちゃ面白い曲だったよ」と言ってくださって、それがすごく嬉しかったです。数ある曲を聴いたり弾いたりしてきた方々に、変と言われるのは嬉しいですよね。私にとっては褒め言葉でした(笑)。

――ボーカルに力強さがあると思いましたが、どうこだわって録っていきましたか?

Kucci:力強さはすごくこだわりました。頭サビから入るので、聴いた瞬間、「これ、誰の声?」となってほしかったんです。あとは自分の中でもエネルギーを高めておかないと歌えない曲だったので、レコーディング前は、体力を貯めて、曲に負けないような土台を作ってから臨みました。今まで出してきた曲は声も明るめで、デビュー曲の「ときめき」だと、かわいらしい声のイメージがあったと思うんですけど、この曲はカッコいいにフォーカスしたくて、その声づくりはすごくこだわりました。

――バンドの音も爆音なので、それに負けないようなパワーが必要ですよね。

Kucci:いかにバックの演奏に負けないで歌うかなので、そのあたりはかなり自分を打ち破りましたね(笑)。

――アニメのオープニング映像はいかがでしたか?

Kucci:泣きそうになりました。完成前の動画から見せていただいていたんですけど、それを見ただけで泣きそうでした。歌詞の意味も読み取ってくれているし、音ハメもめっちゃ気持ちがいいし、アニメーターさんの愛情もすごく感じました。

――アニメの物語自体はどうですか?

Kucci:原作も読ませていただいたんですけど、声優さんの声が入ると、よりすんなり入ってくるなと思いました。すごく文学的な感じも好きで、職業的に歌詞を書くので、それに近いものを感じたんです。そこまで説明しなくてもいいのかもしれないけど、それをあえて言ってくれるのが、私はいいなと思います。

 

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