
「ストレートには絶対にやらない」――『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション』渡辺正樹監督が語る、“しんのすけらしさ”と家族の絆【インタビュー】
「大曲の花火」が彩る、秋田の美しい原風景
──秋田でのロケハン(大曲の花火など)は行われましたか?
渡辺:はい。季節が春だったので夏の風景は見られませんでしたが、「大曲の花火」が春にもやっていて、それを見てきました。競技として各会社が花火を競い合う形であげているんです。
スケールがすごく大きく、「これはぜひ今作で描きたい」と思ったのを覚えています。実際に色々な種類の花火を撮影さんに作っていただき、花火が層に分かれて広がる様子などを表現しました。劇中に競技のアナウンスも入れ込めたのも嬉しかったです。
──前半のノスタルジックで情緒的な雰囲気から一転して、後半は映画館のスクリーンにふさわしい、ダイナミックなアクションシーンもあります。
渡辺:三幕構成でいくと、第三幕の手前あたりから盛り上げなければならないので、お客様の感情が乗ってくる部分として躍動感を出す工夫をしました。移動幅を大きくしたり、背景を引いて浮遊感を出したり、次から次へ情報を入れて飽きさせないように気をつけました。
「ストレートには絶対にやらない」“しんのすけらしさ”とは?
──ひろしの靴下やケツだけ歩きなど、『クレヨンしんちゃん』ならではのギャグと人間ドラマ部分のバランスは、どのように調整されましたか?
渡辺:あまり理屈で考えてやれることではないですし、途中で思いついたネタを入れてみたりします。お風呂に入る前の宿のシーンで、しんのすけの「行ってこい」のセリフは、私がアドリブで足した部分です(笑)。
──これまでテレビシリーズや映画に関わってこられたからこその「らしさ」ですね。
渡辺:関わっていないと難しいと思います。しんのすけは本当にユニークなキャラクターなので掴むのが難しく、私でもまだ掴みきれていません(笑)。
ストレートには絶対にやらないですし、周りをうまく配置しながらでないと、しんのすけを動かすのは難しいんです。今回の映画だと、しんのすけが1人でみさえとひろしを担いで移動するシーンが一番難しかったですね。牢屋に閉じ込められた時も「ここから出してくれ!」とはストレートに言わないので、周りのキャラクターがいると描きやすいですが、1人になると結構大変でした。
「知らないから怖い」を超えていける強さ
──「相手を知っていたら怖くない」という野原一家と妖怪たちのやり取りが非常に印象的でした。妖怪と人間の対比を通して、本作が伝えたかったメッセージはどのようなものでしょうか?
渡辺:「知らないから怖い」というメッセージは脚本家の中村さんがこだわって描きたいとされていた部分で、私も「その通りだな」と思っていました。理解し合うと垣根が低くなるというのは、現実世界の様々なケースに当てはめられる内容なので響きやすいと思います。
──テレビシリーズも映画も長く関わってこられた監督から見て、改めて『クレヨンしんちゃん』という作品の最大の魅力は何でしょうか?
渡辺:やはりキャラクターだと思います。日本国民全員が知っているほどの男の子なので、このキャラクターのキャッチーでユニークなところが最大の魅力ではないでしょうか。
──最後に、映画を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。
渡辺:今回は妖怪をテーマに作らせていただき、可愛らしくて面白い妖怪がたくさん出てきます。しんのすけが妖怪たちと一緒に大冒険を繰り広げます。家族の「愛」もしっかり、もう一つのテーマとして盛り込まれていますので、ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです。
作品情報
公開日:2026年7月31日(金)公開
あらすじ
旅の支度をする中、呑気に妖怪ごっこを楽しんでいるしんのすけの姿を、庭の物陰からこっそりと覗いている怪しい影が――。久しぶりの帰省と花火大会を楽しみにしていた野原家は、祖父・銀の介の家で穏やかなひとときを過ごしていた。
ところが、秋田に到着した翌朝、不可解な事件が起きる!
しんのすけたちが泊まっていた部屋中に【おばけーしょん村】のチラシがばら撒かれていたのだ。「チョコビたべほーだい!」の文字が躍るチラシに大興奮のしんのすけに頼まれ【おばけーしょん村】へ行くこととなった野原家一同。変わりつつある秋田の風景を眺める道中、人里離れた山奥に入るにつれて、奇妙な空間に迷い込んでしまう・・・。
そこは人間が立ち入ることを禁じられた【妖怪の国】への入り口だった!
【妖怪の国】で野原家史上最大⁉のピンチに見舞われるしんのすけたちは
無事、人間界へ戻ることができるのか?
野原家と愉快な妖怪たちが出会う不思議な夏の大冒険が幕を開ける!!
キャスト
(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2026

































