
桜河の面白さにつながっていると感じた桜河の“裏腹さ”の多さ──TVアニメ『鬼の花嫁』連載インタビュー第9回 鬼山桜河役・島﨑信長さん
シリーズ累計750万部を突破し、待望のTVアニメ化を果たした和風あやかしシンデレラストーリー『鬼の花嫁』。本作は人間と“あやかし”が共に暮らす日本を舞台に、家庭に居場所をなくしていた女子高生・東雲柚子と、あやかしの頂点に立つ鬼の次期当主・鬼龍院玲夜の運命の恋を描く物語です。
優れた能力と美しい容姿を持つあやかしたちは、社会の中核を担い、絶大な権力を誇る存在。そんな彼らが本能で見つけ出す、たったひとりの運命の相手が「花嫁」です。妖狐の花嫁である妹・花梨と比べられ続け、家庭の中で傷ついてきた柚子。ついに心が折れかけたその日、彼女の前に現れたのは玲夜でした。
「見つけた、俺の花嫁」
その一言をきっかけに、柚子の運命は大きく動き始めます。
今回は第8話までの放送を記念して、鬼山桜河役・島﨑信長さんにインタビューを実施。桜子の兄であり、いつもどこか飄々として見える桜河を、島﨑さんはどのように捉え、演じたのか。作品全体の印象からキャラクターとの向き合い方、そしてアフレコ現場で感じたことまで。たっぷりと語っていただきました。
前回のインタビューはこちら
桜河は「かなり掘り下げがいのある人物」
──まずは、『鬼の花嫁』という作品全体にどんな印象を持たれたのか教えてください。
島﨑信長さん(以下、島﨑):オーディションの際に原作を読ませていただいたのですが、展開だけをかいつまむと、かなり強い力で押し進めていく物語に見えるんですよね。
玲夜というとんでもない力を持った存在がいて、普通の女の子である柚子を見つけて、そこに一族や妹も絡んでくる。設定だけを見ると、勢いの強いお話にも映ると思うんです。
でも、実際に読んでみると、ひとつひとつにちゃんと日々の積み重ねがある。玲夜が柚子に出会う前まで、どんな思いを抱えて生きてきたのか。逆に柚子も、愛されなかった辛い生い立ちがあるからこそ、玲夜の強い愛情表現をより深く受け止められる。
起きている出来事だけを見れば大味に見えるかもしれないのですが、その背景には確かな心情の積み重ねがあって、すべてがきちんとつながっている。そこが面白いなと思いました。
──柚子と玲夜の関係については、どんなところに魅力を感じましたか。
島﨑:玲夜の愛情って、人によってはちょっと重すぎるくらいじゃないですか(笑)。ぐいぐい来るし、かなりストレートな愛情表現も多い。でも、あやかしとしての本能があるし、何より柚子自身が、これまで十分な愛情を与えられずにきた子なんですよね。
だから、僕らの視点では「少し過剰では」と見えるものが、柚子にとっては本当にオアシスのようなものだったんだろうなと感じるんです。
設定だけで押しているわけではなく、ちゃんと人物の背景があるからこそ説得力がある。玲夜の愛の深さも、柚子の受け止め方も、それぞれの人生があって成立しているんですよね。そのうえで、ふたりの関係が“運命”として美しくはまっているところに、この作品の面白さがあるんじゃないかなと思いました。
──そんな中で、桜河というキャラクターをどのような人物として捉えていましたか。
島﨑:桜河は、かなり掘り下げがいのある人物でした。出番としてはポイントごとではあるんですけど、メインの登場人物の中ではかなり大人なんですよね。ただ、その“大人らしさ”をあまり表に出していない人物でもある。
たとえば初登場の場面では、少し軽い感じで接していたりもするのですが、あれも単なる趣味のように見えて、実際はちゃんとその場を見て動いているところがある。
ひとつひとつの言動に、きちんと理由が感じられる人だったんです。表面では軽やかに振る舞っていても、内心では別のことを考えていることがあるし、その逆もある。そうした裏腹さの多さが、桜河の面白さにつながっていると感じました。
──桜河の中には、どこか純粋さやロマンチストな部分もあるように感じられます。
島﨑:あると思います。花嫁の話をする場面も、シーンだけを見ると何か意味深なことを言っているように見えるかもしれないんですけど、たぶん桜河って、本当にロマンチックなことが好きなんですよね。
ただ、立場がその思いをそのまま許してくれない。だからこそ、幻想的なものや、運命の花嫁という概念に惹かれる部分もあるんじゃないかなと思います。表面は柔らかく見えても、実はかなりシビアなことを考えている。
逆に、意味深でミステリアスに見える場面でも、根っこには憧れや愛情があるのかもしれません。表と裏の両方を抱えているところが、桜河の魅力だと思いました。
──役を演じるうえで、特に意識されたことや大切にされたことがあれば教えてください。
島﨑:桜河って、一見すると軽やかで、ちょっと要領のいい人にも見えると思うんです。でも実際は、あまり器用な人ではないと捉えていて。要領がいいからこその不器用さ……みたいなものがある気がしているんですよ。
だから、ただ軽く見せるのではなく、その奥にある大人としての責任感や、飲み込んでいるものがきちんと感じられるようにはしたかった。ただ、それをわかりやすく表に出す人ではないので、「思っているけれど、そうは振る舞わない」という部分は意識していました。
桜河って、たぶん見せたい自分と本当に抱えているものがきれいに一致しきらない人なんですよね。そこが役としての難しさでもあり、面白さでもあった気がしています。
































