
「作品も曲も、長く愛してほしい」『ヤニねこ』だからこそ生まれた「なんもねえ」と「煙とブルー」──忘れらんねえよ・柴田隆浩×ネクライトーキー・朝日が語る作品と音楽が“ちゃんと接着する”ということ
柴田隆浩も『ヤニねこ』の住人?
── 『ヤニねこ』は、お二人とも以前から読まれていたのですか?
柴田:実はこちらは知らなくて。でも漫画がすごく好きなんですよ。ただ、基本的に僕はスピリッツ系が好きで『ヤンマガ』はそんなに通ってなかったんですよね……って、講談社の方がいる前で言うのも申し訳ないのですが(笑)。
今回お話をいただいて「じゃあもう全巻買って読もう」と。で、読んでから楽曲を作りました。朝日くんはもともと知ってたんだよね?
朝日:はい。「にゃんにゃんファクトリー」のお一人、荒井小豆さんという方のファンで。Web漫画を自主制作していた頃からずっと追いかけていたんです。
柴田:相当だね。じゃあ、めっちゃ嬉しいよね。
朝日:いや、もうめちゃくちゃ嬉しいっす。Twitterも昔からフォローしていて、まだ『ヤニねこ』がバズる前の苦悩ツイートも見てるんですよ。だからこそめちゃくちゃ嬉しくて。
柴田:エモっ!
朝日:でも『ヤニねこ』でバズったのは結構意外でした。ギャグのキレは、もともとめちゃくちゃ良い人なんです。最初はゾンビもの(『ゾンビのバカヤロー!!!』)を読んだのがきっかけだったのですが、ニュアンスとしてはそれに近いものがあるんですよね。ゾンビパニックが起きたあと、そこでどうにかこうにか暮らしてる3人組がいて、その3人のやり取りを楽しむ……といったお話で。
柴田:なるほど。『ヤニねこ』と通じるものがあったんだね。
朝日:特に『ヤニねこ』もそうなんですけど、あの人の漫画って、キャラが“自分のキャラを降りない”というか。「このキャラならこれをやりそう」っていうことを、めちゃくちゃまっすぐやってくれるんですよ。そういうキャラクターの幅が広くて良いなと思っています。
主人公のヤニねこはヤニカスだけど、妹思いだったりする。ほかにもカンサイや小説家を目指してる字書きねこ、エロ漫画家のおちんぽ達郎とかがいて。それぞれちゃんと質感が違うというか、人間味が強いんですよね。ちょっと言葉にするのは難しいんだけど……。
柴田:当てずっぽうで作られた感じがしないんだよね。本当にリアリティがあって、立体的な人格を持ってる。
朝日:漫画によっては、言葉回しとかを見てると「このキャラもこのキャラも、同じ人が作ってるんだな」と感じることもあるじゃないですか。でも『ヤニねこ』は、それぞれがちゃんと別の人として立ち上がってる感じがあって。
柴田:それって漫画家の先生のすごいところだと思うんですよ。たとえば井上雄彦先生もそうで。要は一人の人間の脳みそから出てるわけじゃん。それなのに、なんであんなに明確に人格がそれぞれ違うんだろうって。信じられなくて。
朝日:あれはすごいっすよね。
柴田:桜木花道と木暮(公延)先輩って、まったく人格が違うじゃん。それが一人の人間の脳みそから出てるっていうのが……しかもその二人に収まらず、とんでもない数のキャラクターがいてさ。
朝日:『SLAM DUNK』がすごく良いのは、ちゃんとそのキャラのまま好きになれるエピソードがあるところなんですよね。
柴田:木暮先輩であれば、陵南戦でスリーポイント決めたりとかね。
朝日:そうそう。ちゃんと、その人らしいまま好きになれるエピソードがズバッと来る。もちろんキャラが立ってるということもあるけれど、そのキャラのまま、ちゃんと深く好きになれるエピソードがある漫画っていいなと思っています。俺は『ヤニねこ』にもそれを感じるんですよ。
柴田:わかる。俺はカンサイがかなり好きなんですけど、漫画で読んだときに「この人の面白くなさをアニメ化するの、マジで難しいんじゃねえか」と思ったんですよ。でも第3話の予告でカンサイがずっとしゃべってて、それがマジで面白くなくて面白くて(笑)。「すごすぎる」と思いました。声優さんと監督というか、演出した人がすげえなって。カンサイの“面白くなさ”をマジで再現してて、解像度が高くて感動した。
朝日:本当に素晴らしいです。
── 漫画家さんが一人でさまざまなキャラクターを生み出すのがすごいという話がありましたが、お二人も曲によって色々な脳みそを使って書かれているのでは?
柴田:バンドマンは逆に自分のことしか書いてない説もあります。主語が自分だから。たまに小説的に書ける人とかいるけど「あれ、でも結局自分のこと言ってんじゃん」ってなるので。
朝日:確かにそうですね。
── 「なんもねえ」はどうですか?
柴田:めっちゃ俺のことですね。殺したい相手もいますし、■■ってる相手もいますし(笑)。多分、好きな子にはバレてると思いますよ。
朝日:そんなことあります!?
柴田:バレてると思う。「これ、私のこと書いたな」って。ざまあみろ。
朝日:柴田さんは『ヤニねこ』の世界にいても、そんなに違和感ない気がするんだよな……。
柴田:いやいやいや、俺は綺麗好きだから(笑)。あいつらとは絡まないから。
朝日:でも、そういう人もいそうなのがいいんですよね。例えばカンサイはちょうどいいヤニカスのラインを作れているじゃないですか。全員が同じ色に染まってない。ちゃんと「こいつはこういう性格なんだ」って決まってて、それがぴったりハマってる。
── ちょっと話を戻してしまうんですけど、柴田さんが楽曲について相談されていたというお話もありました。どんなときに相談されたんですか?
柴田:ネクライトーキーがエンディングをやるって知って「朝日くん、どういう曲作るんだろう」ってめっちゃ気になったんだよね。
朝日:で、聴いてもらって。
柴田:飲みながらね。聴いてみたら全然タイプが違った。それでお互いに「いいね」みたいに褒め合って。で、そのあとは人の文句で盛り上がって(笑)。
朝日:帰り際ぐらいに「柴田さんですよね?」って声をかけられてましたよね。
柴田:そう(笑)。あれだけ人の文句言ってたときに限って。俺、そういうことがたまにあるのよ。




































