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- まりも
- ゾロとONE PIECEを偏愛するフリーライター。アニメ、推し活、恋愛、結婚、睡眠など、幅広く執筆しています。

『ONE PIECE』の世界において、最高権威とされていた五老星。しかし、じつはそのさらに上にはイム様と呼ばれる裏の王がいると明らかになり、歴史の隠蔽や理不尽な差別、攻撃といった世界の闇の根源はその裏の王によって操作されていることが判明しました。
イム様の命令に従ってあらゆる場面で冷酷非道なふるまいをしてきた五老星ですが、じつは、彼らは根っからの悪人ではなく、むしろ元々は国や世界を思う善人たちだったのではないかという見解もあるのです。
五老星はイム様の支配によって操られているだけで、本当は人の心を持つ為政者なのか……その裏付けとなるポイント4つをご紹介します。
五老星や神の騎士団といった世界政府の上層部は、イム様と“契約”を交わすことで特別な力を得ています。
契約には「浅海契約」「深海契約」「深々海契約」と3段階あり、深い契約を結ぶほど付与される能力も増えていくようです。
そして重要なのが、力を得る反面、契約後はイム様の命令に逆らえなくなるという点です。
「浅海契約」であれば、支配といえどまだイム様の能力圏内から離れてしまえば世界政府の内部事情を口外してもセーフという程度。しかし、「深海契約」に進むと、今度はどこにいてもイム様の命令から逃れることはできません。突如として思考・発言までイム様に乗っ取られたかのような状態になり、もはや別人格と化してしまいます。そしてそれは「黒点支配(ドミ・リバーシ)」のように、操られている本人にはコントロール不可能なのです。
最終段階である「深々海契約」の内容はまだくわしく明かされていないものの、上記をふまえると「深海契約」よりもさらにイム様からの干渉や影響が大きくなると考えるのが自然でしょう。
そのため「深々海契約」ともなると、その意志・発言・思考・判断・行動はどこまでが本人たちのものかわからないというわけです。
このあと紹介するポイントも考慮すると、五老星にも自我が残っていそうではあるのですが、とはいえ基本的な言動や意思決定においてはほぼイム様の傀儡と化している可能性が極めて高いはず。五老星もハラルドのようにイム様を信じて契約を結んでしまった犠牲者なのかもしれません。
もうひとつ、五老星はもともと善人だったのではないか?と思わせる大きなポイントは、彼らがときおり見せる“情”にあります。
たとえば…
●古代兵器の使用にあまり前向きではない
CP9のスパンダムが「「古代兵器」は我々が所持し この大海賊時代を打ち払うのです!!!!」と訴えたとき、五老星は積極的に同意していませんでした。サターン聖は「一理なくもないが…」と話を濁し、ナス寿郎は「ならばその設計図とやらをまず 手に入れてみせろ 話はその先だ」と合意はせず話を先延ばしに。古代兵器使用でなにが起きるのか、どれだけの数の被害が出るかを冷静に考え、躊躇しているようにも見えます。
●マザーフレイム使用をためらう
ルルシア王国を標的にマザーフレイムの試し撃ちを決めたイム様に対し、五老星は反論するようなそぶりを見せています。ウォーキュリー聖は「ずいぶん人がいます」、ピーター聖は「ルルシアを選んだ理由は?」と聞き、まるで「理由もなく罪のない大勢の命を奪うことには反対」と訴えているかのようにも感じられます。古代兵器使用を躊躇したことにも通じるところがありますね。無論、イム様の命令に逆らうことは不可能なので、最終的にルルシアは消されてしまいましたが……。
●エメト研究の許可
約200年前、廃棄を命じられていたエメトの研究を、サターン聖は「万が一バレたら私が庇う」と言い切り許可します。「アレは“未来”だ……!!」「いずれ軍の役にも立つだろう……!!」とも口にしており、私利私欲だけでなく、いち科学者として世界の未来や海軍のことも考えているような一面がうかがえます。
●くまに手を下さなかった
ゴッドバレーでは、幼いくまの「ぼくは“ニカ”のように…こんなかわいそうな人達を一人でも多く救いたい!!!」という思いを遮ることなく聞き、やろうと思えばできたはずなのに、手を下すことはありませんでした。「…だから消えるんだお前達は」という言葉は、それがイム様の逆鱗に触れてしまうぞと警鐘を鳴らすかのようにも聞こえます。そしてその後も、くまの言葉を反芻しながらひとりでなにかを考え込む描写が。
●くまの願いを聞き入れる
