
高道を演じる際に意識した“バランス”を支えた“さじ加減”──TVアニメ『鬼の花嫁』連載インタビュー第8回 荒鬼高道役・坂 泰斗さん
シリーズ累計750万部を突破し、待望のTVアニメ化を果たした和風あやかしシンデレラストーリー『鬼の花嫁』。本作は人間と“あやかし”が共に暮らす日本を舞台に、家庭に居場所をなくしていた女子高生・東雲柚子と、あやかしの頂点に立つ鬼の次期当主・鬼龍院玲夜の運命の恋を描く物語です。
優れた能力と美しい容姿を持つあやかしたちは、社会の中核を担い、絶大な権力を誇る存在。そんな彼らが本能で見つけ出す、たったひとりの運命の相手が「花嫁」です。妖狐の花嫁である妹・花梨と比べられ続け、家庭の中で傷ついてきた柚子。ついに心が折れかけたその日、彼女の前に現れたのは玲夜でした。
「見つけた、俺の花嫁」
その一言をきっかけに、柚子の運命は大きく動き始めます。
今回は第7話の放送を記念して、鬼龍院家に仕え、玲夜を支える荒鬼高道役・坂 泰斗さんにインタビューを実施。玲夜の右腕として立ち回る高道をどのように捉え、演じたのか。作品全体の印象からキャラクターへの向き合い方、そしてアフレコ現場の空気感まで。たっぷりと語っていただきました。
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玲夜の愛の大きさと柚子の繊細な心の動き
──まずは、『鬼の花嫁』という作品全体の印象を教えてください。
坂 泰斗さん(以下、坂):まず強く感じたのは、柚子と玲夜の関係を描く物語なんだなということでした。かなり早い段階からお互いを思い合っていて、玲夜にとって柚子が特別な存在であることも最初から明確に示されている。
そこから、もともとはまったく知らない間柄だった2人が、少しずつ距離を縮めながら相手を知っていく流れがとても丁寧だなと思いました。こういう関係の深まり方は、他の作品ではあまり見かけない形かもしれないですね。
個人的に印象に残ったのは、登場人物たちが交わす言葉の熱量の強さです。ただ「好き」というだけではなくて、もっと大人な感情というか。
愛の“重さ”と言うと少しネガティブに聞こえてしまうかもしれませんが、その大きさや重みを玲夜から強く感じますし、それに対して柚子が揺れ動く様子もとても繊細に描かれている作品だなと思いました。(玲夜が)かっこいいのに、ちゃんと重いんですよ(笑)。
──玲夜というキャラクターについては、どんな印象を持ちましたか。
坂:面白いなと思ったのは、玲夜が柚子以外には本当に興味を示さないところです。近くにいた高道や桜子ですら、ある意味では玲夜の素顔を完全には知らないのではないかと思うくらい。
実際、柚子以外の相手にはほとんど関心を向けていないように見える場面もありますよね。だからこそ、そんな玲夜と柚子が運命の相手として結びついている設定が、すごくうまく機能している。その描き方がとても丁寧な作品だなと感じます。
──そんな中で、高道というキャラクターをどのように捉えて演じられましたか?
坂:簡単に括ってしまえば「できる右腕」ポジションで、何でもそつなくこなせる人ではあるんですけど、その裏に抱えている感情はかなり複雑だなと個人的に思っていて。玲夜に対する、単純な恋愛感情でもなければ、「(柚子に)取られた」という嫉妬でもない。玲夜こそが一番、頂点であるべきだという大前提のもとに動いている人なんです。
だからこそ、花嫁が現れたことに対する感情も単純な怒りや嫉妬ではなくて、玲夜の柚子に向けるような表情を引き出せなかった自分への悔しさなんですよね。それをちゃんと隠せる人でもありながら、ふとした瞬間に少しだけ出てしまうこともあるのも高道らしいなと。
最初は何を考えているのか読みづらい印象が強いんですけど、抱えているものはとても大きい人なんです。それでいて飲み込んで、一歩引いて立ち振る舞おうとする。そこが彼の強さでもあり、「玲夜のために生きる」という覚悟の表れでもあるのかなと感じています。
──そうした高道の感情をにじませるうえで、意識したことがあれば教えてください。
坂:高道は感情を大きく見せるタイプのキャラクターではないので、やりすぎるとすぐに別の人物に見えてしまうんですよね。だからこそ、表面上はあくまで冷静でありながら、決して無感情ではない、というバランスはずっと意識していました。
ほんの少しの言い方や、息の混じり方……その程度の差の中で見せていくというか。高道の中に抱えているものは確かにあるけれど、それをあからさまにはしない。そのさじ加減は大事にしていました。
──敬愛する玲夜に対する時とその花嫁である柚子に対する時とで、温度感の違いもあるのでしょうか?
坂:玲夜に対しては、しっかり仕えている姿勢がありつつも、どこか柔らかさがあるように意識していました。冷たくクールな右腕というよりは、人間味のある、少し丸い印象ですね。
柚子のことを「不釣り合い」と思いつつ、認めている部分があるのは間違いないので、必要以上にとげとげしくならないように気をつけていました。途中で柚子に「(花嫁が働くことは)私は反対です」と伝える場面もありますが、あれも攻撃というよりは、思わず本音が漏れてしまったくらいの温度感で捉えていて。
相手によって大きくがらっと変えるというよりは、高道という人物がもともと持っている人間味や丸さを、基本のラインとして保つようにしていました。
──音響監督からのディレクションで印象に残っていることはありますか?
坂:役者さんによってアプローチはさまざまだと思うんですけど、僕は収録前に、原作や台本など、出ているものをしっかり読み込んでから臨むタイプなんです。
そうすると、高道がアニメで最初に登場する場面でも、この先の展開を知っているぶん、「実は内面にはかなり強い感情があって、それを汲んだうえでこのセリフを言っているんじゃないか」と、どうしても深読みしてしまうところがあって。
それを短いセリフの中にほんのり忍ばせてみたところ、「まだそこは出さなくて大丈夫です」とディレクションをいただきました。ただ、「まだ」ということは、自分が感じた感情の方向性そのものは間違ってはいなかったのかなとも思えて。おかげで、感情が表に出る第6話ではかなりスムーズに入れたように思います。
































