
「片田舎のおっさん、剣聖になるII」鹿住朗生監督インタビュー|「平田広明さんがベリルというキャラクターに色を付けて、さらに広げてくれた」
昨年(2025年)に放送されたTVアニメ「片田舎のおっさん、剣聖になる」。第一期の配信プラットフォームが、2026年6月22日(月)より拡大されました。さらに、2026年7月8日(水)からは、第二期の「片田舎のおっさん、剣聖になるII」がいよいよ放送・配信開始となります。
そんな「おっさん剣聖」の第二期がスタートするタイミングにあわせて、本作の魅力を改めて主要スタッフ陣に伺う連載インタビューがスタートしました。第1回は鹿住朗生監督に、第一期を振り返っての感想や第二期の見どころを伺っています!
アニメ「おっさん剣聖」の物語を紡ぐうえで大切にしたことを語ってくださっていますので、第一期をご覧になられて第二期に期待している方はもちろん、これからこの作品をチェックするという方もぜひご一読いただければ幸いです。
後々描かれるモルデアとの関係性を考えた物語の軸とは
──2026年6月22日(月)から第一期の配信プラットフォームが拡大されました。改めて第一期で印象に残っているエピソードや、制作の上でこだわっていたことをお教えください。
鹿住朗生監督(以下、鹿住):アリューシアをはじめとする周囲のキャラクターとの関係性を描きつつ、ベリルとミュイを中心にどうドラマを構築するべきかを考えていました。シリーズ構成の岡田邦彦さんと物語の軸を詰めていた時に、それを決めたことが大きかったですね。
もうひとつは、剣を使ったアクションシーンについてですね。そこはリアルに考えたかったので、西洋剣術を教えている道場へ赴いて実際にみんなで剣に触れ、どう動くのか、どう振るのかを少しだけですが体験しました。
アニメでやろうとすると何となくの雰囲気でパパッと作ってしまうところがあるので、実際はどう動くのかを一度見ておきたかったですし、その時からアニメに馴染ませるためにどうすれば良いかは考えていました。
──物語の主軸をベリルとミュイの疑似的な親子関係に持ってきた理由はなんだったのでしょうか?
鹿住:例えばこれがアリューシアなら、親子ではなく恋愛関係に向かうだろうなと。ですがベリルは父親がひとつ大きな壁になっているので、そういった親子関係を描きたいならば、それ以外の軸になる部分が必要だと思ったんです。
原作小説で後々そういった展開になることはわかっていたので、その時にベリルが「自分がもし親の立場だったら」と考えられるように......その親と子の立場がある意味逆転するということの軸を作っておきたかった。
ミュイを擬似的な娘だと設定することで、あの時のモルデアはどうだったのかという部分に重なるドラマが構築できるので、まずはベリルとミュイの親子関係をしっかりテーマとして打ち出しました。
それを決めた当時はまだ第二期の制作は決まっていませんでしたが、先々にこのエピソードがある事を見据えておかないと、いざモルデアとの戦いを描くとなった時に生きてこないだろうなと思ったんです。
また、激しい剣戟アクションだけをこの作品の魅力とするのは、少しもったいないなと感じていました。このキャラクターたちなら、そこにプラスして父親と自分、自分とその下の世代、そうやって連なっていく関係性をも捉えた物語ができるんじゃないかと考えて、岡田さんをはじめ色々な方と話し合って物語をまとめていきました。
──第一期は多くの方がご覧になられましたが、視聴者からの反応はどのように受け止められていますか?
鹿住:色々なご意見がありましたが、面白いと言ってくださる方が多く、反響的には良かったと思っています。国外でも人気だったようで、先日「Asia-Pacific Broadcasting+Awards 2026」のストーリーテリング部門を受賞したと連絡を受けた際は、大変光栄なことだと思いました。そういう意味では、僕としても意外な結果だったと思います。
Prime Videoにて世界独占配信されていましたが、世界45以上の国と地域でトップ10入りしました。アニメだけではなく実写も含めたランキングだったそうで、そういう意味でも嬉しかったですね。ストーリーテリング賞なので、作画だけではなく全体のドラマ性が評価されたことは非常にありがたいです。これもひとえに、この作品に関わってくれたみなさんや、応援してくれたみなさんのおかげです。
──第一期、第二期を通して、原作ノベル著者の佐賀崎先生とはどのようなやり取りをされましたか?
鹿住:先生からは脚本や絵コンテの段階はもちろん、アフレコでもアイディアをいただくことがありました。特にアフレコはライブ感が必要で、キャストさんの口がどうしても回らなくなるような台詞は、その場で「こういう言い方ならどうでしょうか」とアドバイスをいただくことが多かったと思います。
──台詞がアフレコ現場でリアルタイムに変わっていくんですね。
鹿住:イメージと違うとなった時は、ここはこういう意図があると説明するなどのやり取りを必ず行っていました。また、佐賀崎先生はアフレコにお越しくださり、オンラインでも全てをチェックしてくださっていました。脚本や絵コンテもデザインを含めて一通りチェックしてもらっています。
──平田広明さんが座長として中心におられる現場はそうそうないと思います。雰囲気はいかがでしたか?
鹿住:常に面白い、楽しい雰囲気で安心感しかありませんでした。ただ、僕らが平田さんのオーラに圧倒されてしまうので、第一期の時はもっとつつましかったと思います。第二期では飲み会を挟みながらワイワイやっています。第一期では、スタッフを含めた飲み会は最後の方に1回あったぐらいなのですが、第二期では毎週やっていたような気がしています。
──声優さん方へのディレクションで印象に残っているものはありますか?
鹿住:第二期はもうキャラクターが定まっているので、そこまで大きなものはありませんでした。逆に第一期では、平田さんが第1話の時に今より渋くてカッコいい声を出してくれていたのですが、「もう少し若く、もっとふにゃっとした印象で」とお願いした覚えがあります。アリューシア役の東山奈央さんには、デレはいらないので、クールにもう少しピシッとしたお芝居で大丈夫ですとお話ししました。



























