
『超かぐや姫!』山下清悟監督インタビュー|「オリジナルアニメは欠点があってはならない」超ボカロ曲、超アクション、超キャラがかわいい!が盛りだくさんな作品はどのように生まれた?
『泣きたい私は猫をかぶる』『雨を告げる漂流団地』など、意欲的なオリジナルアニメ映画作品を展開してきたスタジオコロリドと山下監督率いるスタジオクロマトの最新作が、ついに2026年1月22日Netflixにて配信がスタートします。その名は『超かぐや姫』!
TVアニメ『チェンソーマン』のOPやTVアニメ『呪術廻戦』第1期1クールOP、さらに『ポケットモンスター ソード・シールド「薄明の翼」』などを担当した山下清悟監督による完全オリジナル作品です。山下監督といえば、そのアクションシーン。上記の作品をご覧になった方はおわかりかと思いますが、あのレベルのアクションが映画で楽しめるんです……!
さらに本作はすでに、公式のYouTube等にアップされた歌ってみた動画でも話題を集めています。HoneyWorksの「竹取オーバーナイトセンセーション」、40mPの「トリノコシティ」、Aqu3raの「ロンリーユニバース」、kzの「Tell Your World」、yuigot「夢をみる島」……。ラインナップがわかりすぎている……!
しかもキャラクターがかわいすぎる……。どこまで我々を狙ってきているんだ!
そんな『超かぐや姫!』ですが、一体どんな経緯で生まれたのでしょうか。山下監督に根掘り葉掘りいろいろとお聞きしてみました!
SFとかぐや姫が交わる不思議な化学反応
──今回、長編映画初監督でしたが、お話が来たときのお気持ち、映像が完成した今のお気持ち、その両方をお聞かせいただけますか。
山下清悟監督(以下、山下):最初のきっかけとしては、うち(スタジオクロマト)のグループ会社のツインエンジンの山本幸治社長が関わっています。もともと『ポケモン』の「薄明の翼」シリーズで制作体制が良かったこともあって、僕がやりたいストーリー作りやキャラクター作りについて話していたところ、「オリジナルをやってみますか」というオファーをいただいたのがはじまりです。
自分は短編をずっと制作してきた身だったので、「うおお、なんてチャレンジャーな!」と思いましたが、話が来たときは本当にうれしかったですね。これまでやりたかったことをついに実現できるかもしれないという思いが込み上げてきて、胸が高まると同時に「やります!」と即答でした。
その後の企画の段階では、いろいろアイデアを出しましたが、なかなか通らず、約1年は試行錯誤を繰り返していました。そこで企画を大胆に変え、「はっちゃけた売りやすい形でやろう」と方向転換し、弊社のフジヤマから提案された企画書のプロットが見事に通りました。それが今回の『超かぐや姫!』のはじまりですね。
企画を見たとき、彼女独特のワードセンスも入りつつ、僕が今まで「こういう話にしたい」と話していた内容を100%以上に汲み取ってくれていて、びっくりしました。それを売りやすい形の企画としてパッケージ化してくれていて。あとはこのアイデアをどうお客さんに届けるか、それを考えながら制作を進めたのが今回の流れです。
制作途中ではいろいろな課題がありましたが、完成に向けて突き進む毎日でした。出来上がった映像を見たときには、「どんな反応があるだろう」とワクワクしました。これから世間が作品をどう評価するか、自分の感覚と世間の反応がどれくらい一致しているかの答え合わせをするような気持ちです。この取材を受けているタイミングでは、映画の公開や本予告の解禁がまだ先なので、それを待つ時間も楽しみです。
──公開後の反響も楽しみですね。
山下:はい、すでに公開されている情報にも反響があって、本当にうれしいです。ツインエンジンの広報宣伝の方々が頑張ってくださっているので感謝しかありません。一緒に球を投げ続けて、公開までの道のりを進んでいる感覚がありますね。
──また、本作は『竹取物語』という古典とデジタル仮想空間を紐づけた点が特徴的だと思います。この発想はどこから生まれたのでしょうか?
山下:それは正直言って、フジヤマに聞く必要があります(笑)。ただ、前段階からキャラクターものをやりたいという方向性は話し合っていました。
自分は、ストーリーの構造がものすごく複雑だったり、SFとして緻密な設定が必要なものにはそれほど興味がないんです。むしろキャラクターの感情の成長や、関係性の描写をメインに置いた作品を作りたかった。そして、それと同時に、僕はアクションが得意なので、戦闘シーンやアニメ映えする動きを絶対に入れたいという構想がありました。
例えば、少年漫画的なもの、いわゆる『鬼滅の刃』のような大河作品は、その両方の要素を含めることができる非常に良いジャンルですよね。ただ、それを映画尺でやろうとすると、120分の制限ではまず不可能なんです。シリーズものならまだ可能性がありますが、映画の枠内で収めるとなると難しい。それで、別の選択肢を模索することになったんです。
そこで出てきたのが「ゲーム」です。約20年前、例えば『サマーウォーズ』が公開された当時は、ネット上でゲームが行われるという設定を映画にする際に、十分な説明が必要でした。しかし今は「仮想空間にゲームがあり、そこで対戦する」という設定を自然に観客が受け入れられる時代になっていますよね。そんな背景を活用し、ゲームを題材にしてみようと考えました。
また、「配信者」はキャラクター性を強調する題材としても魅力的だったので、ゲーム、メタバース、配信者を組み合わせたいという話を進めました。その中で「かぐや姫」の設定と結びつけたのは、弊社のフジヤマのアイデアだったと思います。これは素晴らしい発明だと感じています。
──かぐや姫と組み合わせる発想は驚きですね。
山下:そうなんです。思い返せば、高畑勲さんの『かぐや姫の物語』もそうですし、童話としての『竹取物語』もありますが、みんな知っている話なので説明が不要です。そのおかげで作品の尺を短くすることができるという利点が非常に強いですね。また、ストーリーの先にある「別れの予感」などの雰囲気を観客が初めから感じやすいので、メタ的な視点でも作りやすかったです。合理的かつ計算された企画だと改めて感じます。
さらに、近未来の設定で、例えばコンタクトレンズ型のVR機器のような現実的にはまだ不可能な技術をファンタジーとして描きつつ、宇宙からかぐや姫がやってきて、電柱から子供が生まれるという奇想天外な発想を重ね合わせました。この禁じ手とも言えそうな設定が、うまく結びついたのが本当に驚きで、奇跡的なバランスだったと思います。
通常はこうした複雑な要素を混ぜると作品が混沌としてしまいますが、本作ではうまくまとまりました。電子的なものやアニメ的なメタな視点、VRや初音ミク的な非生物的な意識といった要素が融合して完成した作品です。制作前は「うまくいかないかもしれない」と正直思っていた時期もありましたが、なんとか形にすることができました。振り返ると綱渡りのようなプロセスでしたね。

























































