
『楽園追放 心のレゾナンス』11.13公開前リレーインタビュー連載 第9回:主題歌 作詞・作曲・編曲 TeddyLoid|佐倉綾音&井上和の歌声が重なった瞬間の驚き──「ひとつの新しい声のように聴こえる」
水島精二×虚淵玄 再び。『楽園追放 -Expelled From Paradise-』(2014年)のその先の物語を描く続編『楽園追放 心のレゾナンス』が11月13日に公開されます。アニメイトタイムズでは、公開まで、さまざまな主要スタッフへのインタビューを敢行! その成り立ちから物語に至るまで、多角的に迫っていきます。
連載9回は、主題歌を担当するTeddyLoidさんに、楽曲「Beyond the Night」についてと、それを歌う、ガブリエル役の佐倉綾音さんと乃木坂46のメンバーである井上和さんの歌唱について話を聞きました。
「Beyond the Night」というタイトルに込めた意味
──主題歌のオファーが届いたときの率直な感想をお聞かせください。
TeddyLoid:素直に、すごく嬉しかったです。『楽園追放』は、前作『楽園追放 -Expelled from Paradise-』から長く愛され続けている作品ですし、その新作に主題歌という形で関われることをとても光栄に感じました。
もともと作品の持つSFの世界観と自分の音楽は相性が良いんじゃないかと感じていたので、「今の自分だったら、この世界をどんな音にできるだろう」と、オファーをいただいた時点からすごく楽しみでした。
──前作、『楽園追放 -Expelled from Paradise-』の印象をお聞かせください。
TeddyLoid:最初に観たときは、やはり映像や世界設定のインパクトが強く印象に残りました。
でも改めて作品と向き合ってみると、SFという大きな世界の中で描かれているのは、すごく人間的なことなんですよね。肉体を持つこと、自由であること、自分自身の意思で何かを選ぶこと。「人間らしさって何なんだろう」という問いがずっと根底にある。SFという非日常的な世界だからこそ、逆にそういった人間の感情や価値観が鮮明に見えてくる作品だと感じています。
──『楽園追放 心のレゾナンス』の主題歌を書き下ろすにあたり、どのようなことから取り掛かりましたか?
TeddyLoid:まずは『心のレゾナンス』の物語やキャラクターの感情を自分の中でしっかり咀嚼して、それを今のTeddyLoidのサウンドとしてどう表現するか、というところから始めました。
もちろん前作から繋がっている作品なので、前作の音楽や世界観の記憶も大切にしています。
監督からも「イントロで、前作主題歌を感じられるような要素を入れたい」というリクエストをいただいていたので、そこは新旧の作品を繋ぐひとつのポイントとして取り入れました。
ただ、曲全体として前作を再現するのではなく、今回の物語を通過したからこそ生まれる、新しい『楽園追放』の音にすることを一番大切にしています。
──ストーリーを把握した上で、歌詞にはどのようなことを込めようと思いましたか?
TeddyLoid:誰かが残した想いや記憶が、時間や距離を越えて次の誰かへ受け継がれていく、という感覚を大切にしました。
直接会うことができなくても、同じ場所にいなくても、そこで生まれた繋がりや想いまで消えてしまうわけではない。そういう今回の物語にある感覚を、楽曲の言葉としてどう残せるかを考えました。
歌詞には「軌道」「座標」「境界」といったSF的な言葉も登場しますが、単に世界観を装飾するためではなく、人と人との距離や繋がりを『楽園追放』の世界だからこそできる言葉で表現するために使っています。
── 歌詞の中で、特に気に入っているフレーズなどがあれば教えてください。
TeddyLoid:〈見える景色 誓いに変えて未来へ〉というフレーズです。
目の前にある景色や、そこで経験したことをただの思い出として残すのではなく、それを自分の意志に変えて次の未来へ進んでいく。今回の作品にある、過去から何かを受け取りながら、それでも前へ進んでいく感覚が、すごく凝縮されている言葉だと思っています。
──タイトル「Beyond the Night」に込めた意味を教えてください。
TeddyLoid:この曲における“Night”は、単純な夜という意味だけではありません。
孤独だったり、乗り越えなければならない時間だったり、まだ先が見えない状況だったり、いくつかの意味を重ねています。
この曲で描きたかったのは、その夜の中に留まることではなく、その先へ進んでいくこと。
映画のエンディングで流れる楽曲でもあるので、物語が終わった瞬間で世界が閉じるのではなく、その先にもキャラクターたちの未来が続いていると感じてもらえるタイトルにしたくて、「Beyond the Night」にしました。
──アレンジ面で、『楽園追放 心のレゾナンス』らしさを盛り込むために意識したことなどはございますか?
TeddyLoid:「SF作品だから電子音をたくさん使う」という単純なアプローチにはしたくなかったです。
もちろんシンセサイザーや電子的なテクスチャーはかなり使っていますが、その中でも一番大事なのは、メロディと歌声から感情がきちんと伝わることでした。
音数を増やすことで壮大にするのではなく、すぐ近くに感じる音と、遥か遠くまで広がっていく音を同時に作る。その距離感や奥行きによって、『楽園追放』の持っている大きな世界を表現しています。
そして、切なさだけでも希望だけでもなく、そのふたつが最後まで同居しているサウンドにしたかったです。
二人の声のそれぞれの魅力と二人の声が重なったときのケミストリー
──歌い手が佐倉綾音さんと井上和さん(乃木坂46)に決まったときは、どう思いましたか?
