
『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』連載インタビュー第22回:監督・池添隆博さん×音響監督・山口貴之さん×音響効果・小山恭正さん前編|EDMが表現する「熱量」。『東島ライダー』に合う“ドンピシャな音”ができるまで
「機械が奏でる感情」アニメとEDMの今昔
ーー完成した本編も、音楽の力でノリノリで観られる映像になっているなと。
池添:たしかに、MVを見ているような感覚になりますよね。
山口:「クラブで踊っているうちに終わっていた」というイメージで音をつけていました。最近、TeddyLoidさんのようなトラックメイカー/音楽プロデューサーが劇伴をやるケースも増えてきています。特徴の一つとしてトラックメイカーの方は従来の作家さんよりも主張が強いんです。令和になって若いトラックメイカーの方がどんどん出てくる中で、TikTokで回るような音楽にはパワーがある訳です。「その辺りをどういう風にアニメに落とし込めばいいのか」と考えていたところに、この作品のお話が来ました。
山口:なので、テストケースじゃないですけど、「稀代のトラックメイカーが作った音楽をアニメに乗せるにはどうすればいいのか」を考えて作っています。意外とアニメっぽくない作りですが、ちょうど池添さんの狙いと合致していたらしいので、よかったなと思っています。
ーーそのお話は、キャラクターごとにボーカル曲があるという点にも繋がってくるのでしょうか?
山口: そうですね。深い話になるのですが、そもそもEDMやエレクトロ系の音楽って、機械が演奏しているものなので、基本的には演奏者の気持ちが乗らないという考え方もあります。だからこそ、20年前までは「感情的な表現をするのは難しい」と言われていました。
ーー20年前までは?
山口: 今は技術が発展したことにより、その「熱さ」「熱量」というのは、実は人が演奏するよりも表現しやすくなっているんです。 この作品には熱量しかないので、TeddyLoidさんが理解してくださって、そういう風な作りになったという流れですね。
池添: 僕は最近のEDMを聴くと「“感情”があるんじゃないか」と思うんです。「トランス状態で“感情”を込めて作っている人がいるんじゃないか」って。個人的にもよく聴いていたので、「絶対合うな」という確信がありました。
山口: EDMは平成後期から急激に存在感を増していき、今はメインストリームじゃないですか。
山口: そういう勢いがあるジャンルでもあるので、「機械が奏でる感情」というのもいいんじゃないかなと。その可能性を少しずつ、この10年かけて探っていった結果の集大成がこの作品なんです。 EDMを扱う上で、どうしたら人の心を動かせるかというのは、研究してきたところでもあります。やっぱり「熱量」という意味では、本当に表現しやすいんですよ。 『東島ライダー』に合っている、“ドンピシャな音”になったと思います。
池添:「山口さんじゃなきゃ無理だったかも」というくらい特化された方でしたから。本当にたまたま縁があったんです。
ーー素人目線でもただ流れているだけじゃないことが分かります。
山口: EDMの四つ打ちというのは、面白いことに音量で感情が変わるんですよ。その辺りを10年以上研究していたので、ちょうどよかったですね。
池添:ちょうど良すぎます(笑)。
山口:同じ曲でも小さく出すと寂しいし、大きく出すとノれるし。そういう意味では、ちょっと不思議なジャンルの音楽なんです。


































