
OP主題歌「ヒトコト」を歌ううえで、彼女たちが大切にしたこと──TVアニメ『鬼の花嫁』連載インタビュー第4回 OPアーティスト ClariS
シリーズ累計750万部を突破し、待望のTVアニメ化を果たした和風あやかしシンデレラストーリー『鬼の花嫁』。
本作は、人間と“あやかし”が共に暮らす日本を舞台に、家庭に居場所をなくしていた女子高生・東雲柚子と、あやかしの頂点に立つ鬼の次期当主・鬼龍院玲夜の運命の恋を描く物語です。
優れた能力と美しい容姿を持つあやかしたちは、社会の中核を担い、絶大な権力を誇る存在。そんな彼らが本能で見つけ出す、たったひとりの運命の相手が「花嫁」です。
妖狐の花嫁である妹・花梨と比べられ続け、家庭の中で傷ついてきた柚子。ついに心が折れかけたその日、彼女の前に現れたのは玲夜でした。
「見つけた、俺の花嫁」
その出逢いをきっかけに、柚子の運命は大きく動き始めます。
スタッフ・キャスト陣にリレー形式でお話を伺っていく本連載。第4回にご登場いただくのは、オープニングテーマを担当するClariSのクララさん、エリーさん、アンナさんです。
三拍子のリズムに柚子の想いを重ねた「ヒトコト」の制作秘話から、作品の魅力、そして柚子と玲夜の運命の出会いにちなんだ、3人の“出会い”のエピソードまで、たっぷりと語っていただきました。
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3人が作品に触れ感じたこと
──まずは『鬼の花嫁』という作品に触れて、「ここが素敵だな」「魅力だな」と感じたところをお一人ずつ伺わせてください。
アンナさん(以下、アンナ):『鬼の花嫁』は、“あやかし”とその花嫁が登場するファンタジー要素のある作品です。ただ、現代を生きている私たちにも通じる恋心や、共感できる部分がたくさんあるなと感じました。
柚子ちゃんに感情移入すればするほど、玲夜の一言一言が嬉しくなってしまうような作品ですね。
──アンナさんのお気に入りのキャラクターは?
アンナ:子鬼ちゃんたちです! 柚子ちゃんが家族から離れることを決意したとき、ひどい言葉を言われる場面で耳を塞いでいる姿が愛おしくて……私もそばに子鬼ちゃんがいたらいいなと思いました。隣に連れて歩きたくなっちゃいますよね。
エリーさん(以下、エリー):私も子鬼ちゃん推しです!
クララさん(以下、クララ):2人が私の視界の端でわちゃわちゃしているのを見ると、子鬼ちゃんたちと同じ空気を感じるときがあります。微笑ましくなる瞬間があって(笑)。
──仲が良いんですね(笑)。エリーさん、クララさんにも、作品に触れた感想を伺えますか。
エリー:『鬼の花嫁』は、一見すると私たちが住んでいる世界とはまったく違うファンタジーのように感じるんです。でも、実は日常の感情に置き換えられる瞬間がたくさんあります。
誰かと比べられたり、居場所がないと感じたりする柚子ちゃんの気持ちは、形は違っても、現実の中で感じることのあるものだと思うんです。そう考えると物語をより身近に感じられて、つい感情移入してしまいます。
玲夜さんが現れるのも、本当に「よくぞ来てくれました!」と言いたくなるタイミングで(笑)。新しい展開がテンポよくやってくるので、自然と引き込まれていきました。
クララ:最初にタイトルを聞いたときは、「鬼っていうからには怖いのかな……」と思っていたのですが、まったく違いました。ファンタジー要素はありつつ、柚子ちゃんが暮らしている世界には、私たちの現実と地続きに感じられる部分もあるのが面白いですよね。
その中に“あやかし”という存在が自然に溶け込んでいるので、もしかしたらどこかにこんな世界があるのかもしれないと思わせてくれる。だからこそ、すっとアニメの世界観に入っていける印象があります。
私は自分と重なる部分もあって、柚子ちゃんが推しキャラです。心情が痛いほど伝わってきますし、玲夜と出会って少しずつ変わっていく姿を見ていると、「頑張れ!」と応援したくなるシーンが多くて。無償の愛をなかなか素直に受け取れないところもリアルで、柚子ちゃんらしいなと感じました。
──映像面で印象に残っているところはありますか?
クララ:(玲夜の住む)お屋敷のシーンは圧巻でした。柚子のお部屋もとにかく可愛くて、こんな素敵なところで生活してみたい……!と思えるような、憧れが詰まっていて。
アンナ:私はやっぱり、出会いの歩道橋のシーンが印象に残っています。柚子ちゃんが泣いているところに、歩道橋が一本道に見えるようなカメラの動きが入っていたと思うんです。細かいところですが、その滑らかな動きがすごく印象的でした。
漫画で読んでいたときから、「玲夜様が来るぞ、来るぞ」と楽しみにしていたんです。“嵐の前の静けさ”のような空気から、コツコツ……と足音が聞こえて玲夜が登場する流れも、本当に全女子が顔を上げたくなるような演出で、大好きです!
