
「片田舎のおっさん、剣聖になるII」平田広明さん&BLUE ENCOUNT・Vo.&Gt.田邊駿一さん、Dr,高村佳秀さん鼎談インタビュー|エンディング主題歌「未完成」が生まれた背景とは? 田邊さんと高村さんが平田さんに聞いてみたい事にも注目!
平田さんにBLUE ENCOUNTのおふたりが伺ってみたいこととは!?
──そんな平田さんに、おふたりから伺ってみたいことはありますか?
田邊:同じく喉を使う仕事の歌手という目線から気になっているのですが、喉のケアの仕方って……?
平田:してないんです、ほぼ全く。する人もいるんだろうけれど、僕は冬場、湿気に気を遣ってマスクをしたり加湿をしたりするぐらいで。風邪をひいて咳をしていても意地になって煙草は吸いますし。
田邊:煙草もお吸いになられるんですね。昨日もお酒を楽しまれていて、めちゃくちゃ勇気をもらえます!
平田:一昨日飲み過ぎたので、昨日は少なめでした。それでも弱くなりましたけれども。駄目ですよ、歌の人は絶対にケアしないと。
一同:(笑)。
平田:ある舞台で共演したミュージカル俳優の方が、本番一時間前から楽屋で凄い声量で発声練習をしている方がいたのですが「本番前にそんなにやって疲れないんだろうか?」と思いながらその脇を通って喫煙所に向かったりしてね……。
田邊:(笑)。平田さんと同年代の声優さんたちもお酒が好きな方は多いんですか?
平田:人それぞれです。僕より年上だろうと若かろうと、飲むヤツもいれば弱いヤツもいます。ただ、男で強い奴と飲むより、女性で強い方と飲む時の方が気を付けないと潰されますね。女で酒に強い方は「ザル」というより「ワク」だって言いますから。
高村:確かにウチの姉、めっちゃ強いんですよ。
田邊:急に突っ込んでくるなよ(笑)。
平田:そういう先輩に「平田、行くわよ!」と言われたら、僕は「はい」って返事をするしかありませんでしたからね!
田邊:時代だなぁ。
平田:今の若い人は煙草も吸わないですしね。昭和は「お前飲めねえのかよ」「飲めなきゃダメだ」という時代でしたから、そこで鍛えられたところはあるかもしれないです。昔の煙草仲間たちもみんな止めてしまったので、いまではひとりきり。一昨日飲んだ時も作家さんに「平田さんが居ないと煙草が寂しい」と言われました。ようは喫煙所仲間として僕が欲しい訳で……平田さんだけは煙草やめないでくださいなんて言われましたよ。
田邊:僕らもインディーズの頃は縦社会の九州人なので、凄く鍛えられました。お酒を飲むと煙草も吸いたくなりますけれど、今はほとんどが分煙ですからね。なんだか凄くお酒が飲みたくなってきました!
平田:なんかしょうもない話になっちゃった。
──(笑)。高村さんはいかがでしょうか?
高村:声だしなどをあまりされないとしたら、収録する時は現場に入って即お仕事になるんですか?
平田:作品にもよりますが、声優の仕事はそんなに絶叫しないですからね。舞台は腹から声を出さなきゃならないので、発声練習をしている方もおられましたけれど。僕は準備運動で捻挫したり発声練習で声を枯らしたりするので、本番まで温存するようにしていました。ただ、昔は喉が強かったので心配なかったのですが、今はもうジジイなのでそういうことをやらなきゃ駄目かなという気はしています。…気だけはね。
高村:僕からすると、もの凄く芯のある目の前に張りつくような声だという印象があって不思議でした。
平田:それはもう、ベリルはずっとぼやいてばかりだから、マイクに口をほとんどくっつけるようにして喋っていただけなんですよ。
田邊:僕はこの作品を全話イヤホンで音を聴きながら見ていたのですが、平田さんの声の臨場感からベリルの心情がわかる瞬間があったので、僕たちもレコーディングの時の参考になるところがあるかもしれないです。
平田:舞台をやっていたから、囁くような声でも腹から声を出すことをどこか無意識でやっていたんでしょうね。中には声が細くてマイクに乗らないという子もいますし、かつての田中敦子さんなんかは「きゃー!」と叫ぶシーンでその声量のあまり音が割れてしまい、何度も録りなおしするぐらい凄かったことを覚えています。
高村:声が良いことと、マイク乗りがいいことはまた別物だそうですね。
平田:そう言われていますけれど、自覚はないんです。
──こういったお話を伺っていると、実際にアフレコの様子を見学したくなりますよね。
田邊・高村:見たいです!
