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- 田島悠
- 30代は青春ブタ野郎シリーズに人生を捧げる。 東京の片隅で思春期症候群になっているのは秘密。 趣味が50以上ある元数学教師のライター。 専門は、教育系、サブカル系(アニメ・ラノベ・漫画など)、旅行系記事の執筆。 取材やインタービューも。

『とんがり帽子のアトリエ』の作者は白浜 鴎先生。『月刊モーニングtwo』2016年9月号から連載開始。2017年1月に講談社のレーベル『モーニングKC』から第1巻が刊行されました。
『とんがり帽子のアトリエ』の世界では、「魔法の力を持って生まれた人」でないと魔法を扱うことができず、「知らざる者(作中、魔法が使えない普通の人を表す言葉として使われています)」は魔法使いにはなれないと人々に信じられていました。
ですが、本当は、特別な「魔の墨(「インク」と読みます)」で、決められた「魔法陣」をペンで「描く」ことによって、誰でも魔法は使えるのです。このことは、魔法使い達の「絶対の秘密」。
主人公で、魔法使いに憧れるココ。興味本位で使ってしまった「禁止魔法」によって、ココの家や母親が石のような状態に。母親と一緒に住めなくなったココはキーフリーの弟子になります。ココはキーフリーのアトリエで住み込みながら、一人前の魔法使いを目指して奮闘していきます。
「つばあり帽」を被り、禁止魔法を使う魔法使いイグイーン。
ココに執着し、さまざまな場面で禁止魔法を使わせようとしてきます。
また、作中、イグイーンは思わせぶりなセリフを多く口にする謎に満ちた存在でもあります。
今回は、このイグイーンについて、プロフィールや使用する魔法の特徴、印象的なシーンを中心に、ご紹介していきましょう。
※この記事には物語の大きなネタバレもたくさん含まれています。ご注意ください。
イグイーンは目玉模様の仮面をつけ、つばあり帽も被っている魔法使いです。自分のことを「世界の片目、瞼なき者」と称しています。
『とんがり帽子のアトリエ』の世界では、つばあり帽を被る魔法使いは、人間の身体に直接影響を与える禁止魔法を使う危険な存在としてみなされています。
ですので、イグイーンは普通の魔法使いではなかったのです。
イグイーンは幼い頃のココに魔法の絵本を売りつけました。この魔法の絵本の通りにココが魔法を描いたところ、禁止魔法が発動してしまいました。
イグイーンはココのことを「きみは私たちの希望だ」と言い、ココに対して異常なほどの執着を作中で見せていきます。
そして、ココに執着するだけでなく、ココ達の前にたびたび現れ、窮地に陥しいれ、ココが禁断魔法を使ってしまいたくなるような状況をイグイーンは作っていきます。
それだけでなく、窮地に陥ったココに対して、禁止魔法を使うよう誘惑していきます。
なぜこれほどまでに、イグイーンはココに対して異常なほど執着し、禁止魔法を使わせようとするのか。このことは、『とんがり帽子のアトリエ』のストーリーの謎の一つにもなっています。
イグイーンは単独で行動することもあれば、同じつばあり帽の魔法使いササランとともに、禁止魔法を使ったり、ココ達を窮地に陥れようとしたりすることもあります。
人間を空間移動させる魔法は、人体に直接影響を与える魔法になるので、『とんがり帽子のアトリエ』の世界では、禁止魔法になってしまいます。
イグイーンは、作中、禁止魔法を使って、ココ達を泥森の街カルンから巨鱗竜(「ドラゴン」と読む)がいる異空間へと飛ばしてしまいました。
イグイーンはココの魔墨瓶と魔墨に細工をしていました。
キーフリーがココの魔墨が入った瓶の秘密に気づき、つばあり帽達との接点になると直感。瓶の中の魔法陣が刻まれたメダルを取り出そうとした瞬間、襲雷の魔法が発動!キーフリーに向かって、雷が放たれてしまいました。