エッグヘッド編では、くまの生い立ちをめぐり世界政府の非道ぶりが目立ちました。しかし、サターン聖は、ボニーを政府の施設ではなくソルベ王国で療養させてほしいという願いを聞き入れています。優しさとは言えないまでも、娘に幸せに過ごしてほしいというくまの切実な想いを目の当たりにし、サターン聖の情が動いたからではないでしょうか。
●ハラルドへのねぎらい
ハラルドが深海契約を認められた際、五老星は口々に「おめでとう」「長かったな…!!」「お前はエルバフの歴史を大きく変える王になる」と、その努力をねぎらう言葉をかけています。神の騎士団だったガーリング聖が五老星になったときの反応とは大きく異なり、もともと人間であるハラルドを認めあたたかく歓迎する様子は、ハラルドなら世界を変えてくれると期待しているようでもあります。同胞として対等に接し、いまから奴隷に落としてやるぞ!と思っているようにはとても見えないのです。
もちろん、五老星のこれまでの残忍な言動の数々を思えば手放しで善人とは言えませんが、このように人間らしさが滲む場面が複数個存在します。そういった善性こそが五老星本来の姿で、悪辣なのはほぼイム様に思考を支配されているとき……という可能性もあるかもしれません。
ちなみに、ご覧のとおりこういった人間らしい感情の残る言動はサターン聖にもっとも多くみられます。彼が真っ先に粛清されてしまった理由のひとつかもしれないですね。
また、五老星はイム様に対して、ときどき反抗的に見えなくもないんです。これもまた、五老星の根が悪人ではないことを示唆していると考えられています。
先述したマザーフレイムを巡る議論でもそうで、ウォーキュリー聖がやんわり反対の意を述べ遮られると、マーズ聖は「わかりました 世界は創造主の思い通りゆえ…」。結局なにを言っても従うしかないですよね、とでも言いたげな雰囲気を感じられる気もします。
その後はイム様の「近いからルルシアを消す」というメチャクチャな指示にそれぞれが「確かに」「ルルシア国民に反乱の兆候がある」「いい“見せしめ”になるかもな」と同調し、それらしい消す理由を探しているかのようです。
また、サターン聖はゴッドバレーでイム様からロックスが死んだかどうか尋ねられると「さぁ…全てが想定外につき…」と、およそ上司に仕事の状況を報告するとは思えないあいまいな口ぶりで答えているのも印象的です。
さらに「むしろ 激しすぎる“破壊”は…また新しい何かを生み出しそうな危うささえ感じます」と続け、まるでイム様のやりたい放題を咎めているかのよう。このとき、サターン聖はちょうど「こんなかわいそうな人たちを一人でも多く救いたい!!!」というくまの言葉を思い出している最中でした。だからこそ、より思うところがあったのではないでしょうか。
そして、直近の第1171話では、ハラルドの死をめぐり暴論を吐くイム様を見上げる五老星が怒っているように見えるという声も多くありました。
たしかに5人の顔には影が落ち、上目遣いで険しい表情。五老星は神の騎士団になったハラルドを祝福したばかりだったので、イム様の言葉に怒りを感じてもおかしくないかもしれません。
五老星は基本的に神妙な面持ちをしているため実際のところはなんとも言えません。しかし彼らは道理の通らない無茶な命令を長いこと受け続けている(サターン聖は少なくとも200年)わけなので、残る良心で必死に抵抗しているとしても不思議ではないでしょう。
公式発表されているわけではありませんが、五老星のキャラクターデザインはそれぞれ世界の偉人をモチーフにしていると予想されています。
ピーター聖はリンカーン、ナス寿郎聖はガンジー、ウォーキュリー聖はゴルバチョフ、マーズ聖は板垣退助、サターン聖はマルクス。
とくに奴隷解放宣言をしたリンカーン、非暴力・不服従を掲げたガンジー、自由民権運動を押し進めた板垣退助などは、世界政府の方針とは真逆の思想で世界を変えたといえます。
そんな偉人たちがモチーフになっていると考えられるゆえに、現在はイム様の支配によって冷酷な為政者の化しているだけで、元来はハラルドのように人生を懸けて国や世界を良くしようと尽力していた5人だったのではないかと考えられているのです。だとすれば、同じ気持ちで神の騎士団になるまで努力したハラルドを「お前はエルバフの歴史を大きく変える王になる」とあたたかく迎えたのも頷けますね。
イム様と神の騎士団や海軍上層部との板挟みで、一部読者の間からは「悲しき中間管理職」なんて声もある五老星。彼らもうまいこと騙されて、為す術もなくイム様の支配に染まってしまったのでしょうか。だからといってこれまでの所業が許されるわけではありませんが、もしそうなのであれば、五老星の見え方も少し違ってきますね。
[文/まりも]
