
「片田舎のおっさん、剣聖になるII」平田広明さん&BLUE ENCOUNT・Vo.&Gt.田邊駿一さん、Dr,高村佳秀さん鼎談インタビュー|エンディング主題歌「未完成」が生まれた背景とは? 田邊さんと高村さんが平田さんに聞いてみたい事にも注目!
「この曲で良かった」と誇りに思えるようになりました
──エンディング主題歌「未完成」は、そんなベリルの物語やキャラクター性とリンクしていますよね。
田邊:オンエアが進むにつれて「この曲で良かった」と誇りに思えるようになりました。第一期を見た上で自分の中にあるベリルへの想いや、キャラクターたちが抱える劣等感を覆い隠す鎧のようなもの……を表現できたと思ったんです。
多分この物語の中だけじゃなくて、現実でも多くの人がそうやって弱さを覆い隠しながら生きているんじゃないか。作品を見た上での自分の中の答えと照らし合わせた上で形にしたのがこの曲でした。
第二期ではキャラクターひとりひとりの人間性によりフォーカスされていたからこそ、そんなキャラクターたちに言葉をかけるならこの言葉しかないと思えました。本当に僕はいち視聴者でしかないのですが、この「未完成」という曲を生んだ父としては、ハラハラドキドキしながら見ていましたね。
高村:気が付いたら自分たちの曲がアニメのエンディングとして流れていたのではなく、この作品を象徴する曲が流れていた。そういう風に感じられたのは、僕の中では初めてに近いかもしれないです。「未完成を愛せよ」という言葉から始まるあの構成が凄く良かったと思うのですが、最終話が終わって曲が流れた瞬間のハマり具合には感動しました。
──平田さんはこの楽曲にどんな感想を持ちましたか?
平田:最初はベリルをやっている立場から彼と重ねる形で歌詞を読ませていただいたのですが、この「おっさん剣聖II」のエンディングだという観点から距離を置いて聴いても「ピッタリだな」と思ったんです。BLUE ENCOUNTさんはアニメの主題歌をいくつか担当されているけれど、大体どれぐらいの準備や思い入れを持って楽曲を作っているんですか?
田邊:お話をいただいてから今回の楽曲のテーマを決めるディスカッションをアニメ制作チームの方々と行うところがスタートですね。BLUE ENCOUNT内では「今までのこういう曲みたいな」という参考になる情報の話を最初にするのですが、その時点から自分の今の現在地と第一期の内容を熟知して噛みしめた上で、ギター1本でスタジオに入りました。
このやり方は高校の頃から変わらないのですが、必ず最初はギター1本の弾き語りで作るんです。一切準備せずにひとつコードを鳴らして、その時に「何が出るのか」というやり方で22年間ずっと曲作りをしてきました。
平田:メロディーと歌詞は同時に生まれてくる?
田邊:同時ですね。「未完成」も最初にコードを鳴らした瞬間から「未完成を愛せよ」というメロディーと歌詞が同時に頭の中に生まれていました。後は自分の本能に従って、「自分はこの後この曲をどうしたいのか」という部分を大事にして作っていきます。
だから「未完成」というワードを使って曲を作ってくださいという指定は一切なかったですし、何なら「BLUE ENCOUNTのあの曲みたいに」という要求もありませんでした。そういう信頼をしていただいた上で制作が始まったことは、本当にありがたいことでした。自分と向き合った上で、コードを鳴らした瞬間に降りてきたのが「未完成」という言葉だったのが、やっぱり大きかったかもしれません。
平田:凄い才能じゃないですか!
田邊:(笑)。
平田:「こんな感じ、あんな感じ」とオーダーがある場合もあるんですか?
田邊:「イントロは何秒で」「このワードを綺麗にはめてください」みたいなオーダーがあることも多々ありますね。
平田:お仕事とはいえ最初からそういうスタイルで作って来られたのでは、細かなオーダーはかえって枷になるんじゃ……?
田邊:僕はそこに関して全く苦にならなくて、逆にこの食材を使って美味しい料理を作ってくださいと言われているような気になって血が騒ぎますね。メジャーデビューして12年になりますが、これまでも色々なタイアップをやらせていただきました。
1年目の頃は89秒に収めるために四苦八苦していましたが今はもう身体が覚えていて、ワンコーラス作ったら綺麗に89秒だったこともあるぐらいです。やっぱりそこは、経験を積んだことで「ここで想いを伝えたらまとまりが良くなるな」「逆にサビを最後まで焦らすことで物語に合うな」という部分がわかるようになったのかなと思っています。
──その経験と作品からのインスピレーションが楽曲全体に広がっていったということでしょうか?
高村:この12年の中でも一番合致している実感があります。エンディングを担当させていただくと、アニメの中で「あ、ここで来るな」という瞬間がわかるようになってくるのですが、その瞬間を超えて曲の最後の1秒まできっちり合うような感覚と言えばいいのでしょうか。物語の最後と曲の最初の部分の橋渡しが凄く綺麗で、手前味噌ながら「良いものが作れた」と毎回思えたのは中々ない気がして嬉しかったです。
──作品を飾る見事なはまり具合だったと思います。
平田:オープニングは始まる時のワクワク感が作品の看板、表札みたいなものだから、バシッときまらなきゃいけない。だけどエンディングは物語の余韻に浸りながら聴くものだから、それを持続させるのは難しいんじゃないかなと思うんです。なのにこの作品はその素敵な余韻の曲の後にぼやく予告が入るから非常に申し訳なくて……。
田邊:いえいえ、そんな平田さんの予告が「明日も頑張ろう」と思わせてくれましたよ。あそこで日常に惹き戻してくれる感覚が気に入っていましたし、そもそも僕らとしても「未完成」をエンディングだと思って作っていないんです。実は聴いてくれる人の明日のためのオープニングテーマになればいいと思って作っていたので、エンディングにしてはサウンドメイクとしても強めになっています。
平田:SNSでも「これオープニングでいいんじゃないか」って言われたのを見ましたよ。
田邊:嬉しいです。昨日の打ち上げでも鹿住朗生監督をはじめとする制作スタッフのみなさんにお会いして、第6話でモルデアと対峙した後に日常に戻った後、「未完成」が流れる瞬間が最高でしたと熱い想いを伝えていただきました。改めてエンディングという枠組みを超えた新しい挑戦ができたと感じています。


































