
『悪ノ娘』『悪ノ召使』を徹底解説! 『白ノ娘』との関連は? 時系列と視点別に紐解く“悪ノ世界の真実”【ネタバレ注意】
考察1:「大人たちの勝手な都合」とは?
『悪ノ娘』『悪ノ召使』で最大のギミック、それは王女リリアンヌと召使いアレンの入れ替わりです。これは二人が、うりふたつの顔をした双子だったから成立するもの。
しかし、アレンとリリアンヌが双子であるなら、アレンも王族のはず。身分の低い召使いであるはずがありません。そのうえ、二人は姓が違い、リリアンヌは双子の弟がいることを知らないのです。
二人の過去に迫るヒントは、『悪ノ召使』1番の歌詞にあります。
「大人たちの勝手な都合」、これは王位継承問題だと考えられます。双子のどちらが王位を継ぐか、という争いのなかで、二人は引き離されてしまったのです。
詳しい過去については、小説「悪ノ娘 緑のヴィーゲンリート」で語られています。要約すると次の通りです。
- 当初、王位継承者はアレン
- 大臣の一人が「リリアンヌこそ正当な後継者だ」と主張
- 二つの派閥に分かれた臣下たちの政治紛争が勃発
- 王子の暗殺計画を知った近衛隊長(レオンハルト:ジェルメイヌの父)がアレンを匿う
- 表向きはアレンが亡くなったことになった
ことの発端は、リリアンヌに「大罪の悪魔」が取り憑いていたこと。大罪の悪魔に憑かれた人間は、大きな事件を引き起こすと言われており、リリアンヌ派の大臣はその力を悪用しようと考えたようです。
悪魔は魔導士によって払われましたが、その反動でリリアンヌの記憶も消えてしまいました。こうして二人は政治に利用され、平和の犠牲として引き離されてしまったのです。
考察2:ミカエラの正体とは?
続いて、リリアンヌの治めるルシフェニアの隣国、エルフェゴートに目を向けてみましょう。エルフェゴートに住む人はみな、緑の髪をしていることから「緑の国」と呼ばれています。
そのなかでも、ひときわ美しい髪をもつミカエラ。『悪ノ娘』では王女の婚約者が一目惚れをした相手、『悪ノ召使』ではアレンが町で出会った女性として描かれます。彼女がどこから来て、何をしている人なのかは明らかにされません。
『白ノ娘』では、ミカエラとクラリスの出会いが詳しく描かれています。二人の初対面は「千年樹」と呼ばれる、森の主のような大木のそば。倒れていたミカエラを、クラリスが助けたことから二人は仲良くなります。
しかしここでも、ミカエラがどこから来たのかはわかりません。その答えは、小説「悪ノ娘 緑のヴィーゲンリート」にあります。
ミカエラの正体は、森に住む精霊。普段は人に見えない存在ですが、様々な生き物に姿を変えられます。ミカエラは『白ノ娘』で描かれる以前にも、クラリスに出会っていました。
コマドリに姿を変えたミカエラは、ケガをしたときにクラリスに助けてもらっていたのです。そして人間の姿になり、千年樹のそばで倒れたときにも助けてくれたのがクラリスでした。
ネツマ族への差別が根強いエルフェゴートで、緑の髪をもつミカエラがクラリスと仲良くする。これは周囲からも、クラリス本人からも不自然に見えます。長年差別を受けてきたクラリスは、卑屈な憶測が止まりません。
自分より劣る女を 憐れんでるつもりなの?
(『白ノ娘』より)
しかし人間のことをよく知らないミカエラには、差別という感覚がわかりません。明らかなのは、二度も自分を助けてくれたクラリスが優しい人だということ。
『白ノ娘』でミカエラがクラリスにささやいた「あなたは誰より素敵な人よ」という言葉は、嘘偽りのない本心。クラリスはミカエラの恩人であり、ミカエラもまた、クラリスを見た目で決めつけずに仲良くしてくれた恩人だったのです。
ところが、ミカエラは精霊ゆえの浮世離れした魅力で、周囲の人を引き付けてしまいます。その結果、マーロン国の王カイルも彼女の虜になってしまいました。
まだ恋を知らないミカエラは、カイルのプロポーズを断ります。しかしカイルの想いは止まらず、リリアンヌとの婚約を破棄。これに激怒したリリアンヌは、エルフェゴートそのものを滅ぼすよう命令し「緑狩り」が始まります。戦火のなか、ミカエラも命を落とすこととなりました。
森で出会った二人の少女の小さな世界が、最終的には国際問題にまで発展する。そんなバタフライエフェクトの中心人物となるのが、ミカエラだと言えるでしょう。
