TeddyLoid:すごく面白い組み合わせだと思いました。
お二人とも声そのものに強い個性があるんですが、その魅力の方向性はかなり違うんですよね。だからこそ、どちらかに寄せるのではなく、その違うふたつの声がひとつの楽曲の中で重なること自体を魅力にできると思いました。
実際にレコーディングして二人の声が重なった瞬間も、想像していた以上に相性が良くて。この二人だからこそ成立する「Beyond the Night」の響きになったと思います。
──佐倉さんや井上さんは練習に苦労をされたお話もされていましたが、曲の難しさはどんなところにあるのでしょうか?
TeddyLoid:単純に音域が広いとか、音程が難しいというだけではなく、フレーズごとに求められる感情の温度がかなり細かく変わっていくところだと思います。
静かに内側へ向かって歌う部分から、感情が一気に開いていく部分まであるので、それを別々の表現にせず、ひとつのストーリーとして自然に繋げなければいけない。
切なさを最後まで残しながら、その中に少しずつ前へ進む力が生まれてくる。そのバランスはかなり繊細です。
なので、音程を正確に歌えれば成立するタイプの曲ではなくて、感情まで含めて歌うことで初めて完成する楽曲だと思います。
──レコーディングをした上で、佐倉さんと井上さんの声の魅力をどんなところに感じましたか? またお二人の声が合わさったときの魅力なども教えてください。
TeddyLoid:佐倉さんは、ひとつひとつの言葉にキャラクターとしての説得力があるんですよね。
大きく感情を出しているところだけではなく、語尾や息遣いのような細かな部分からも、ガブリエルがその瞬間に何を感じているのかが伝わってくる。その表現力がすごく印象的でした。
井上さんは透明感のある声の中に、しっかりと芯があります。
今回のような広がりのあるサウンドの中でも声が埋もれず、すっと前に出てくる力がある。その透明感と強さが共存しているところが魅力だと思います。
そして二人が重なると、それぞれの声の個性はちゃんと残っているのに、瞬間的にひとつの新しい声のように聴こえるところがあるんです。そこは「Beyond the Night」という楽曲の大きな魅力になったと思います。
──レコーディングでは、どのような要望を出しましたか?
TeddyLoid:二人の歌い方を、あえて揃えすぎないことは意識しました。
デュエット曲だと、タイミングや発音、ニュアンスをきれいに揃えたくなると思うんですが、今回はそれぞれの声の個性や人物としての表情が残っている方が、この曲には合っていると思ったんです。
一人ずつ聴いたときには、それぞれ違う感情や表情がある。
でも二人の声が重なった瞬間には、それがひとつの大きな感情になる。
そのコントラストを残せるようにディレクションしました。
──お二人の歌唱で、ここをぜひ聴いてほしい!とTeddyLoidさんが推したいフレーズはありますか?
TeddyLoid:やっぱりサビで二人の声が重なるところは、ぜひ聴いてほしいです。
それまでそれぞれ違う声、違う表情で歌っていた二人が、ひとつの場所へ向かって声を重ねることで、楽曲の景色が一気に広がるんですよね。
一人では作ることのできない響きや感情がそこで生まれているので、「Beyond the Night」という曲を象徴するポイントのひとつだと思っています。
──最後に『楽園追放 心のレゾナンス』を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
TeddyLoid:『楽園追放 心のレゾナンス』の壮大な世界と、そこに生きるキャラクターたちの感情、その両方に寄り添える楽曲になったと思っています。
物語を最後まで観たあとに「Beyond the Night」が流れることで、その瞬間に作品が終わるのではなく、余韻の中でそれぞれのシーンや言葉をもう一度思い返してもらえたら嬉しいです。
そして、この曲そのものも物語の一部として受け取っていただけたらと思っています。
ぜひ「Beyond the Night」まで含めて、『楽園追放 心のレゾナンス』の世界を最後まで楽しんでください。
[文・塚越淳一]
主題歌情報
楽曲名:「Beyond the Night」
アーティスト名:TeddyLoid feat. 佐倉綾音 (as ガブリエル), 井上和 (from 乃木坂46)
作詞:TeddyLoid
作曲:TeddyLoid
編曲:TeddyLoid
歌唱:佐倉綾音 (as ガブリエル), 井上和 (from 乃木坂46)
(Echoes / Sony Music Entertainment (Japan) Inc.)
●配信日:2026年11月11日(水)
●CD発売日:11月18日(水)発売
完全生産限定盤(CD+ガブリエルアクリルスタンド)
価格:2,800円(税込)
品番:XSCL-150〜151
収録曲:
01. Beyond the Night
02. Beyond the Night – Instrumental
作品情報
あらすじ
人類が肉体や地球を捨て、電脳世界ディーヴァで暮らすようになった西暦2400年。フロンティアセッターのハッキングを発端に、ディーヴァ捜査官アンジェラ バルザックの叛逆が起こる。事件時彼女にハッキングされ、地上に脱走した大勢の保安局のエージェントは、マテリアルボディと共に、パーソナルデータも収納するハードウェアを強奪。その姿・存在を地上に潜め、ディーヴァへの脅威と化した。
アンジェラにより、もたらされた”彼ら”の名は、
”フォールン”
ディーヴァからの捜索命令を受け、ガブリエル達エージェントは、フォールンの正体を追う。未だ地上に遺るナノハザードの影響を乗り超え、彼女達は、フォールン、そして、その謎に辿り着けるのか。
『楽園追放』の物語が、今、再び動き出す−。
キャスト
(C)東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ2


































