
「そんなやわらかくて、丸い世界観を皆さんにも感じていただけたら」──アニメ『マロニエ王国の七人の騎士』七人兄弟インタビュー前編 高梨謙吾さん、谷川誠さん、石谷春貴さん、猪股慧士さん
「最初に作ったものでやるしかない!」
──演じる時に意識した点をお聞かせください。
高梨:眠くないという人物像を捉えようとした時、長男ということで兄弟のまとめ役なので、誰よりも大人びていて、俯瞰(ふかん)で見ていることが多いなと。
弟たちや王城の人たちなど関わる人によって対応や態度を使い分けていて。シーンごとに誰と会話や対応しているのかを意識しながら演じています。あとはマイク前でみんなの声を聴いて、感じたままにやり取りをしようと心がけています。
また、収録ではあまり細かいディレクションをいただくことがなくて「基本的にオーディションの時点でやったものでやっていただければ」という感じで。僕も最初はそこを目指してやらせていただきつつ、収録を重ねていく中で変化が生まれていった感覚です。
そして作品全体の大きなテーマの一つである恋愛模様はなるべく繊細に描きたかったし、視聴者の皆さんにキュンキュンしてもらおうとか(笑)。わかりにくい言葉や仕草だったとしてもわかりやすさを残せたらいいなと思いながら演じた部分もあります。
個人的に好きなのが眠くないが大人たちと話すシーンで、特に城代様の補佐役としてそばで育ちつつ、もしかしたらお父さんになるかもしれない人であり(笑)。国の政治の中枢に関わっているところはおもしろいですね。城代様をはじめキャストの皆さんも豪華なので、やり取りできるのも楽しいです。
──次は博愛についてお願いします。
谷川:博愛はわかりやすい人たらしで、自由奔放で、恋愛大好きで、自分自身でも「LOVE様」と称しているほど。でも最新刊まで読むと、繊細な心も持っているし、相手の心に寄り添える、愛情深いキャラクターなんだなというのが僕の中の印象です。チャラチャラした薄っぺらい、表面上だけのキャラクターにならないように、ちゃんと愛情を持って演じようと常に意識しています。
僕もそれほどディレクションはありませんでしたが、1つだけ印象に残っているのは、1話の弟を気に掛けるシーンで、博愛がどアップで映るところは「もっと大きくやって」と。「まだ足りなかったのか。もっと甘くやっていいのか」と思ったし、まだまだ僕はLOVE様になり切れていないんだなと思いました。そこから収録が進んでいって、段々、僕の体が博愛になじんでいって……なじむって言っていいのかな?(笑)
石谷:いや、いいんだよ。
高梨:のどと声がなじんだという意味だよね。
谷川:そうそう。声の出し方もなじんできて、最終回に向かってどんどん進んでいきますが、終盤に近付くにつれて、LOVEパワー全開になればいいなと思っています。
──暑がりやはいかがですか?
石谷:暑がりやは眠くないとは逆で、言葉の裏がなくて、感情や意味もすべて表に出てしまっているからこそ、明るいし、「コイツのこと信じられるな」と思われるキャラクターだと思うんです。
なので裏がないところとわかりやすい性格を最初から出さないといけないので、1話からガッチリ作って収録に臨みました。なじむのを待たずに、自分が思うものでやってみて、違ったら音響監督の(明田川)仁さんが言ってくださるはずと。やってみたら特にリテイクもなかったので、最初に感じたままやっています。
でもアニメでは原作にないシーンが意外に加えられていて、僕が原作で感じた暑がりやの印象と違う表情もあって。
例えば1話の「おもしろそうじゃん」というセリフで意識的に大きめにやったらOKだったので「そういう面も出していいのか」と思えて、更に幅が広がった気がします。暑がりやは憎めないし、何を言っても悪意がないキャラクターを作っていけたらと意識しています。
──最後に寒がりやについてお願いします。
猪股:原作では寒がりやは口には出していないつもりでも、心の声はモノローグで全部だだ漏れてしまっているので、読者の方はすべてお見通しなわけですが、アニメでそういう部分をどう出したらいいのか悩みました。
小さくなり過ぎてもよくないし、強く出るわけにもいかないし、そのさじ加減が難しいんです。ディレクションについてもみんなと同じように僕もあまり言われていなくて。
──事前に作ったものでOKなんて、あまり聞かないですよ! みなさん流石ですね。
(4人とも照れ表情になり)
猪股:いやいや。
高梨:それほどでも。
石谷:えへへへへ。
谷川:みんな、チョロすぎるだろ!(笑)
猪股:でも信頼して、僕らが出したものから考えてくださって。この作品のオーディションはテープ審査の後、スタジオで行われる二次オーディションがなかったので、役を決めた時点からイメージが固まっていたのかもしれません。
正直、七人もいるので「声質が重複している人がいるから少し変えて」と言われるかもしれないという不安もありましたが、「最初に作ったものでやるしかない!」と腹を括って堂々とやらせてもらいました。
──七人とも人との出会いから考えた方が変わったり、意識していなかった感情が芽生えてくるので、回を重ねるごとにお芝居が変わったとしてもキャラの変化や成長として受け止められるのかもしれませんね。
高梨:そうですね。僕ら演者も七人が集まって収録することで、それぞれのお芝居を聴いて、自分も演技の方向性を調整していく、引っ張ったり、引っ張られたりして、良い相乗効果があったのではないでしょうか。
キャスト陣も大好きな本作の見どころは?
