
春アニメ『ガンバレ!中村くん!!』カラースクリプト×色彩設計×プロップデザイン・2Dワークス×美術監督インタビュー|レトロな色彩とヴィンテージ感が、90年代のセルアニメを思い出させてくれる
内気な男子高校生・中村くんの同級生・広瀬への“片想いをめぐる妄想と暴走”を、どこか懐かしい80~90'sタッチでコミカルに表現した「ガンバレ!中村くん!!」。本作のTVアニメーションが、2026年4月1日(水)より放送・配信中です。
アニメイトタイムズでは、アニメーションのスタッフに制作秘話をお聞きするインタビュー連載を実施。第3回はカラースクリプト担当のゆえさん、色彩設計担当の大野春恵さん、美術監督の李 天馥さん、プロップデザイン・2Dワークス担当の永木歩実さんにインタビューし、それぞれの工程でこだわったことなどをお聞きしました。
背景は80年代から90年代の雰囲気を出したいというリクエストがありました
──原作を読んだときの印象をお聞かせください。
カラースクリプト担当・ゆえさん(以下、ゆえ):最初に原作に触れたのは高校生のときでした。中村と広瀬はもちろん、それ以外のキャラクターも豊かでかわいくて。すごくハマって読んでいました。
色彩設計担当・大野春恵さん(以下、大野):BLというあまり読んだことのないジャンルでしたが、コミカルで楽しい作品だと思いました。青春漫画のような感覚で読み進められて、面白かったです。
美術監督・李 天馥さん(以下、李):私もふだんはBL作品を読む機会がなく、今回関わるとなって初めて触れました。物語としては片思いをする男の子の青春が描かれるというところだったので、スラスラと読むことができて。日常的でありながら愉快なギャグ要素が組み合わさっているのも面白かったです。
プロップデザイン/2Dワークス担当・永木歩実さん(以下、永木):最初に読んだとき、コメディ部分が面白くて思わず笑ってしまいました。ふだんBL作品を読む習慣はないのですが、それでもラブコメとして楽しく読めたんです。
──本作においてみなさんがどんなお仕事をされたのか教えてください。
ゆえ:カラースクリプトは、アニメーションの色のイメージを統一するための、色の設計図のような資料を作る仕事です。監督や演出家の方の頭の中にある光や色のイメージを作って、それを作業者の方に共有します。カラースクリプトをもとに、本編で使う実際の色を決めてくださったのが色彩設計の大野さんです。
大野:私はゆえさんのカラースクリプトをもとに、シーンごとの色を決めていきました。カラースクリプトが用意されていないようなシーンも、心情などにあわせて色味を考えて作っています。
李:美術は背景を作る仕事で、本作ではカラースクリプトをもとに、監督や演出さんの追求する方向性にあわせて作業しました。80年代から90年代の雰囲気を出したいというリクエストがあったので、その雰囲気を残しつつも見ている方が古いとあまり感じないよう背景を制作しました。
永木:私が担当したプロップデザインは、作中に出てくる小物をデザインする役割です。原作に出てくる小物をアニメーターさんが作画しやすいように形を整えたり、補足したりしてデザインの詳細を決めていく仕事ですね。例えば生徒たちが使っている文房具や学生鞄、スマホといった汎用的なものから、広瀬のハンカチや中村の部屋の小物みたいな、キャラクターの性格がでるようなものまでデザインしています。
──永木さんは2Dワークスも担当されています。こちらはどういった役割でしょうか。
永木:アニメーターさんや背景担当さんが描くにはちょっと複雑なものを素材として作るというのが主な仕事です。例えばノートの中身や、本作でいえば(作中に登場する漫画の)『ラブ弁!』の表紙や裏表紙などを描かせていただきました。
キャラクターの性格を考えて、好みの色などを想像しながら作っています
──みなさんの仕事のなかで、特に上手くいったと感じたシーンやカットを教えてください。
ゆえ:第11話に乙切先生の日常シーンがあって。学校で先生をやっているときと日常生活のどちらも描いたのですが、原作にはないシーンだったので、監督とイメージを共有しながら光の入り具合などを調整しつつ描きました。上手くいったというよりも、本作の作業のなかで印象に残っているシーンですね。
大野:私はエンディングです。毎回エンディングが変わる演出はこれまで関わったアニメの仕事だとなかなかなくて、珍しいなと思いました。キャラクターの色味を私が担当しているのですが、本編とはちょっと違うテイストで。とはいえ、自分のなかではわりと得意分野ではあったので、自由にやらせていただきました(笑)。
ゆえ:エンディングの通常背景は李さんが担当してくださっていて、私は特殊背景を担当しています。その色味にあわせて大野さんがキャラクターの色を作ってくださいました。また、中村の部屋に出てくるタコのぬいぐるみとか小物は永木さんがデザインされているんです。
永木:原作でも中村の部屋の机の上にタコの小物などがちょこっと描かれているんですけど、絵が小さ過ぎたので補足的にデザインしました。キャラクターの性格を考えて、好みの色などを想像しながら作っています!
──ここにいるみなさんをはじめとするスタッフの力が結集して、あの秀逸なエンディングができあがったんですね。
大野:そう言っていただけるとありがたいです。
永木:私はエンディングのほか、『ラブ弁!』の表紙・裏表紙もこだわって作りました。アニメ本編やストーリーを楽しんでいただきつつ、細かい小物などのデザインもたくさんしたので、見ていただけたら嬉しいですね。
李:美術の背景で感情がいちばん表現されたのは、夕焼けのシーンかなと思います。夕焼けのシーンは中村の感情がにじみ出ているようで、すごく印象に残っています。
──本作は実在する日本の場所が登場しますが、そういう背景を描くときは実際の場所に行って参考にされることもありますか?
李:今回は写真を参考にして作業をしました。実際にその場所に行って見られたらいいのですが、スケジュールなどの関係でなかなか行けないこともあるので、そういうときは写真などを参考にします。



































