
TVアニメ『勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。』OPテーマ「Lavish!!」吉乃さんインタビュー|“正しい世界”的な展開に捉われない生き方
2025年は『気絶勇者と暗殺姫』『私を喰べたい、ひとでなし』といったアニメ作品の主題歌を担当し、1stアルバム『笑止千万』のリリースや1stライブ“逆転劇”の開催を含め、精力的な活動で存在感をアピールした歌い手・吉乃。そんな彼女が2026年最初に放った新曲が、TVアニメ『勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。』のオープニングテーマ「Lavish!!」だ。異世界転生した元人間の魔族・ヨウキが、勇者パーティーの僧侶・セシリアに一目惚れしてしまうことから始まる“異世界転生×ラブコメ”作品を賑やかに彩る、最高にカラフルでアッパーな本楽曲は、どのようにして生まれたのか。アーティスト・吉乃の現在地と未来のビジョンを含め、たっぷりと語ってもらった。
初手で告白!? “真逆”から始まるラブコメに新鮮さ
──まずは新曲「Lavish!!」のお話から。TVアニメ『勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。』のオープニングテーマですが、作品の第一印象はいかがでしたか?
吉乃さん(以下、吉乃):新鮮でしたね。私は少女漫画を読むことが多かったんですけど、少女漫画やラブコメって大体は告白するまでの過程が描かれることがほとんどじゃないですか。告白するのかしないのか、付き合い始めたとして最後はどうなるのか、その後の結末を追っていくことが多いと思うんですが、この作品はそれとは真逆で、主人公のヨウキがセシリアを一目見て「タイプすぎる」って初手から告白するっていう(笑)。その展開が結構珍しいし新しいなと思いました。
──確かに。ヨウキは自分の気持ちに素直な性格をしてますよね。
吉乃:作品の物語の序盤に、ムカつく奴に対して「なんか腹が立つから攻撃した」みたいな感じで、いきなり攻撃魔法をバーン!って放つシーンがあって。そういう自分の気持ちに忠実なところがいいなと思いました。私も結構似ている部分があって、やりたいことがあれば我慢せずにやるので、もし私が攻撃魔法が使えたなら、感情に素直にとドーン!ってやっちゃうかもしれないです(笑)。
──アハハ(笑)。ヨウキは魔王城の中ボスなのに、セシリアに告白するために魔王を守る責務を放棄して勇者パーティーを先に通してしまうっていう。
吉乃:しかも実はすごく強いのが、見ていて気持ちいいですよね。魔王よりも強いにもかかわらず、そこまで偉いわけでもなく、でも手下すぎない、中間管理職みたいなポジションにいるのも面白くて。「あ、そっちの世界にも人間社会みたいな概念があるんだ」みたいな。魔族時代に部下だったキャラクターも出てくるので、今後の展開が楽しみです。
──ヨウキがセシリアに告白するところから物語は始まるわけですが、2人は付き合い始めるわけではないので、ここからどんな関係性になっていくのかも楽しめる作品ですよね。
吉乃:そうですね。でも、少女漫画に限らずドラマとかの恋愛もの作品では、セシリアみたいなタイプのいい子は「それはどうなの?」って感じの男に振り回されがちなのが王道の展開だと思うので、ちょっと大丈夫かな?と思っています。セシリアには頑張ってほしいですね。
──セシリア側を応援するんですね。一目惚れして告白したけど一度振られたヨウキを応援するのではなく?
吉乃:ヨウキはこの先もきっと自分の気持ちに素直に、忠実に、そのままで行ってくれると思うので心配していないです(笑)。セシリアの声優は花澤香菜さんが担当されているんですが、私が思い描いていたセシリアのイメージにもバッチリ合っていたのでキャストさんが発表された時に「ありがとうございます!」ってなりました。花澤さんの声ってふわふわしていてかわいらしいので。でも、第1話では、そんな花澤さんが甲高い声で「はぁー!?」って言っているセリフが聞けて嬉しかったです(笑)。
──ちなみにヨウキは異世界転生した元人間で、本作はいわゆる“異世界転生もの”でもあります。吉乃さんは以前にも『ひとりぼっちの異世界攻略』のオープニングテーマ「ODD NUMBER」を担当していましたが、もし仮に自分が異世界に転生するとしたら、どんな世界でどんな能力を手に入れたいですか?
