
「バイクアクション」×「CODE集結」『ゼッツ』決定版となる夏映画―― 『仮面ライダーゼッツ さよならのミッション』 谷中寿成プロデューサーインタビュー
2026年7月24日(金)より、映画『仮面ライダーゼッツ さよならのミッション』が公開中です(映画『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ 太陽が泣いた日』と同時上映)。
今回はプロデューサーを務める東映・谷中寿成さんのインタビューをお届けします。映画の企画意図から見どころ、シリーズを通しての仕掛けや海外展開の反響について語っていただきました。
仮面ライダーは海外のヒーローと何が違うのか?
──本作の映画企画を進める上で、プロデューサーとして映画で実現したかったことを教えてください。
東映・谷中寿成さん(以下、谷中):最初に考えていたことが2点ありました。
1つはバイクアクションの復権です。そもそも『仮面ライダーゼッツ』TVシリーズでも「バイクアクションに腹を据えて臨もう」ということを掲げてやってきました。それは、海外展開を見据えた時に、「仮面ライダーはバットマンやスパイダーマン、パワーレンジャーと何が違うのだろうか」と考えたからです。その結果、「孤高のヒーロー」であること、「バイクで戦うヒーロー」であることが仮面ライダーのアイデンティティであると思い、それを強調していきたいという意図でした。そして、映画館ではさらにスケールアップしたバイクアクションをお客様に堪能していただきたいと思っていました。スクリーンの大きさもそうですし、音響もテレビとは全然違うので、そのことは上堀内佳寿也監督や脚本家の高橋悠也さんと映画の企画の最初から話していました。
もう1つは、テレビでは対立することも多かった「CODE」のエージェントが、ついに揃って共通の敵に立ち向かうということ。その2つを映画の見どころとして、ストーリーの骨格を悠也さんに考え始めていただきました。
──映画では、万津莫/仮面ライダーゼッツと小鷹賢政/ノクス/仮面ライダーノクスの奇跡の共闘が見どころの一つとなっています。例年の1号・2号ライダーの関係性と違うストーリー展開の構成は、どのようにして考えられましたか?
谷中:「1号ライダーと2号ライダーはこうあるべき」といったことはあまり考えていませんでした。ゼッツよりも前に「擬装」していた人なので、ノクスはある意味で「0号」とも言えると思います。
そのノクスは、大変な経験をして、CODEのことを恨んでいる。教え子がこうなることを望んだわけではなく、結果的に運命を変えるような道に引き込んでしまった。自分自身が贖罪と復讐のためにどういうことをしていくかという、ノクスのキャラクターありきで考えていった結果、「すぐには仲間にはならないよね」という過去の経験に根差した形で展開してきたのがTVシリーズでした。
──ジーク/仮面ライダードォーンに関しても、主人公の万津莫と対峙する関係性のキャラクターでした。
谷中:対峙と言っても、ジークの場合は性格的に悪夢が大好きだから莫やねむに絡んでいくので、キャラクターの掘り下げ方として、ジークとノクスは別々の方法をとったと思っています。
「孤高のライダー」といいますか、最初から脚本の高橋悠也さんが「莫がただ1人のヒーローであることをやりたい」と言っていたんです。悠也さんは群像劇も得意とされていますが、今回はその想いが最初にあったので、ノクスとジークはそういった立て付けになっていきました。
──「CODE」のエージェントの中でも「仮面ライダー」と「ロード」の違いについては、どのように考えられたのでしょうか?
谷中:「仮面ライダー」という呼称自体は劇中では出てきていないのですが、「ナイトメア」の力をどのように使うかということが、「変身」と言うか、「擬装」と言うかの設定面での違いです。どちらも「CODE」のテクノロジーが発端ではあります。
──怪事課のキャラクターの見せ方については、どのように考えられていましたか?