──アニメの全体的な見どころとご自身のキャラの見どころ、それぞれご紹介をお願いします。
猪股:ファンタジー世界を作り出しているのは画だけではなく、作中に流れる劇伴も素晴らしくて、ケルト感があって耳心地がよくて、より世界観に没入できると思います。
また七人兄弟のそれぞれ違う性格や考え方などを楽しんでほしいです。寒がりや君の……つい君付けしたくなっちゃう(笑)、葛藤しながらも前向きに頑張ろうとする姿を温かく見届けていただけたらと思います。
いよいよ放送が近づいてきました。NHKで土曜日の夕方に全国で放送されるということで、ぜひたくさんの方に観ていただいて、楽しんでください。
石谷:優しいファンタジー作品がとても好きなんですが、最近あまり見かけない気がしていて。なので、この作品に懐かしさを感じました。
そして放送前の1話の映像を視聴させていただいた時、OPから本編、そしてEDと流れていく中で一つの統一感があって、画の色のタッチもすごく優しくて。このアニメに関わる皆さんが原作を大事に作ってくれているのをとても感じましたし、演者の僕らも1シーン、1つのセリフごとに大切に演じさせていただきました。
アニメを観ていただいたら画や音楽、お芝居、画面の隅々までどこを切り取っても愛情を感じていただけると思うので、受け止めていただけたら嬉しいです。
暑がりやの活躍はもうちょっと先になりますが、要所要所で見られる個性や他の兄弟たちとの違いもわかりやすいと思います。そんな個性的な暑がりやがどんな人と出会い、どう変わっていくのか想像しながら観てください。
収録現場では毎回、「この後、どうなるんだろうね?」と作品について話しているくらい僕らも大好きな作品ですので、皆さんにもぜひ観ていただきたいです。そして原作ファンの方、未読の方もマンガと一緒に楽しんでください。1話の放送をお楽しみに!
谷川:相手を思いやる気持ちや愛する気持ちの大切さ、素晴らしさを改めて教えてくれる、気付かせてくれる、心温まる作品だと思います。観終わった後に身近な家族や友人だけでなく、「人に対して優しくしなくちゃ」と思ったり、行動に起こしてもらえたら嬉しいです。
博愛は、序盤ではまだ出番が少ないので、見どころは登場するシーンすべてです。全部のセリフに特上の愛を込めていますので、皆さんには「LOVE」を感じていただければ(笑)。
アニメ化されたことでキャラクターが動いて喋ります。原作ファンの方の好きなシーンや好きなセリフが体感できますので、ワクワクどきどきしながら放送が始まるのを待っていてください。
僕の1話を観た感想は「すご~い! こうなるんだ!?」でした。どうなったのかは放送で確かめてください。
高梨:アニメを観て、個人的に刺さったのは背景がとても素晴らしくて。原作では背景が精彩に美しく描かれていたので、アニメではどう描かれるのか楽しみでしたが、実際に観てみたら原作に準拠しつつ再現されていました。
国ごとにテイストが違っていますが、スタッフさんがモデルになっているスペインへロケ班に行かれたことで、リアルな風景や風土、空気感などが映像に落とし込まれているのが素晴らしいと思ったので、僕のオススメの見どころポイントの1つです。
眠くないとしては、七人兄弟のトップバッターでフィーチャーされますが、七人それぞれに少女マンガ原作らしい感情の大きな起伏や壁や障害などを乗り越えた先にカタルシスが待っています。
我々キャスト陣もスタッフの皆さんも最高のカタルシスをお届けできるように一丸となって頑張っていますので、大いに期待していただいて、パズルのピースを一つずつはめていくように楽しんでいただけたら。
原作ファンの方だけでなく、未読の方も、年齢性別を問わず、楽しんでいただけるアニメになっています。放送曜日も時間帯も観やすくなっていますので、お子様がいらっしゃる方はぜひご家族で楽しんでいただきたいですし、できるだけたくさんの方に観ていただいて、輪が広がっていくことを願っています。
作品情報
あらすじ
「眠くない」「博愛」「暑がりや」「寒がりや」「獣使い」「剣自慢」「ハラペコ」――それぞれ異なる資質を持つ彼らの大義は、ただひとつ。
「いつか、かっこよくお姫様を助けること!!」
やがて兄弟たちは、七つの国へ“大使”として旅立つ。未知の土地で彼らを待ち受ける出会いと試練、そして宿命とは――。
中世風の異世界を舞台に描かれる、恋と冒険のファンタジーロマンス、ここに開幕!
キャスト
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