吉乃:私、元々漫画が好きで、その中でも『学園アリス』と『僕のヒーローアカデミア』がすごく好きなんですよね。『学園アリス』は少女漫画のなかでは少し珍しい異能系の作品で、自分の中では“少女漫画版ヒロアカ”みたいな感じで捉えていて。なので、特別な力が蔓延している世界に転生できたらおもしろそうだなって思いますね。
──自分も特別な力が欲しい?
吉乃:欲しいです。個人的に世界の終わりというか、世界から全人類が消えたなかで、自分だけが歌っている姿を想像したりするんですよ。だから歌で何かを操る系の特殊能力があるとかっこいいなと思います。『学園アリス』にも声で人を操る能力のキャラクター(毛利玲生)がいるので。
──であれば、歌で世界を救う勇者とかでもいいんじゃないですか?
吉乃:いやー、勇者はちょっと私には荷が重いんですよ。そういうのは主役に頑張ってもらって、私はそのバフをかける存在程度でいいかなって(笑)。
──その意味では、勇者パーティーではサポート役を務める僧侶のセシリアのポジションに近いのかもしれませんね。あと中二病という部分はヨウキっぽくもあります。
ビジュアルとタイトルから“ポップ”を確信
──今回の楽曲「Lavish!!」についてですが、作品の内容を踏まえたうえで、どんな曲にしたいと考えたのでしょうか。
吉乃:私はいつもタイアップのお話をいただいた時、最初に作品のビジュアルを見るんことが多いんです。どんなタッチの絵なのか、どんなカラーリングでキャラクターデザインをしてるのか。そういう部分を見たしたうえで曲のイメージを膨らませていくんです。この作品の場合は、ビジュアルやタイトルの印象から、どちらかというとポップな楽曲にしたい、と最初に思いました。
──確かに、絵柄も色彩感も明るくて華やかな感じですものね。聴いただけで作品のイメージが浮かんだと。
吉乃:そうなんです。私は漫画やアニメのいちファンとして、「このアニメと言えばこういう曲だよね」みたいにパッと想像できる曲がいいと思うんですよね。その意味で、この作品は明るくてポップな楽曲が絶対に合うと思って、以前から楽曲をお願いしてみたいと思っていたyowanecityさんにオファーをして、楽曲を作ってもらいました。
──yowanecityさんは主にボカロPとして活動している方ですが、どんなきっかけで知ったのですか?
吉乃:元々ボーカロイドの曲も聴かせていただいてたんですけど、シンガーの友達でEyeちゃんという子がいて、彼女の「ドメスティック・ドラスティック」や「マジェスティック・サディスティック」っていう、語尾が“スティック”の単語を繋げた“スティック・スティックシリーズ”をyowanecityさんが作っているのを聴いて、いいなあと思って。yowanecityさんの作る曲はどれもすごく都会的で、色彩豊かでもあるし、ダンサブルな部分もノリやすいところがあるんですよね。なおかつメロディーラインがそこまで奇抜ではなくて、いわゆるJ-POPっぽさがあるというか、わかりやすくてキャッチーなところが好きなんです。
──yowanecityさんにはどのようにお願いしたのでしょうか?