谷中:映画は怪事課の活躍がわかりやすく描けてよかったと思っています。TVシリーズの前半戦、予知夢の頃は2話ごとにミッションが明確で、怪事課がどう絡んでいくか見やすかったと思うのですが、ジークが出てきて縦軸の話になっていってからは、富士見となすかには明晰夢の能力がないから、どちらかというと受け身になる局面が多かったと思うんです。
特に、予知夢の後のTVシリーズではすれ違ったまま最期を迎えてしまった宮本紅覇となすかのストーリーも映画で描くことができて、やりたいことが形にできたと感じています。そこはお客さんにも楽しみにしていただけたらいいなと。そして、犯罪者を追跡するということが本来刑事たちのミッションだと思うので、今回の映画でそれを描くことができたのは本当によかったです。
上堀内監督こだわりのバイクアクションと5.1ch音響
──実際に完成した映画をご覧になって、率直な感想や手応えはいかがですか?
谷中:先日試写でご覧になった関係者は、バイクアクションに関して「これは映画館で観たい」というご感想をくださったので、狙い通りそこは自信を持って送り出せるなと思っています。
特撮作品ですので、映像はもちろんですが、今回は改めて音響までかなりこだわりました。映画館のたくさんあるスピーカーの、どこからどの音がするかということまで、映画館で観ていただくことを想定して設計していますので、身体全体で体感していただけるアクションシーンになっていると思います。
──谷中さんから見て上堀内監督の画作りは、どういった印象を持たれますか?
谷中:十数年も身近な人だから改めて言うと照れくさいですが、すごい才能だなと思います。センスやぎ技術はもちろんですが、構想を実現するために、自分がプロデューサーじゃないかというくらい、色んなスタッフに説明して説得して、予算やスケジュールも「こうすればできるよね」というところまで見事に着地させるんです。
自主映画じゃなく、商業作品でそこまでやって才能を開花させられるのは本当に素晴らしいと思います。コンサルとかもできるんじゃないかと思うくらい、上堀内監督はロジが緻密で(笑)。そして芝居の演出だけでなく、アクションやCGも巧みという、稀有な方だと思います。
──本作は「世界展開」を強く意識した1年だったと伺っています。グローバルな視聴者を意識した挑戦はいかがでしたか?
谷中:最初は世界にどういう広がり方をしていくのかということが見えないまま、「とにかく海外へ!」ということで手探りでやり始めた部分がありました。
が、昨年、放送が始まった直後に海外のイベントに行かせていただいた時に、実際に現地の視聴者の方とお会いして、既に潜在的な仮面ライダーファンとして、待ち望んでいただいていた方が多くいたんだなと実感しました。『パワーレンジャー』などから入って、「なんとか仮面ライダーも公式で新作を見られないものか」という機運があったところに、うまく『ゼッツ』がハマったなという気はしています。好意的な評価が多くて、これが繋がっていくといいですね。
──例年のシリーズより撮影が早く進行していたとお聞きしますが、実際番組企画を進行する上ではいかがでしたか?
谷中:メリットは、映像のクオリティが上がったことです。前倒しなので、その分撮影期間が延びたという意味ではないのですが、それにしても「納品して来週放送」ということではなくなったので、ちゃんと撮影も仕上げもこれまでより時間をかけられる状況が作れました。どの監督ともじっくり取り組めたと思っています。
一方で、当初から、視聴者の反応をリアルタイムで作品に反映させるのは物理的に不可能だと分かっていました。予知夢の展開なども、まだ番組が放送される前から、話題になりそうなことを予め脚本やシリーズ構成に盛り込んでいった結果です。
──物語の前半から後半への大きな転換点となった第24話の「予知夢から覚める」というギミックには驚かされました。この展開はどのようにして構築されていったのでしょうか?
谷中:かなり初期から悠也さんが宣言されていました(笑)。夢を題材にした作品ということで、映画やアニメや漫画に親しんでいる方だったら絶対「これはいつか夢オチする」と思われるだろう、と。あとは「どのタイミングでやるか」ということ。それを一番予想しにくいタイミングであろうシリーズの真ん中で仕掛けようという話になったんです。




























