
「自分の頭の中にいた人たちにようやく会えた、という感覚に近いかもしれない」── TVアニメ『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』原作者・今村翔吾先生×鳥越新之助役・梅田修一朗さんインタビュー
2026年1月11日(日)より放送中のTVアニメ『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』。火消組の頭取となった松永源吾が、個性豊かな仲間たちとともに、江戸の町で続く不審火の真相を追っていく本作は、迫力ある火事場の描写だけでなく、人と人とのつながりや信念を丁寧に描く時代劇として注目を集めている。
アニメイトタイムズでは原作者・今村翔吾と、鳥越新之助を演じる梅田修一朗による対談を実施。前半では、映像で語られた内容を記事向けに再構成し、アニメ化を迎えた率直な印象や、キャラクターに声が宿ったことで生まれた手応えを振り返ってもらった。後半では、物語や表現の核心へとさらに踏み込みながら、本作の魅力に迫る。
「僕の頭の中にあった新之助の声そのまま」
──まずは今村先生から、今回『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』がアニメ化されると聞いたときの率直なお気持ちをお聞かせください。
今村翔吾先生(以下、今村):まずは「珍しいな」というのが正直な感想でした。時代劇のアニメって、ファンタジー寄りのものはあっても、ここまでリアル路線の作品ってあまりないと思うので。ただ、やっぱり嬉しかったですね。正直、アニメ化するとは思ってなかったので。しかもデビュー作ですし、自分が作家として初めて世に出した物語がアニメになるというのは、いよいよ感慨深いものがありました。
©今村翔吾/祥伝社/ぼろ鳶組一同
──続いて、梅田さんが最初に原作やシナリオをご覧になった時の感想や印象をお伺いできればと思います。
鳥越新之助役・梅田修一朗さん(以下、梅田):僕自身、過去に日本の時代劇にそこまで触れてきたわけではなかったんですが、そんな自分でも当時の空気感を自然と想像できる作品だなと感じました。原作者の今村先生を隣にしてお話しするのは少し恐れ多い気持ちもあるんですけど、それでも「骨太な作品だな」という印象は強くて。
初めて日本の歴史に触れる人でも「こういうことがあったんだ」と知るきっかけになるし、同時にエンタメとしての軽快さもあって、すごく読みやすい。読後感のある作品だなという印象でした。
──物語が進むにつれて、印象に変化はありましたか。
梅田:最初はお頭の源吾さんの視点で物語が進んでいくんですけど、新之助を演じる身としては、新之助の心情に思いを馳せながら読んでいきました。1人1人にしっかりバックボーンが描かれているので、感情移入しやすいなと。
今村:全体を通して考えると、一番変化が大きいのは新之助な気がしません?
梅田:そうですね。
今村:そう考えると、一番難しい役だったんじゃないかなとも思います。
梅田:いちファンとして読んでいても、新之助は自然と好きになるキャラクターだなと思っていました。
今村:事実として、サイン会に来てくださる方の反応を見ると、新之助が一番人気なんですよ。シリーズを通しても、新之助は常に上位で、深雪と1位2位を争っているイメージがありますね。
梅田:深雪さまと新之助が争っているんですか!?(笑)
今村:そうそう。特に女性ファンに人気の高い印象ですね。
──今村先生が新之助というキャラクターを描くうえで、特に意識されていたことはありますか。
今村:新之助は、火消しの中でも一番“素人”の立場から始まる存在なんですよね。物語自体は、登場人物全員の成長を描いているつもりではあるんですけど、その中でもいちばん分かりやすい成長の軸になっているのが新之助だと思っています。火事場など重苦しいシーンも多い中で、新之助がいると少し安心できるというか、ムードメーカー的な存在として描いているつもりではあります。
©今村翔吾/祥伝社/ぼろ鳶組一同
──梅田さんは新之助の魅力をどのように捉えていますか。
梅田:先生がおっしゃっていた通り、お調子者なところがすごく愛らしいというか。読んでいて、見ていて、楽しいキャラクターだなと思います。だからこそ、自分の根っこにあるものと向き合うシリアスな場面が、より際立って魅力的に見えるんですよね。
今村:すぐ調子に乗るところが、新之助の良いところでもあり、悪いところでもあり(笑)。いろいろなキャラクターに思い入れを寄せる人がいると思うんだけども、いちばん多くの方が感情移入しやすいキャラクターなのかもしれないですね。
──梅田さんは演じる上ではどのようなことを意識していますか?
梅田:僕自身も新之助として、皆さんと関わるのを楽しむというのは大事にしたいなと思っていて。キャストの皆さんも、以前からご一緒したいと思っていた方ばかりで、まず純粋に嬉しかったですね。その中で、自分もこの座組の一員として、芝居の上ではしっかり食らいついていく、肩を並べて作品を作っていくんだ、という気持ちで臨んでいました。そういうところが、新之助の真面目な部分と通じていたらいいなと思っています。
©今村翔吾/祥伝社/ぼろ鳶組一同
──では第1話をご覧になった感想をおうかがいできればと思います。
今村:これは初めてお会いした時も思ったんですけど、「めっちゃ新之助や」って思いました。僕の頭の中にあった新之助の声そのままで、正直、驚いたぐらいです。
梅田:えっ本当に嬉しいです。
今村:お世辞じゃなくて、本当に思ったことで。アフレコ現場にも後で行かせてもらった時に、「新之助、めっちゃ新之助じゃなかった?」と言い合いながら帰宅したくらい。新之助に限らず、他のキャラクターもそうで。僕がイメージしていたもの、あるいはそれを超えてくる部分もあって。自分の頭の中にいた人たちにようやく会えた、という感覚に近いかもしれないです。
梅田:うわ……もう、声優冥利に尽きるお言葉です。
今村:第1話を見て、もっと続きを見たいなって思いましたし、ちょっと忘れていたところがあったので(笑)、自分が書いたものなのに「こんな感じやったな」と新鮮な気持ちで見られました。これは続きも見ていきたいな、って素直に思いましたね。
梅田:僕としてもそうですね。1話を見て、新之助の芝居や印象の部分で、「あ、しっくりくるな」って感じたところがあって。もしかしたら、自分にとって出会いのキャラクターになるかもしれないな、と思っていたので、そういうお声をいただけて嬉しいです。
今村:最初の第一声、新之助が出てくる声のところをぜひ聞いてほしい。「新之助や」ってなるんですよ。1話からワクワク感があって、もし全部配信されてたら、一気見しちゃいそうな感覚はありましたね。
梅田:よかったです。新之助のパーソナルな部分として、お調子者で軽快なところはもちろんなんですけど、その中でも相手をちゃんと見ようとしているんですよね。しっかり相手を見ているぞ、というところも伝わったらいいなと思っています。
今村:振れ幅が大きいんですよね、新之助は。
梅田:ねえ(笑)。
今村:ねえ(笑)。
梅田:先生といっしょに「ねえ」って言えるのが嬉しいです(笑)。
今村:思えば深雪も振れ幅が大きいんだよね。振れ幅の大きいキャラクターが分かりやすく人気が出るのかもしれない。そう言うとお頭に怒られそうやけど(笑)。でも、お頭はお頭で、中心にいて、みんなをまとめる存在としていられたら、それでいいんかなって。1話を見て、本当に良かったなって思いました。
©今村翔吾/祥伝社/ぼろ鳶組一同















