エリー:どのシーンも本当に綺麗で、車が動くところひとつ取っても、質感がとても滑らかですよね。
あとは、アニメ本編の映像の中にも印象的な音が入る場面があって、楽曲でもその音をきっかけに「アナタの言葉一粒」と歌が入ってくるんです。映像の展開と楽曲が重なっているように感じられて、すごく印象に残っています。
──今回、「ヒトコト」を歌唱するうえで大事にされたことをお聞かせください。
クララ:3人に共通していたのは、言葉や柚子ちゃんの思いをどう表現するか。そして、アニメに寄り添った形で届けられるかというところです。
玲夜の言葉によって柚子の気持ちが変わっていったり、物語が展開していくところは、タイトルの「ヒトコト」にもつながっています。
本当は表に出したい素直な気持ちをなかなか出せない。でも、その強い思いが溢れ出してしまう……。そういう柚子ちゃんの思いを、3人の歌で表現できたらと思いました。
──特に歌詞の部分で、歌っていて心が動いたフレーズや、ご自身が惹かれるフレーズがあれば教えてください。
エリー:私が歌わせていただいた「託していいのでしょうか? 信じていいのでしょうか?」という1番の部分は、まさに今まで愛情を受け取ったことがない柚子ちゃんの気持ちに重なると感じています。
急に玲夜という、自分を深く愛してくれる存在が現れて、この人に心も身も預けていいのかな、という葛藤が表れている。疑心暗鬼だけど信じたいという思い、強さと弱さのバランスをすごく考えて歌わせていただいたので、好きなところです。
アンナ:この楽曲全体を通して、愛されているという自覚や確信を持てずにいた柚子の気持ちが、少しずつ変化していく流れが描かれていると思います。最後には自分の恋心に気づいて、「お願いアナタで染め上げて」という言葉にたどり着く。
最初は「アナタの言葉一粒」だったものが、落ちサビでは「アナタの言葉一匙」になっているんです。一粒一粒の言葉が日々積み重なって一匙になり、それを生きていく糧にしたいと思えるところまで行ったら、それはきっと恋心なんだなと気づける。1曲の中で、柚子の心が少しずつ動いていくことを感じられるフレーズだと思いました。
クララ:さらに素敵なのが、Aメロにキャラクターの名前を投影した歌詞を入れてくださっているんです。「ゆずれない思い」で柚子の名前が入っているのと、「玲瓏な月の照らす姿は夜風に揺れ咲き」という歌詞は、縦に玲夜と読めるんですよ……!
「紅く燃ゆ花」も彼岸花を思わせる花で、玲夜の赤い瞳ともシンクロしていて。まさに出会いのシーンをそのまま歌詞にしたような部分になっていると思います。
──ハモリやコーラスの部分ではいかがでしょうか?
アンナ:今回の「ヒトコト」は、メロディラインに対してのハモリだけではなく、コーラスの「ウー」「ハー」のような部分もたくさん入っています。3人じゃないと成立しないこだわりも多いです。
例えばDメロあたりの掛け合いになっている部分は、掛け合いをしながらハモリも入るパートがあります。落ちサビの括弧書きの「日々の」「今日も」というところも2声になっていて、メインを歌っている声に対して、別の2人で括弧書きの部分を重ねています。繊細なハーモニーになっているので、たくさん楽しんでほしいポイントです。
──ちなみに難しかった部分や、今回の楽曲ならではの挑戦はありますか。
クララ:全体を通して、3人で取り組む楽曲としては新境地だと感じる曲でもあったので、感情表現には難しさもありました。
個人的には、冒頭の「アナタの言葉一粒 心臓の奥を揺らす」という一番キーになる部分で、感情をどう乗せるのかをすごく研究しました。最初の「あ」を少しエッジボイスのような、引っかかりのある声で歌っているんですけど、感情を乗せようと考えすぎると逆にうまくいかないこともあって。
かなりテイクを重ねた部分ですし、そこから3声に展開していくところも、物語が始まる感じがして好きな部分です。
エリー:私は3拍子の曲にあまり慣れていなかったので、ワン、ツー、スリーという独特のテンポ感が難しかったです。
ワルツのようなテンポやサウンドがありつつ、現代風なメロディも入っていて。さらに和のテイストや日本語の鮮やかな表現が組み合わさっているので、どう歌ったらいいのかをすごく考えました。
拍に合うように言葉を乗せるところには難しさもありましたが、情景が目に浮かぶ日本語の使い方をしているので、感情表現はしやすかった印象です。
アンナ:私はソロパートが挑戦だったなと思います。もともと高い音になるほど、自分の声がまっすぐ前に飛んでいきがちなのですが、この楽曲では前に感情を飛ばすというより、自分の中で静かに燃えている感情を歌っているイメージがあって。
Aメロの「玲瓏な月の照らす姿は」のパートなどは、意外とピッチが高く上がるんです。そこを地声で張っていくよりも、もっと深みのある、少し裏声に寄せた歌い方の方が楽曲に合うのではないかと思ったりもして……。メロディが上下に細かく動くところに、自分の乗せたい感情を少しずつ入れていくのが難しかったです。