平田:台詞以外でもぼやいてばっかりだけども。
一同:(笑)。
平田:台詞自体はそこまで長くなくても、その後のぼやきがタイトだから、カットに収まりきらず段々押していっちゃうんですよ。それで途中で「もうダメだ、こぼれてるからやめた」って諦めると、ミキサールームから「やめないでください」って声が飛んでくるんです。それで「どの台詞から返せばいい?」って聞くんだけど、「好きなところからやってください」とおっしゃってくださってね。ありがたいんだけど、年寄りの僕だけ甘えさせてもらって、仕事場じゃないですよこれじゃあ。
田邊:凄い……!
高村:そういうのが見たいよね。
平田:見世物としては面白いかもしれないけれど、収録現場としての緊張感や感動はないかもしれないです。
──そんな流れからで恐縮ですが、BLUE ENCOUNTから見た平田さんが演じるベリルというキャラクターの魅力についてお聞かせいただければと思います。
田邊:結局みんなを虜にしていくので、ズルいなって思いますね。あのぼやきも自分のためにやっているであろう所作も言動も、全てが他人を沼らせるじゃないですか。もし同年代にこんな人がいたら、どんな作戦を立てたとしても勝てないだろうなって思います。
ベリルのことを周囲が放っておけないからこそ、自然と支えようとする人が集まってくる「人たらし」な一面もありますよね。それでいて軸は剣の腕に戻ってきますし、人の道は絶対に外れない人間性がある。そうやって最終的に日常に帰ってこられるところに、キャラクターとしての魅力があると思います。
平田:よく「ベリルの魅力は?」と質問されると「謙虚なところです」となんて答えるのですが、あんな奴は実際にはいないと思うんですよね。教える立場だから良く他人を見ていますし、好かれるような人柄なのは間違いない。だけど忘れないで下さい、あのモルデアのひとり息子ですからね。他に指針になる兄がいる訳でもなければ、手のかかる弟もいない。それなのにあんな人間に育つなんて、中々想像がつかないですよ。
田邊:心の中のぼやきとご自身とがリンクすることはあるんですか?
平田:ぼやきは心の中で言わなきゃいけないんだけど、別現場でダメ出しされてぼやいていたら中井和哉さんから「平田さん、平田さん……心の声が漏れてますよ」と言われたことがありました。
田邊:この第二期作中でも何個かありましたよね。例えば第9話冒頭の魚屋さんとのくだりで、「しかし高いな」と思ったつもりがお店の人にはガッツリ聴こえていて。その時の声の使い方も、ファンとしては着目していました。
平田:ベリルももう少し歳を食うと、僕みたいに思思わず心の声が出ちゃうことがもっと増えるのかもしれませんね。
高村:僕はベリルにずっと違和感がありました。ベリルの今の実力って、とんでもない修羅場を潜り抜けたり、かなりの実戦経験を積んでいないとできないことばかりじゃないですか。周囲よりも秀でたものがあることも自分自身で十分わかっているはずなのに、どうしてあそこまで自分で自分を認められないのか不思議で。
剣聖になるような人って、もっと堂々として揺るがないイメージがあったんです。だけど、ベリルはそこから外れている。あれだけの実力があるのになんでって、その理由がありそうな過去の部分が気になってしまいました。だからこの先どうやってベリルが剣聖になっていくのか興味がありますし、平田さん演じるベリルのぼやきが「少しずつ自信を帯びたものに変わっていくのかな?」という期待もあります。
──モルデアという壁を乗り越えた第二期の後半以降は、確かに少し変化が見られましたよね。
平田:親父に勝っちゃったもんだから、モノローグはあっても悲観的なぼやきは減ったと思いますね。だから個人的にはやりづらい。
ベリルには若い頃に冒険者を目指したけれど、コテンパンにされて挫折した大きな転機がある。そこから親父の後を継いで田舎で道場をやるのが身の丈にあっているんだろうと、自分にとっても楽な生き方をこれまでは選んでいたんだと思うんです。でも実は自分が親父を超えていたことを知って、ギアを上げざるを得なくなりました。
「親父に勝った以上、ぐだぐだ言い訳してられない」。だから第三期をやると言われた時は、これはめんどうなことになるだろうなと思ったんです。シリーズ構成の岡田邦彦さんに第三期もぼやかせて欲しいとお願いしたら「ベリルはぼやいてこそですから、ぼやかせます」とおっしゃってくださったので、期待しています。


































