音楽
忘れらんねえよ×ネクライトーキー『ヤニねこ』がつないだ必然の出会い【インタビュー】

「作品も曲も、長く愛してほしい」『ヤニねこ』だからこそ生まれた「なんもねえ」と「煙とブルー」──忘れらんねえよ・柴田隆浩×ネクライトーキー・朝日が語る作品と音楽が“ちゃんと接着する”ということ

「俺も、しっかりバズりたいと思ってるんです」

── 「煙とブルー」はおしゃれでありながら、アニソンらしさとバンド感がぎゅっと詰まっているように感じました。またどこか懐かしい雰囲気もあって。取材前の雑談でもそのあたりのお話をされていましたが、改めてお伺いしてもよろしいでしょうか。

柴田:そう、俺その話が聞きたかったのよ。やっぱ狙ってたんだね?

朝日:そうですね。もともと好みでもあるんです。ちょっとクラシックなニューウェーブパンクというか、ちょっと古臭いシンセの音を意識的に入れていて。普段から、a-ha(「テイク・オン・ミー」でデビューしたノルウェー出身のロックバンド)やYes(プログレッシヴ・ロック・バンドのレジェンド)を聴いていたりするので。

そんなちょっと昔っぽいシンセの音って、これまでのアニソンでも使われてたイメージがあるんですよね。『うる星やつら』とか。それに加えて、歌謡曲チックな雰囲気もやっぱりアニソンと相性がいいなと思ってるんです。

あと俺も、しっかりバズりたいと思ってるんですよ。でも、後追いは恥ずかしいじゃないですか。だから、今バズってないものでバズりたいんです。

柴田:わかるよ、わかるよ。

朝日:ちゃんと古さは残しつつ、昔すぎないギターサウンドをバンドらしく入れています。リファレンスを意識しすぎると「それはもうみんなやってます」というところまで行ってしまうことがあって……。だからそこにちゃんと自分の雑味を入れて、ネクライトーキーらしくする。それによって生まれる、どこか漂う懐かしさが刺さればいいなって。

柴田:なるほどね。懐かしさは、リファレンスから漂うぐらいで。でもパッケージとしては完全にオリジナルなものになっていると。

俺が感じた懐かしさだから全然違うかもしんないけど……『ふしぎの海のナディア』(庵野秀明氏が総監督を務めた、1990年〜91年放送のTVアニメ)が好きで、オープニング曲「ブルーウォーター」も好きだったんですよ。一話を見終わって、エンディングの「Yes, I Will...」を聴くと、妙に寂しくなるんだよね。あの青春物語に俺もいたつもりだったのに「あれ、一人になっちゃった」って。しかも放送時間帯が夜(毎週金曜19:30〜20:00)で辺りがシーンとしてたから、余計に寂しくなるんだよね。「煙とブルー」は、それと同じ感覚があって。

朝日:わかります。それが「また来週も見たい」という気持ちにつながるんですよね。そうなると、曲もその作品の思い出と結びついていくじゃないですか。それってすごくいいなと思っていて。

思い出と結びつく曲ってアニソンだからこそのものだと思うんです。店内で流れている曲とはまた違って、映像やストーリーを見て「良かったな」「面白かったな」と感じた気持ちと曲が一緒に残っていく。それはやっぱりアニソンならではの良さですよね。

柴田:その物語を好きな人たちの思い出の一部になれるってことだもんね。そういうことか。だから、作品とちゃんと接着してない楽曲はやっぱり流行らないし。でも、ちゃんと接着してると愛されるよね。

……めっちゃいい話だな。アニソンもっとやりたい(笑)。

── ぜひやってほしいです。

柴田:合う、合わないはあると思うんですけどね(笑)。

朝日:そうですね。自分のフィールドじゃないところでバズった人の大変さも、やっぱりあるなとは思います。例えば、Mr. Bigのことを知らずに聴いていて「メタルバンドだったんだ!」と驚く人もいたと思うんです。

柴田:うんうん。

朝日:やっぱりハマるタイアップってすごく大事だなって。今回はめちゃくちゃいい恵まれ方をしたなと思います。

── エンディングについてももう少し伺いたいのですが、先ほど少しお話に出たように、サビの〈嫌に〉が“ヤニ”に重なっていたり、〈怠すぎたり〉の中に“タール”がさりげなく潜んでいたりと、そうした言葉の忍ばせ方もたまらないなと。

柴田:いいっすよね!

