
“好き”を分かち合うことで、またひとつ思い出が増えていく──TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』第10話を天海由梨奈さん・富田美憂さんが振り返る【連載インタビュー第10回】
塀先生による人気漫画を原作としたTVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』が、2026年4月10日よりTOKYO MX・BS11ほかにて放送中です。
本作は大学へ進学した上伊那ぼたんが、埼玉県秩父市の学生寮での生活を通して、“お酒”をきっかけに寮生たちとの距離を縮めていく物語。ゆっくりとほどけていく関係性の変化が、繊細な感情の揺らぎとともに描かれています。
アニメイトタイムズでは『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』のキャストインタビューを連載形式でお届け中。第10回に登場してくれたのは、遊佐あかね役の天海由梨奈さんと北杜やえか役の富田美憂さんです。
第10話では、原作者・塀先生が書き下ろした、あかねとやえかを中心としたアニメオリジナルエピソードが展開されました。物語を振り返りつつ、ふたりならではの独特な距離感、レコーディング時に感じた互いのキャラクターへの想い、そして物語を通して改めて見えてきたあかねとやえかの関係性について、おふたりに語っていただきました。
「青春群像劇」として描かれる、人と人とのリアルな距離感
──いよいよ物語もクライマックスが近づいてきました。ここまで約3か月にわたって放送されてきた本作ですが、作品の魅力をどのように感じていますか?
北杜やえか役・富田美憂さん(以下、富田):3か月という時間があると、実際の我々の生活でも、人との距離の縮まり方っていろいろあると思うんです。「この子と自分はこういうところが似ているかも」と思って急激に仲良くなることもあれば、日々の積み重ねの中で、少しずつ距離が縮まっていくこともある。『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』は、そういう人と人との距離感をちゃんと描いてくださっているから、めちゃくちゃリアルだなと思います。
遊佐あかね役・天海由梨奈さん(以下、天海):この作品にキャストとして立たせていただく中で、ずっと個人的に大事にしている言葉があって。それが「青春群像劇」なんです。もちろん、お酒や癒しの要素も本作の大きな魅力なんですけど、根底にあるのは日々の感情の移ろいや、大学生という人生の中でも本当に刹那的な時間の中で紡がれていく関係性の大切さ。そこをすごく丁寧に表現してくださっている作品だなと感じています。
オンエアを観たとき、アフレコ時にはまだ自分の中で思い描ききれていなかった演出や音楽の彩りも加わっていて、それに後押しされ「ああっ……!」と胸を打たれるんですよね。一人の視聴者としても嬉しいですし、改めてこの世界を生きられてよかったなと思います。
──大学生という、大人になりきる前の自由さと不安定さが同居する時期を舞台にしているからこそ、彼女たちの関係性や感情の揺れが、より瑞々しく映るのかなと思いました。
富田:私は大学生を経験していないので、この作品を通して大学生活を疑似体験できたような感覚もあるんです。寮で一緒に過ごしたり、友達と出かけたり、少しずつ関係が変わっていったり。そういう時間への憧れも、自分の中にはすごく詰まっている気がします。
天海:わかる。一応大学には通っていたのですが、本当にすべてが最低限で(笑)、全然青春してないんですよ! だからこそ、この作品の中で描かれる大学生活の豊かさや、友達と過ごす時間の尊さには、すごく惹かれます。
あかねは好きなことに打ち込む中で、進路に悩むじゃないですか。私も声優を目指していたときに、そちらに専念したくて、大学を辞めたいと思った時期があったんです。だから、そこは結構リンクしていて。「この気持ち、わかる〜!」と思いながら演じていました。第8話は特にそうでした。あかねに刺さる言葉がたくさんあって、私自身も「わかる」と思いながら向き合っていました。
あかねが好きなものが、やえかの中にもある尊さ
──第10話では、原作者の塀先生が書き下ろした、あかねとやえかを中心としたアニメオリジナルエピソードが描かれました。
天海:本当に驚きましたし、特別な経験をさせていただいたなと思いました。あかねとやえかの関係性が、またひとつ深まるようなエピソードですよね。
実はあかね役が決まった段階で「原作には入っていないオリジナルのお話を作ろうと思っていて制作される」と伺っていたんです。
富田:そうなんです。前回(連載第8回インタビュー)で事務所にスタッフの皆さんが来てくれたというお話をさせていただきましたが、そのときに、こういうエピソードが入るということをお話しいただいていました。
──天海さんと富田さんが仲良くなられたのが、この第10話の歌のレコーディングとのことだったとか。
天海:このオリジナルエピソードでは、あかねとやえかで歌わせてもらっています。まさかここで一緒に歌わせていただけるとは思わなかったので本当にビックリしました。すごく嬉しかったです。塀先生、そして『上伊那ぼたん』のスタッフの皆さんが音楽を大好きだからこそ、こういう演出を入れたいと言ってくださったのかなと思いました。
個人的に印象的だったのが、歌に至るまでの流れです。ぼたんがやえかに「好きな曲は?」と尋ね、やえかがそれに答える。それをぼたんがあかねに伝え、あかねが弾き語りをする……その一連の演出がとてもエモーショナルで。あかねとやえかだけだったら、きっとこうはならなかったと思うんですよね。ぼたんという存在がいたからこそ、ふたりの間にまた新しい思い出が生まれたんだなと感じました。
──お互いを思い合う気持ちが余白を持ちながら描かれていく『上伊那ぼたん』ならではの進み方でしたね。
富田:台本をいただく前に、ざっくりとした流れはうかがっていたんです。(アフレコより先に行われていた)レコーディング段階でも、ラフの映像をスタジオで観させてもらっていました。最終的にはアフレコ台本を読んで「ああ、こういう流れなんだ」「すごく素敵だな」って思いましたね。
天海:台本を読んだとき、ちょっとニヤニヤしちゃいましたね(笑)。テンションが上がっているあかねに対して、やえかも最初は戸惑いも見せますが、でもちゃんと“好きなもの”を共有しているんですよね。あかねが勧めたものを、やえかが自分の中にひとつ持っている……それがもう尊いなと。
富田:本当に尊い!
──さきほど天海さんから印象的だったシーンについてお話がありましたが、富田さんはいかがでしょう?
富田:私はあかねが歌い出したときのやえかの表情がすごく印象的でした。
天海:めっちゃ良かったよね!
富田:本当に! あの表情が本当に優しくて、もうセリフを入れなくても、あかねをどう想っているのかを物語っているんですよね。
──あの場面が最後の最後まで、心の中にずっと残っていました。
富田:そうなんですよね、余韻がすごくって。歌っているあかねに気づいて、ハッと見るシーンでは実はアドリブも入れたんですけど、入れなくても良かったなと思うくらいで。
天海:でも入っていたよね? 良かったと思う! 本当に音声だけでも楽しめる作りになっていて。これは私たちだけでなくて、皆さんがそうやって作ってくれているので、いろいろな形で今回のお話を楽しんでもらいたいです。
──絶対に話題になると思います。
富田:そう思います。
天海:歌唱シーンも含めて、どう受け止めてもらえるのか少しドキドキするところではあるのですが、このオリジナルのお話は、本当にもう……なんというか、脳を焼かれました。
それに加えて「あかねがどれだけ音楽を大事にしているのか」について。Instagramの中でも発信されていますので、10話時点では皆さんご存知なところだと思います。「なるほど」って思っていただけるのではないかなと。行間や余白があるほうが、観てくださる方もいろいろ考察できると思うので、そこはあえて全部は語らず、ミステリアスにいかせてもらえたらと思っています(笑)。































