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『楽園追放 心のレゾナンス』11.13公開前リレーインタビュー連載  第5回:アニメーションスーパーバイザー・荻田直樹【前編】

『楽園追放 心のレゾナンス』11.13公開前リレーインタビュー連載 第5回:アニメーションスーパーバイザー・荻田直樹【前編】|3DCGアニメの“硬さ”を崩す鍵は「タメツメ」と顔

板野一郎さんは基本的にスーパーアニメーターなんだと思います

――当時、荻田さんにとって、『楽園追放』は、すごい衝撃だったのですか?

荻田:衝撃でしたね。ただ、公開された時期が、グラフィニカさんの面接日くらいだったんですよ。それもすごいタイミングなんですけど。劇場で売っていたBlu-rayも買って、きっちりキメて面接に行きました(笑)。

でも、間違いなくそこで時代は変わったし、『楽園追放』がなければ、3DCGアニメがこういう方向には進んでいなかったような気がします。

――どこがどう凄かったのかを言語化できたりしますか?

荻田:これはあくまで個人の主観になりますが、キャラクターのレンダリングがセル調になっただけだなという感覚が、それまではあったんです。それこそ作画アニメでいう“タメツメ”が弱かったり、演出が3D寄りだなと思っていて。自分は作画アニメが大好きなので、3DCGでそれができたらいいなとずっと思っていたんですけど、そこにハマったのが『楽園追放』でした。

あとは顔ですね。今作でも特に気をつけているんですけど、3Dって基本的には用意された形にしかならないし、用意されたものしか見えないんです。だから3D作品はよく「硬い」と言われてしまう。そこをどれだけ崩せるかが肝だと思っていて、その崩しが一番わかりやすく出るのが顔ですね。

――「硬い」についても、もう少し詳しくお聞きしてよろしいでしょうか。

荻田:これも“タメツメ”の話になるんですけど、3Dでのアニメーションの付け方って、キーポーズがあれば、3Dソフトが自動的に中割りをしてくれるんです。そうすると均等に絵を割ってしまうので、それが硬く見える原因のひとつになります。

アニメで言うと動画の部分ですね。そこで、中割りのポーズにちょっと変化をつけてみたり、均等でなくしたり、細かいところをしっかり考えるべきなんですね。そのあたりが当時はまだそこまで詰め切れていなかった印象があります。最近は皆さん気をつけていると思うんですけど、以前はソフトに頼りがちなところがあったんです。

自分もグラフィニカにいたので『楽園追放』のあと、板野一郎さんにいろいろ教えてもらいました。、板野さんが教えてくれるのは、中割りをとにかく気をつけようということで、秒単位での時間の使い方について教えてくれたので、そこで自分の意識も変わったと思います。

――つまり“タメツメ”は、要するにゆっくり持ち上げて、早く落とすみたいな、中割りの幅を狭くしたり広くしたりすることで、アニメで緩急を表現することで、中割りを工夫することでだいぶ見え方は変わりますよね。

荻田:全然変わりますね。たとえ1フレームでも見える動きって変わるので、ただ滑らかに動いているのと、カッコよく引っかかって動いているものの違いは大きいと思います。それもキャラクターの性格とかで、感情や動きも変わってくるので、そこも考えなければいけません。

――それも作画アニメの歴史の中では、絶対にやってきたところですからね。

荻田:そうですね。あと、3Dのメリットとして、作画アニメは最初に原画さんが描いて、動画さんが動きをつけますが、3Dソフトだと、最初に手を付けた人が、動きまでを担当するので“タメツメ”を一貫して見ることができます。

ただデメリットとして、作画は枚数に制限があるから、1枚1枚こだわって描けますが、3Dは自動的に割られていくから、1枚1枚のカットのこだわりが希薄になってしまうんです。なのでそこまで考えが至っていないと微妙なカットになるし、ダラダラ時間だけがかかってしまう。そこも難しいところなんです。