人体に直接攻撃するような魔法も禁止魔法として厳しく規制されている『とんがり帽子のアトリエ』の世界。ですが、罠のように発動する禁止魔法をイグイーンは簡単に使うことができるのでした。
イグイーンは人の姿を鱗狼(「うろこおおかみ」と読む)に変えたり、逆に鱗狼の姿になってしまった人間を元の人間の姿に戻したりするといった、直接人体に影響する禁止魔法を簡単に操ります。
他の生き物に変えられてしまった人間の心を大きく動揺させるだけでなく、周りの人の心も大きく動揺させるという恐ろしい魔法でもあります。
第2の試験中。
つばあり帽の魔法使いササランによって、鱗狼の姿に変えられてしまったユイニィ。
禁止魔法ではなく、普通の魔法の反転魔法(例:形を粉々の砂にする魔法の矢を逆さまに描くと、砂状のものに形を与える魔法になるなど)でなんとかユイニィを元の姿に戻そうと奮闘するココ達。ですが、上手くいかず、ユイニィは元の姿に戻れません。
「魔法で身体を変えられてしまったら、もう普通の魔法では解けないの−…?」と動揺するココ。
そんなココ達のところにイグイーンが登場。
「そうだよ。君はとても賢いから、本当はうっすらと気付いていたんだろう?怯えないで希望の子。こんなふうに君の心を傷つけるつもりはなかったのに…お詫びに私が教えてあげる。あの少年の助け方、あの魔法の解き方を」とココにイグイーンは語りかけてきます。
それに対してココは、「でも…それは、禁止魔法ですよね…」とイグイーンに尋ねます。
すると、イグイーンは「そうだよ。大丈夫、皆には内緒にしてあげる。魔法使いに秘密はつきもの。あの子達を助けたいんだろう?さあココ、描くんだ。あの少年を助けられる魔法は古の禁じられた魔法だけ…震えている?禁止魔法が怖いかい?普通の魔法と変わらないよ。使い方を学べばいい。私が教えてあげる…」とココに対して禁止魔法を使うよう、誘ってくるのです。
「ダメ!!」
そういって、イグイーンとココの間に入り、ココが禁止魔法を使うことを制したのは、鱗狼になってしまったユイニィでした。
上手くいかなかったと思われた反転魔法ですが、ユイニィが言葉を発したり、言葉が通じたりできるところまで、ユイニィを取り戻せていたのです。禁止魔法でしか解けないというのは嘘だったのです。
「へぇえ、矢の描き換えで効果を反転させたのか…すごいじゃないか。素晴らしい独創性だ!かつてはあらゆる力が自由だった。無秩序だが発展があった。君達の成長を見るたびに今がそうでないことが惜しくなる…とんがり帽子の定めた掟なんかに縛られず、本当の魔法使いになってほしいものだ。見せてあげようお手本を」と言い放つイグイーン。
そして、鱗狼の姿になったユイニィの身体を元の人間の姿に戻し始めます。
「知ってはいけない。学んではいけない。描いてはいけない。それがどれだけ君達から可能性を奪っているか。一度見たらわかるはず。はい、お手本おわり!」と言うと、イグイーンは再度、ユイニィを鱗狼の姿に戻し始めるのでした。
「私が禁止魔法を描いても意味がないんだ。君…いや、君達でないと−」
そう呟くイグイーン。なぜ、ココ達に執拗なまでに禁止魔法を使わせようとするのか。謎は深まるばかり。
イグイーンの不気味さが垣間見えた印象的なシーンでした。
イグイーンを演じているのは、斎賀みつきさんです。6月12日生まれ、埼玉県出身。『薔薇王の葬列』のリチャード役や『プリパラ』の紫京院ひびき役などを演じています。
執拗なまでにココ達に禁止魔法を使わせようとするつばあり帽のイグイーンの存在は、『とんがり帽子のアトリエ』のストーリーの中でとても異質です。
ですが、イグイーンの存在によって、『とんがり帽子のアトリエ』の世界の光と闇の部分が見えてくるのも事実。
イグイーンの行動やイグイーン自身が語る意味深な言葉の数々から、目が離せません。