
オーディション時からやりがいを感じた役柄。後半で見えてくる霧尾の過去と向き合うために意識を変えた部分とは──TVアニメ「霧尾ファンクラブ」霧尾 賢役・梶原岳人さん【連載インタビュー第4回】
重いシーンの収録で思いがけないハプニングが……!?
──ここからは、第1話〜第3話を振り返りたいと思います。まずは、始まりから一気に引き込まれた第1話について、いかがでしたか?
梶原:1話に関しては、霧尾はまず前半の最後のシーンで喋りました。藍美と波が“霧尾くんの好きなところ”を黒板に書いていましたが、ずらっと並んでいる臓器の名前を見た霧尾が「怖(こわ)」と一言。それはそうだよね、と(笑)。
第1話の中でも見せ場としてはそこまで多くなかったのもあり、セリフの少ない中で人物を印象づけなければいけなかったのですごく緊張したのを覚えています。
──今気が付きましたが、第1話の台本の裏表紙に臓器の名前がびっしりと……(笑)。
梶原:そうなんです(笑)。毎回その話数で出てくるキーワードが載っています。
「霧尾ファンクラブ」では、”おなら”、“うんこ”、“鼻くそ食べる”みたいなワードが結構出てきますが、「そういうこと、女子高生は言うの!?」とびっくりしました(笑)。
知らないだけでもしかしたら言っているかもしれないですけど、僕はクラスメイトのそういう一面を見たことがなかったので、ちょっと下品なネタを恥ずかしげもなく出してくるのがすごく面白いなと思いました。
──「おならが引くほど爆音だったら」「嬉しすぎるだろ」というやり取りもありますから(笑)。
梶原:嬉しくはないでしょ、と僕は思いますけどね(笑)。
──そして、第2話では、名曲とも呼べる「涙なめなめソング」が登場しました。
梶原:即興で作っているはずなのに、よくできているなと(笑)。波もピアノが弾けて、その上メロディーまで作れるスキルをなんで持ってるの?と思いました。
──アーティスト活動をされていてギターも弾かれる梶原さんですが、あのような感じですぐに曲はできるものなのでしょうか……?
梶原:僕はちょっと難しいです。それだけ藍美と波の想いが強かったんだと思います。
あと、二人で「うおぉ〜!」と終わるところはもちろん、教師役の杉田さんがそこで出てくるのも面白いですよね(笑)。ずっと「うるせぇー!」とツッコんでいたのを覚えています。
──そこで出てくるんだ!?というシーンで豪華なキャスト陣が登場するのも、本作の楽しみのひとつですよね。続いて、放送されたばかりの第3話で印象に残っているシーンを教えてください。
梶原:呪術を使うなど、出だしからかなり印象的な回でした。妄想の中で霧尾が引き裂かれるシーンもここで登場しましたね。
霧尾くんと3人でデートに行けるんだよ、という波の言葉から二人の妄想が始まりますが、藍美と波が霧尾の両腕にしがみついていて……。「◯◯に行きたい!」とそれぞれが別の方向に進もうとしたら霧尾の股にヒビが入って引き裂かれるという(笑)。
(改めて霧尾が引き裂かれるシーンを映像で見る梶原さん)
梶原: 本当に意味がわかりません(笑)。
──(笑)。
梶原:台本には藍美と波のセリフしか書いてありませんが、映像を改めて見るとアドリブを入れて良かったなと思います。わけがわからないシーンですけど本当に面白いですよね。このシーンは特に印象に残っています。
──アドリブに関して、何か指示などはあったのでしょうか?
梶原:アドリブを指定されることは、ほとんどありませんでした。好きにやってください、というスタンスでしたので、みんな好きなように演じていました。
──亀山俊樹音響監督は、お芝居が素晴らしければテストテイクも採用する方針だったとか。
梶原:そうなんです。とてもありがたかったですね。個人的には、全部そういう録り方をしてほしいと思うくらいで……(笑)。
テストはまったく使わずに本番以降で全部やります、という現場が多いと思いますが「霧尾ファンクラブ」の現場ではテストだけで終わるときもありました。
──テストだけで!
梶原:「よし本番だ!」と思ったら「そのシーンは大丈夫です。もういただきました」と(笑)。特に終盤はそのようなケースが多かったと思います。
その場のやり取りで生まれたもの、重いシーンこそ再現性がないことが結構多く、特に泣くシーンなどネガティブな感情を出すシーンは、同じようにできないこともあります。流れがありますし「ここだけやり直す」ということができないので、全部録っていてほしい気持ちがあって。
たとえば、AパートとBパートではオンエア時にCMが挟まるので流れが一度切れますよね。アフレコでは普通、Aパート、休憩、Bパートという風に区切りますが、繋がっているシーンが一度そこで分かれてしまったことがありました。
その際に「AとBを繋げてやりたいです」と相談させていただいて、ある程度そのシーンが終わるところまでやらせてもらえることもあったんです。
──その場で生まれるものを大事にしていた温かい現場だったのですね。
梶原:本当にそうでした。この「霧尾ファンクラブ」は、重いシーンはとにかく重いので、僕もそこが1番しんどくて……。直前までギャグをやっていたこともあり、すぐに切り替えるのが大変だったんです。
だからこそ、役者のことをすごく考えて録っていただいていたなと。寄り添っていただけて、すごくありがたかったです。
──今後の展開が気になる視聴者の方も多いと思います。ぜひ梶原さんから第3話以降の見どころを教えてください。
梶原:自分が1番頑張ったところというか、頑張らなきゃいけないなとプレッシャーを与え続けてきたのが後半の話数です。
この前開催された「サテライトフェス」のステージで少しお話しましたが、現場でよくモノマネをすることがあって、そのときに僕のモノマネでみんなが爆笑してくれたんですけど、その後に録るシーンがすごく重いシーンだったんです。
その場面が来たときに初めてアフレコの本番が始まる直前に具合が悪くなり、僕だけブースから出させてもらいました。
そのときに、みんなから「梶原さん、モノマネのしすぎでどうにかなってしまった」とも言われてしまいまして……(笑)。
──それは……(笑)。しかしそれだけ、想いを込めたシーンだったと。
梶原:たぶん、情緒がおかしくなってしまったんだと思います。自分にプレッシャーもありましたし、楽しくもしたい。だけど「自分にとっても霧尾にとっても大事なシーンだから生半可な覚悟じゃできない」と自分を刺し続けていたんです。
そしたら、急に心がガチッと固くなってしまって、それで体も思うように動かなくなり……色々なプレッシャーを自分に与えていたんだなと。そこから「考えすぎるのはやめよう」と思いました。
「現場に立てばその場でできることしかできないし、準備はそれまでの日に終わらせている」「だから、あとはもう好きに過ごそう」という方向にシフトして、自分の心をとりあえずリラックスさせることから始めました。
そんなこともあり、自分が頑張ったという意味でも、先々の重いシーンにはぜひ注目していただきたいです。ここ最近のアフレコの中でも特にいろんなことを考えた出来事でした。