――ある程度頭の中で計算ができていないといけないんですね。

荻田:経験を積んだり、いろいろ観察をしていると、どのくらいのタイミングで、どのくらいの尺で動くのかがわかってくるので、その経験は大きいと思います。

『楽園追放』はコマ割りがすごく良かったんですよね。アニメは1秒24フレームで構成されていて、3フレームに1回動くから8枚の絵が必要というのがデフォルトなんですけど、それを均等にしたらどうしたってダレるんです。動きによっては1コマ刻みにしたり、2コマ刻みにしたり、それを混ぜたりすることによって、ダレない映像になる。前作で板野一郎さんがそこを見ていたからこそ、すごく良いと感じたんだと思います。

――板野さんは、その影響力はすごかったんですね。

荻田:もちろん、板野サーカスが代名詞ですけど、あの方は基本的にスーパーアニメーターなんだと思います。

――でも、そうやって衝撃を受けた作品の続編に携わるようになるというのも、すごい機会ですよね。

荻田:当時は『楽園追放』が終わった直後で、しかもハッピーエンドできれいにまとまっていたから、すぐに続編が作られることはあまり考えられなかったし、携わることとかは考えていなかったですけど、結果巡り巡ってこうなるのも、不思議なものだなと思いました。

――野口さんの話では、続編を作るにあたり最終的に自社でやることになったという経緯を話されていました。

荻田:そうなんですよ。最初人がいなくてめちゃめちゃ大変だったんです(笑)。そこから人を集めて、外の人にも声をかけてスタートしているんです。あと、仕様を固めたり、フローを固めたり。本当に「この時代にゼロから作ることってあります?」と思いました(笑)。こんな経験は絶対にないなと思って、ちょっと楽しかったです。

――そのぶん、自分で決められたことも多かったのでは?

荻田:そうですね。でも、それも良し悪しで、今回ゼロから作っているので、各社からベテランが集まってくれているんですけど、それぞれ流儀が違うんですね。そこは話し合って合意を得て決めなければいけないので、最初はゴタゴタしたところはありました。

一番課題になったのはツール周りで、どこの会社もある程度作品を経てきているので、それまで培ってきたツールとかノウハウとか3Dモデルとか、たくさんの積み重ねがあるんです。でも、うちは基本ゼロからですし、東映アニメーションでは、3DソフトがMayaで、今回使っていて、自分が慣れ親しんでいるのは、3ds Maxなんです。なので、東映アニメーションに欲しいものをもらおうとしてもないんですよね(苦笑)。

――どうしたのですか?

荻田:ただ、奇跡的に欲しいものを作れる人が見つかったんですよ。その人が来てくれなかったら、もっとしんどかったと思います。

――では次回は、『楽園追放 心のレゾナンス』の制作について話を聞かせていただこうと思います。

[文・塚越淳一]

 

作品情報

ムビチケ発売中!

楽園追放 心のレゾナンス

楽園追放 心のレゾナンス

あらすじ

アンジェラ バルザックは 知ってるよね―?

人類が肉体や地球を捨て、電脳世界ディーヴァで暮らすようになった西暦2400年。フロンティアセッターのハッキングを発端に、ディーヴァ捜査官アンジェラ バルザックの叛逆が起こる。事件時彼女にハッキングされ、地上に脱走した大勢の保安局のエージェントは、マテリアルボディと共に、パーソナルデータも収納するハードウェアを強奪。その姿・存在を地上に潜め、ディーヴァへの脅威と化した。

アンジェラにより、もたらされた”彼ら”の名は、
”フォールン”

ディーヴァからの捜索命令を受け、ガブリエル達エージェントは、フォールンの正体を追う。未だ地上に遺るナノハザードの影響を乗り超え、彼女達は、フォールン、そして、その謎に辿り着けるのか。

『楽園追放』の物語が、今、再び動き出す−。

キャスト

ガブリエル:佐倉綾音
アルマ:早見沙織
ダネル:青山吉能
ラグエル:天城サリー
ぺネム:諸星すみれ

(C)東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ2

 

(C)東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ
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