吉乃:yowanecityさんに限らず、私は楽曲を作ってもらう時、その方らしいものを自由に制作してくださった方が良いものになると思うので、自分から具体的に「こうしてほしい」とお願いすることは無くて。今回も『勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。』のオープニングテーマになることと、個人的にyowanecityさんの「DUCTFOOD」というボカロ曲の冒頭に入っている機械音声っぽい声がいいなと思ったので、「こういうのを入れてもらえると嬉しいです」というのをリファレンス的に提出して、あとはお任せで作ってもらいました。オープニングで曲が流れた時に、テレビ越しにそういう機械っぽい声が聴こえてきたらきっとワクワクするだろうなと思って……完全に私の好みなんですけど(笑)。
──でも、確かに「Lavish!!」の冒頭に入っている声ネタは良いフックになっていると思います。オープニングアニメでも、その声に合わせてセシリアが詠唱するような演出になっていますし。
吉乃:ありがとうございます! yowanecityさんはサウンドがすごくいいんですよね。使っている音は軽い感じででも、全体的には薄くなくて、ピアノやいろんな音が詰まっているっていう。リズムは本当に難しいんですけど。
──では、出来上がった楽曲を最初に受け取った時の印象はどうでしたか?
吉乃:めっちゃいい!って思いました。あとはシンプルに「いつ息継ぎをすればいいんだろう?」っていう(笑)。正直歌うのがすごく楽しそうな曲だなって思いました。冒頭の“この退廃ファンタジーの傍らで ほら何番煎じの朝が来た?”というフレーズからリズム感がすごく良くてキャッチーで。やっぱり今の時代、曲の始まりの部分でリスナーの心を掴むのが大切だと思うんです。音楽はサブスクでシャッフル再生して楽しむ時代なので、最初の数秒を聴いてスキップされないようにしないといけない。アニメもサブスクだとオープニングをスキップする選択肢が出てくるので、いつも「そんな酷な!」と思いながら観ています(笑)。
──息継ぎが大変そうという話でしたが、実際にジェットコースターのように高速で展開していく曲なので、レコーディングも苦労されたのではないでしょうか。
吉乃:難しかったですね。特にハモは過去最高に苦戦したんですけど、メイン(主線)の歌唱については、楽曲がリズミカルな分、私が声で小細工を入れる必要はないかなと思って、結構素直に、自分の声質を活かす方向でレコーディングさせていただきました。ただリズム感はすごく気をつけました。テンポが速い中で、歌詞の言葉それぞれをしっかりと発音しながら、自分の納得のいくニュアンスにしていくっていう。特にサビは音が高いんですけど、自分の声質を活かしながら、でも雑に歌うのではなく、ニュアンスは変えたくて。曲が速いと考える暇がないんですよね。逆にバラードは余白がある分、考える余地がいっぱいあるから、レコーディングはすごく時間がかかるんです。
──歌い方のアプローチは自分で組み立てていくんですか?
吉乃:はい。人によっては1番のAメロを録り終わったら、次は2番のAメロっていう風に同じブロックごとにまとめて録る方もいますが、私は音楽をストーリー的に辿っていくのが好きなので、曲の頭から順を追ってレコーディングするようにしています。歌いながら「1番はこうだったから2番ではこうしよう」って考えていくんですけど、その分ラスサビは歌うのがキツくなることが多いです(笑)。ラスサビは音が上がるか勢いが増すことが大半なので。
──これまでの吉乃さんの楽曲を踏まえたアプローチや、逆に新しく挑戦できたポイントはありますか?
吉乃:私の楽曲の中では全体的に音が明るめな方なので、最初はどう歌うか少し迷ったんです。「天伝バラバラ」(TVアニメ『気絶勇者と暗殺姫』オープニングテーマ)ほどかわいい感じも違うし、私の歌声はどちらかいうとロウ(低音)の部分の方が映えるので。私は得意にしろ不得意にしろ、楽曲に合わせて声を作ることが多いんですよね。自分の大元の声があって、そこから上に合わせるなり下に合わせるなりして、役柄をガッツリ作ることが多いんです。でも、この曲は結果として素直に歌うことができたので、自分の声質がスパンと出た曲だと思います。





