朝日:ありがとうございます(笑)。でも曲単体で聴いても良いものであってほしいじゃないですか。タイアップ元を万が一知らなかったとしても、曲として変ではないものにしたくて。それでいて作品に対するリスペクトも込めたくて……。

実は、作品のセリフから歌詞を引用しているところもあるんです。第2話に「麻の手触り。反射する夕日。遠く響く汽笛。私はここから出られない……」と、ヤニねこが壁に向かってボソボソ喋るシーンがあって。そこからAメロの〈反射する夕日になって窓を抜ける〉という歌詞につなげています。2番の同じ箇所にも〈遠くで響く汽笛がポッポー〉としれっと引用していて。

柴田:めっちゃオシャレ。ファンはたまらんですね。

朝日:元ネタを知らなくても、聴いたときにちゃんと歌詞として成立しているのが理想ですね。2番のサビ頭にも〈ニコニコして誤魔化したり〉と入れていて、そこにも“ニコチン”がちゃんと入っているんです。「ヤニ」「ニコチン」「タール」で、ちゃんと韻を踏んでいます。

柴田:本当だ! すげえな、オシャレ。

朝日:好きなんすよね、そういうこっそりしたやつ。SNSでは言わないけど(笑)。

柴田:そう、言わないのがかっこいい。

── ちなみに朝日さんはさきほど、オープニング映像に出てくるシーンのチョイスについて「タバコを吸いたくなる」というお話をされていましたが、タバコはやめられたんですよね?

朝日:やめたんですよ。今年の3月ぐらいからずっと吸ってなかったんですけど。

柴田:うん。

朝日:誕生日にベースの藤田がワンカートン渡してきて。「やめた」って言ったら「吸え」と。

柴田:どんなプレゼントだよ(笑)。まさかのメビウス(ヤニねこが愛煙する銘柄)だったりする?

朝日:いや(前から吸っていた)金マロをくれました。

── それでは今は……?

朝日:復活しました。

── (笑)。私も元喫煙者なのですが、見ているとやっぱり吸いたくなるんですよ……。

柴田:やっぱりそういうものなんですねえ。

朝日:あれ見て吸いたくなるのは重度の人です!(笑) ヤニねこが言ってた、新品のタバコから5本ぐらい吸って100円ライターがスポッと収まるのが「タバコの完成形」みたいな話も良いですよね。

柴田:俺、吸わないからわかんないんだよね。

朝日:あれ!? 俺の中の柴田さんって、タバコ片手にめちゃくちゃ管巻いてるイメージがありました(笑)。確かに吸ってるところ見たことないな……。

柴田:俺ね、タバコ吸ったことないの。ただ営業をやってた時期が5年間あって、そのときはタバコ会社さんが担当だったんだよね。だから縁はあるんだよ。

── そういう意味では、今回の曲を書くうえでも、そこは全然問題なかったんですね。

柴田:そうですね。作中にもアルねことかいますし、タバコ以外で終わってる人たちもいるじゃないですか。俺は恋愛がまるでできないクズですから、特に大家さんには結構感情移入しています。

── 具体的には、どのような感情移入を?

柴田:なんだろう……自分に自信がないところ。

朝日:いいっすよね。めちゃくちゃ性欲強いのに“ちゃんとしよう”と頑張ってて。

柴田:そう。実はモンスターなんです、あいつ(笑)。

朝日:(笑)。それでも一生懸命に常識人ぶってるじゃないですか。モテない男はああいう感じになっちゃうんですよね。

柴田:なるんだよね。その感じがまたモテないにつながっていく。すごくわかります。

あと大家さんは中途半端に良い人で、男性的な魅力がない……これは俺じゃないかと(笑)。だから別にタバコを吸わなくても『ヤニねこ』の世界観にしっくりきていました。

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