
「なんでこんな難しい作品に手を出してしまったんだ(笑)」『パリピ孔明』からともに作品を作ってきたスタッフと挑む、こだわりの映像——『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』本間修監督インタビュー
「コーネリアスってこんなに魅力的なキャラクターになるんだ」
──マーガレットやミラベルについても、キャスティングの意図や実際の演技を聞いての印象を教えてください。
本間:ミラベルは、富田さんが一番サラッと、いい塩梅でまとめてくださっていました。心の動きなども、あまりふざけすぎず、理解しやすいキャラクターとして成立させてくれていたので、演じやすかったのかなと思っています。落ち込むところなども含めて、すごく自然でした。
マーガレットが一番面白くて、青山さんは最初、美少女っぽい声でアプローチしてきたんです。でも、「それじゃないね」となって。トークバックで話していた地声のほうがマーガレットらしさがあって良かったので、そちらの声でやってほしいという話をしました。
あとは、やっぱりこの作品は情緒不安定なところがあるので、「さっきあんなに泣いていたのに、もうふざけているんだけど」というような場面もあります。そこをいい塩梅でつないでもらいました。
最初に声の方向性を伝えて以降は、青山さんがよい塩梅でふざけてくれていたと思います。ただ、最初の頃は真面目なシーンが多かったので、真面目感が出てきたときには「ちょっとそちらに振りすぎないでください」とディレクションすることもありました。でも、全体的にはいたずら心にあふれている感じも含めて、すごくいい塩梅だったんじゃないかなと思っています。
──エルシーやニーナについてはいかがでしたか?
本間:エルシー役の潘さんについては、漫画ではこの先すごく活躍するキャラクターなので、先の展開を知っている読者が見たときにも説得力のある雰囲気をしっかり出していただけて良かったなと思っています。
また、ニーナは小説版ではヒロインなのですが、漫画版では王道ヒロインではなくなっている。そのため、敢えて一番王道のヒロインらしい雰囲気の声という方向性をお願いしていました。その感じも、思っていた通りに演じていただけたと思います。
──ほかのキャラクターについて、声がついたことで印象が変わったキャラクターはいますか?
本間:そういう意味で面白かったのは、古川さん演じるコーネリアスです。声優さんが入ったことで本当に魅力的なキャラクターになったと思っています。
古川さんにコーネリアスをいろいろな遊び心や抑揚で豊かに表現してもらえて、「こんなに魅力的なキャラクターになるんだ」と驚きました。声がついたことによって、特に大きく跳ねた印象のあるキャラクターですね。
あんなにイキっているんだけど、本当はかなりの小心者だったり。「どうしようもないやつ感」がよく表現されていて、「こういう人だったんだ」と新たな発見に繋がりました。コーネリアスについてはそこまで深く考えていなかった部分もあったので、声がついたことによってより魅力が発見されたキャラクターです。
──キャストの皆さんとのやりとりで、印象に残っている出来事はありますか?
本間:とにかくレインは、放っておくとかっこよくなっていくんです。なので、「かっこよくならないように」というディレクションはしていました。
あと、暗殺の母役の柴田さんも一緒のブースで収録したのですが、若手のキャストの中にアフレコ初心者の柴田さんが入って、いろいろと「こうすればいいのか」「ああすればいいのか」と聞きながら収録していく。その現場は面白かったですね。
もちろんディレクションもしたのですが、柴田さんが台本をかなり読み込んでくださっていたので、最初からこちらの意図に合わせてきてくれていました。柴田さんに作品に入ってもらえたこと自体に価値があったんじゃないかなと思っています。
旧知のスタッフと作り上げたこだわりの映像
──今回は『パリピ孔明』や『真夜中ぱんチ』の制作スタッフの方が参加されていますが、長年一緒に制作してきた方々との現場で、印象に残っているやりとりなどはありますか?
本間:『真夜中ぱんチ』は、すごく「アニメアニメした作品」なんですよ。今回の『チー付与』はアニメアニメしすぎてもいけないと思っていたので、そこは差をつけたいよね、という話をメインアニメーターの鍋田さんなどとしていました。
脚本の米内山さんも、異世界ものの作品に呼ばれたことに最初は疑問を持っていたそうなのですが、説得して読んでもらったところ、「リリィの心情という意味であれば、もしかしたらやれるのかもしれない」と言ってくれて、参加してもらえることになりました。
──米内山さんからは「現場では本間監督がレインみたいだった」というスタッフコメントもありましたが……。
本間:なんでみんなそう言うんだろう(笑)。どんなところがレインっぽかったんでしょうね?
スタッフ:ふにゃふにゃしながら、「ここは切りたくないんだ~!」みたいなことをずっと言っていた気がします(笑)。
本間:じゃあ、むしろスタッフ側からすると、「レインみたいな奴がいて、それをどういなしつつ自分たちの仕事をしていくか」という現場だったのかもしれないですね(笑)。
──(笑)。そういった旧知の仲だからこそ成し得たことなどはあったのでしょうか?
本間:それで言うと、美術の設定を書いてくれた岩月さんは学生時代からの友人なんです。今回のような背景美術の設定は意図を伝えるのが難しいので、相当ツーカーの仲じゃないと発注できなかった。だから、ある程度気心の知れた人にお願いできたことが良い方向に動いたんじゃないかなと思います。本当に大変だったみたいで、「もうやりたくない」と言われましたけど(笑)。
今回の『チー付与』では、実際に存在するものを設定化していくのとは違って、「これが合っているのか、間違っているのか」「これはどういう意味なのか」ということ自体がぼんやりしているんです。
作品世界のルールがあるようで、ないようで、でもやっぱりある。そういうものを落とし込みながら、漫画にはない情報を足して世界観を構築していくのは、すごく大変だったんだと思います。
──制作のこだわりが感じられるお話でした。最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
本間:みんなが仲良くなって、それぞれの個性が組み合わさってアンサンブルが生まれてくると、さらに魅力が際立ってくる作品です。
そこに至るまでの話も面白いですし、アクションなどもありますが、みんなが仲良くなっていく様子と、仲良くなってからの「より砕けた楽しさ」に期待していただけたらありがたいなと思っています。
作品情報
あらすじ
だが彼は絶望するどころか、「今なら何でもできる!な」と、これまでギルドメンバーの装備に付与した大量の強化ポイントを回収し、冒険者として新たな道を歩き始める。
彼のもとに集まるのは、仲間を皆殺しにされ心を閉ざした天才冒険者、家族を奪われた戦士、人殺しとして育てられた暗殺者――誰もが、簡単には消えない傷を抱えた者ばかり。
それでもレインは、過去も傷も否定せず、まっすぐに明るく受け入れていく。
舞台となるのは、ウージー短機関銃やパチンコ、ヤクザまで存在する異色のファンタジー世界。
しかしこの世界では、便利な科学技術に頼るほど魔力が落ち、冒険者は弱くなってしまう。
知性を持つ凶悪なモンスターが跋扈し、裏社会ではアウトローたちが欲望と野心を剥き出しにしながら、謀略と策略を張り巡らせる。
理想も正義も簡単に踏み潰される世界で、冒険者たちは己の魔力と信念だけを武器に戦い抜く。
これは、居場所を失った者たちが、自分の生き方を掴み取っていく物語。
レインとその仲間たちの、破天荒で気ままなセカンドライフが、今始まる――!!
キャスト
(C)六志麻あさ・業務用餅・kisui・講談社/「チー付与」製作委員会



































